対決!!天本博士対クラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百六十三話
第二百六十三話 出して消して
華奈子はその自分の炎を出しては消していく。そうして魔法の修行をしている。そうしながら自分の使っているその魔法をじっと見ている。
そうしてである。そのうえでタロとライゾウに言うのだった。
「ねえ」
「んっ、何だ?」
「どうしたんだよ」
「どうかしら」
その魔法についてどうかというのである。
「こんな感じで」
「まあいいんじゃないのかな」
「そうだよな」
これが二匹の返答だった。彼女のその魔法を見ての言葉である。
「そんな感じでね」
「特に問題はないぜ」
「だったらいいけれど」
しかし華奈子はそれを言われてもまだ自信がないようである。浮かない顔になってそのうえで腕を組んで首を捻ってしまっていた。
「それだと」
「まあさ、自信がないなら」
「もっと練習したらいいしさ」
タロとライゾウがこう彼女に言ってきた。
「まずは何でも修業じゃない」
「努力あってのものだろ?」
「まあそれはね」
努力の大切さは華奈子にしてもわかっているつもりだ。それを踏まえたうえでまた言うのであった。
「けれどそれでもね」
「だからさ。数やっていけばいいって」
「そうそう」
「それもあるけれど」
浮かない顔はさらに続くのだった。その言葉もだ。
「今の魔法って二人でって考えてるのよ」
「二人ってことはだ」
「美奈子さんと?」
「そう、美奈子」
双子の相方の彼女だというのだ。
「さっき言ったじゃない。美奈子と一緒にするのを考えてるって」
「ああ、そうだったよね」
「それはな」
「だからね。あたし一人だけでも」
「じゃあさ。それだったら」
「美奈子さんも呼んだらどうだよ」
二匹はこう主に提案したのだった。
「それだったらいいんじゃないかな」
「二人でやるもんなんだろ?」
「そうだけれど。じゃあ」
珍しくはっきりしない華奈子だった。
「そうしようかしら」
「何か今日の御主人様って」
「はっきりしないな」
それは二匹にもわかった。それが何故かはまだわからなかった。しかし理由があるのは間違いなかった。
第二百六十三話 完
2010・2・13
ページ上へ戻る