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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第九十九話 非情!ドラグナー対ドラグナー

               第九十九話 非情!ドラグナー対ドラグナー
「さてと」
ケーンが投降したのを見たドルチェノフはいたって上機嫌であった。
「よい駒が手に入ったわ」
「あの男、どうされるおつもりですか?」
「駒だ」
彼は尋ねてきた部下に対してそう返した。
「駒、ですか?」
「そうだ。プラートか仲間に対してぶつける。使い捨ての駒としてな」
「はあ」
「良い考えだろう」
「ええ、まあ」
答えるその声は一応形は整っていたが視線は迷っていた。
「確かに」
「母親に会わせるという条件でな。思う存分使わせてもらう」
「で、実際にはどうされるのですか?」
「さてな」
勿論約束を守るつもりなぞ彼等にはなかった。
「どうするべきかな」
「とりあえずさしあたっては使わせてもらいますか」
「そうだ。そういえばプラートの軍が接近してきているな」
「はい」
「そこに向かわせよ。よいな」
「ハッ」
こうして投降してすぐケーンは出撃させられることになった。彼は不平を言いながらも指定された宙域に向かった。
「くそっ・・・・・・」
彼はコクピットの中で苦い顔をしていた。
「ドルチェノフの野郎」
彼にもドルチェノフの腹はわかっていた。だがそれでも従わざるを得なかったのだ。
「仕方ねえ、御袋の為だ」
彼は戦場に向かっていた。しかしその心はギガノスにある筈もなかった。
今本当の意味でギガノスはギガノスにはなかった。あるのはただドルチェノフの野心とそれに群がる者達だけであった。ギルトールの理想は今はある男に受け継がれていた。
「美しい星だな」
マイヨは地球を眺めてこう呟いた。彼は今同志達の戦艦の中にいた。
「はい」
プラクティーズの面々がそれに頷く。
「閣下はかって私にこう言われた」
マイヨはギルトールの言葉を彼等に話した。
「地球はあまりにも美しいとな」
「そうだったおですか」
「ギルトール閣下・・・・・・」
「御自身を間違っているのでは、とも仰っていた。だがそれは間違いではなかったのだ」
彼は言った。
「この世にいてはならない者はいるのだ。それは」
「ドルチェノフ・・・・・・!」
「そうだ、ああした者達だ。あの様な者が地球を、そして人類を汚す」
「はい」
「私も閣下が倒られるまではそれがわからなかった。おそらく閣下もそれがわかられるまで長い時間がかかったのだろう」
ギルトールはそれを地球の美しさにより教えられたのだ。理想主義者であった彼がそれがわかるまでにも長い時間を経てのことであった。
「だがそれはわかった今もう迷いはない」
毅然とした声であった。
「ドルチェノフを。討つ」
「はい」
「その為にも。私は行く」
「大尉殿、お待ちを」
ここで三人は彼を呼び止めた。
「どうしたのだ?」
「御一人では危険です、ここは我等も」
「いや、これは単なる偵察だ」
マイヨはそう言って彼等をまずは落ち着かせた。
「私一人で充分だ」
「ですが」
「今はここに待機しろ」
「大尉殿」
「これは命令だ。よいな」
「は・・・・・・はい」
「畏まりました」
命令という言葉を聞いて姿勢を正して返礼する。彼等もまた軍人である。命令というものの重みがわかっていた。だからこそそれに従うしかなかったのだ。
彼は一人格納庫に向かった。しかしそこに一人の女が待っていた。
「やあ」
「卿は」
「遅かったじゃないか。待ちくたびれたよ」
「どうしてここにいる」
マイヨはその女、ミンに問うた。
「何って面白そうなことを考えてるみたいだからね」
「卿には関係ないことだ」
彼はそう返した。
「これは私の問題だ。それにただ偵察に行くだけだ」
「偵察、ねえ」
「何がおかしい」
ミンが悪戯っぽく笑ったのを聞いてこう返す。
「ただの偵察にしてはたいそうな装備じゃないか」
彼女はマイヨのファルゲン=マッフを見てこう言った。
「レールカノン砲にデュアルミサイルポッド、七五ミリハンドレールガン、白兵戦用レーザーソード・・・・・・。あんたの腕なら戦艦の二、三隻なら落とせるってモンだ」
彼女はマイヨが何をするのかわかっていたのだ。
「ねえ大尉さん」
「何だ?」
「あたいを連れて行く気はないかい?」
「卿をか」
「そうさ、役に立つよ」
ニヤリと不敵に笑ったがその目は普段の彼女のものとは違っていた。
「どうだい?」
「悪いが」
しかしマイヨはそれを断った。
「どうしだい!?」
ミンはマイヨが拒絶の言葉を述べたのを見てくってかかる。
「こう見えてもあたいはグン=ジェム四天王の一人だよ」
「それは知っている」
「並の男よりか役に立つと思うよ、それでもかい」
「それでもだ」
そう言われてもマイヨの心は変わらなかった。
「私一人で行って来る。いいな」
「あんた・・・・・・」
「心配は無用だ。私はまだ死ぬつもりはない」
これは本音であった。今回はただ移動要塞の感触を確かめるだけだったのだ。彼はドルチェノフを倒すまでは死ぬつもりはなかったのだ。
「だからだ。ここでプラクティーズや同志と共にいてくれ」
「フン、わかったよ」
ミンは観念してこう返した。
「そこまで決意があるんならね」
「済まない」
「しかしね」
今度は心からニヤリと笑った。
「あんた、いい男だね。惚れちまいそうだよ」
「私にか」
「ああ。この戦いの最後までお互い生きていたらデートでもしないかい?」
「楽しみにさせてもらおう」
「言ったね、じゃああたいは何があっても生き残るからね」
「それは私もだ」
「約束だよ、じゃあね」
「うむ」
マイヨは出撃した。そのまま要塞へ向かう。
暫く飛んだ時だった。目の前に一機のメタルアーマーがやって来た。
「あれは」
それはドラグナーであった。一直線にこちらに向かって来る。
「ケーン=ワカバか」
「ギガノスの旦那だな」
「如何にも」
マイヨはそれに答えた。
「だが今は貴様の相手をしている暇はない。悪いが」
「こっちはそういうわけにはいかねえんだよ」
「やるつもりか」
「おう、覚悟しな」
ケーンはレーザーソードを抜いてきた。
「あんたをここから先に行かせるわけにはいかねえんだ」
「止めておけ」
「何だと!?」
「いつもの貴様ではない。それでは私の相手にはならない」
「うるせえ」
「その言葉にもだ。迷いがある。そんなことでは私は倒せぬぞ」
「それでもやらなくちゃいけねえんだよ」
ケーンはそれでも向かって来た。
「あんたを倒さなければ俺はなあ」
「何の事情があるかは知らないが」
それを受けてマイヨもレーザーソードを抜いた。
「ならば私も」
「やってやる!」
ケーンも迷いながらそれに応じ返した。
「さもなきゃどうにもならねえんだ!」
「おい、ちょっと待て!」
だがそこに二機のメタルアーマーがやって来た。
「ケーン、そこにいたのかよ!」
「全く、探したぞ」
「タップ、ライト」
二機のドラグナーであった。彼等も来たのだ。
「おいケーン、本当にギガノスに投降しちまったのかよ!」
「何かわけがあるんじゃないのか?」
二人はそれぞれケーンに問う。
「何かあるのなら話してみろ」
「俺達だっているしな」
「それは・・・・・・」
「お袋さんのことか?」
「なっ」
タップの言葉に思わず声をあげる。
「それは・・・・・・」
「どうやらその通りらしいな」
ライトにはすぐにわかった。
「なあケーン」
タップはそのうえで言う。
「お袋さんが捕まってるのならな、助け出せばいい」
「そうさ、ドルチェノフもお袋さんを殺したりはしないさ」
「何でそんなことがわかるんだろ」
「あのな、御前よく考えてみろ」
タップが彼に対して言う。
「何で今までお袋さんが生きていたんだ?」
「それは」
「確かにギルトール元帥は捕虜に対しては寛大だったがな」
「ああ」
ライトの言葉に頷く。
「けれどそれだけじゃない。今のドルチェノフが御前のお袋さんを生かしているのは利用価値があるからだ」
「利用価値」
「まずは御前を寝返らせる為だ」
ライトはまずそれを指摘した。
「そして」
「そして!?」
「俺達への工作だ。停戦を呼び掛けて戦意を削ぐ為のな」
「まっ、そんなとこだろうな」
タップもそれを聞いて頷く。
「その為に御前のお袋さんを利用しているんだ。間違いねえな」
「そうだったのか」
「そうだったのかっておめえ」
「そんなこともわからなかったのか!?」
「ああ、いきなり言われたんでな」
ケーンは答える。
「つい突っ走ちまった。気が付いたら」
「おいおい、頼むぜ」
「そんなことだろうと思ったがな」
二人は呆れながらもそれに応える。
「しかしよお」
「わかってるぜ」
「お袋さんを救い出したいんだろ」
「ああ」
ケーンはその言葉にこくりと頷く。
「どうすりゃいいんだ?」
「何、簡単なことさ」
「要塞に忍び込めばいい」
「簡単に言うけどよ」
ケーンはそれに反論する。
「そもそもあの要塞の攻略そのものがな」
「おう、呼んだか?」
ここで軽い声がした。
「デュオ」
「潜入工作ならお手のものってね」
彼だけではなかった。他の四機のガンダムもいた。
「御前等」
「俺達だけではない」
ウーヒェイがケーンに言う。
「っていうと?」
「私もおります」
「軍曹」
「僕のガンダムのコクピットの中に一緒にいますので」
「何で軍曹まで」
「既に作戦は決められておりまして」
ベン軍曹はケーンにそう説明した。
「我々が要塞内部に入り少尉のお母様を救出します」
「いいのかよ、それで」
「構いません。民間人の救出もまた軍人の務めです」
「軍曹・・・・・・」
「そういうことだ、だから俺達も作戦に参加する」
「トロワ」
「これだけの数がいれば大丈夫だ。では早速仕掛けるぞ」
ヒイロが最後に言った。その白い翼が舞う。
「既にガオガイガー達も向かっているしな」
「そういうことだ」
「手抜かりはないってな」
「おめえ等・・・・・・」
「ケーン=ワカバ」
マイヨが彼に声をかけてきた。
「!?」
「いい仲間を持ったようだな」
「あ、ああ」
ケーンはマイヨの言葉に頷いた。
「全くだぜ」
「では私も行くか」
「大尉殿!」
そこにマイヨの軍もやって来た。その先頭には青い三機のメタルアーマーがいる。
「その声は」
「我等も参りました!」
「どうか御一緒に!」
「待機しろと言った筈だが」
「皆あんたと一緒に行きたいって言ってね」
ミンもそこにいた。
「それで来たのさ。あたしは止めたんだけどね」
「ミン大尉」
「そっちの坊やも何か吹っ切れたみたいだね」
「ああ」
ケーンはミンに対しても頷いた。
「色々あったがな」
「いい顔をしてるよ。うちに誘いたい位だ」
「おいおい、あんた達の仲間に入るのは御免だぜ」
ミンの誘いは流石に断った。
「俺はこう見えてもカタギなんでな」
「言ってくれるね。けどあたしの誘いを断るとはいい度胸してるよ」
「って言われてもなあ」
「まあいいさ。じゃあ行くよ」
「うむ」
マイヨはミンに頷く。
「こうなっては。行くしかあるまい」
「おっ」
ライトが声をあげた。
「うちとギガノスの戦いがはじまったな」
「遂にかよ」
「そういやよ」
ケーンは戦いがはじまったと聞き思い出した。
「何だ?」
「廃棄衛星はどうなったんだ?おめえがコントロールしてるんじゃなかったのか?」
「ああ、あれはルリちゃんに回った」
「ルリちゃんにか」
「俺は御前を連れ戻さなくちゃならなくなったからな。変わってもらったんだ」
「そうだったんだ」
「そういうことです、アオバ少尉」
「おろっ」
「噂をすれば」
ルリがドラグナーのモニターに姿を現わした。
「こちらはお任せ下さい」
「要塞にぶつけるのか?」
「いえ」
だがルリはそれは否定した。
「それですと少尉のお母様にも危害が及びますし無闇に犠牲者を出すことになりますので」
「しないのか」
「そのかわりに発電所を狙います」
「発電所って?」
「先程発見したのです。移動要塞のエネルギー源である発電所が近辺にありました」
「そんなものまであったのかよ」
「まずそれを潰そうってな」
「決まったんだよ」
「へえ」
「今はそれの陽動の為に要塞近辺に進出しています」
「で、発電所が破壊されたら」
「俺達が要塞に突入ってわけ」
「成程、そうなのか」
「わかったな、じゃあ行くぜ」
「ああ」
ケーンはタップとライトの言葉に頷く。
「もう現場には凱さん達が向かっているしな」
「俺達も合流して」
「よし!」
ケーンはもうギガノスのケーンではなくなっていた。ロンド=ベルのケーンに戻っていた。
「ただ、ナデシコに帰ったら覚悟はしておけよ」
「修正か?」
「ああ、ダグラス大尉がカンカンだからな」
「一発は覚悟されておいて下さい」
「まあ仕方ねえか。馬鹿やったし」
「修正で済むだけいいさ」
「本来なら軍法会議ものだからな」
「そうだな。まあそれは置いておいて行くか」
「よし」
「俺達もな」
「はい」
ヒイロ達もそれに続く。八機のマシンが今要塞に向かった。
「ロンド=ベル、見事な者達だ」
マイヨはその後姿を見て言った。
「彼等こそが。閣下の愛された青い地球を守る者達なのかも知れないな」
「えらく高く評価してるんだね」
「何度も剣を交えたからな。わかる」
ミンにそう返した。
「どうやら私もそれは同じようだしな」
「共感しているのかい?」
「それは否定しない」
マイヨはそれを認めた。
「だが今の私は」
意を決して要塞を見据える。
「大義を果たす・・・・・・。閣下の仇を!」
「いい目をしてるね」
ミンはそんなマイヨを見て言った。
「そんな目をした男に会ったのは。はじめてだね」
「!?」
「なあ、プラート大尉」
マイヨを見ながら声をかける。
「あんたに。ずっと付いて行っていいかい?」
「何を言いたいのかはわからないが」
堅物のマイヨには気付かないものもあった。
「だが。共に来てくれる同志になりたいのなら歓迎する」
「同志かい」
「違うのか?」
「いや、同じさ。じゃあ行くかい」
「大尉殿!」
プラクティーズの面々もマイヨに対して言う。
「同志達が戦闘に参加しております!我等も!」
「うむ」
それに頷く。そして突貫する。
「行くぞ」
「了解!」
彼等とミンもまた要塞に向かって言った。その頃戦いは既にはじまっていた。
「ええい、何をやっておるか!」
ドルチェノフは迫り来るロンド=ベルと連邦軍、そしてマイヨの同志達の攻撃を前にして怒鳴り散らしていた。
「所詮は烏合の衆だ!蹴散らしてしまえ!」
「しかし閣下!」
そんな彼に部下が言う。
「敵軍はあまりにも強く」
「そんな言い訳は聞きたくもないわ!」
今度は部下にあたってきた。
「早く何とかしろ!その為の移動要塞だろうが!」
「しかし閣下、敵は我等の動きを読み」
「ええい、黙れ!」
最早指揮どころではなかった。
「今どういう状況かわかっておるのか!敵はもうすぐそこまで来ているのだぞ!」
「しかし射程内にはおりませんので」
「黙れと言っている!早く何とかせんか!」
その間にもギガノス軍は次々と撃墜されていく。中にはマイヨの同志達に投降する者までいた。戦局は明らかにドルチェノフにとって不利となっていた。
「さて」
グローバルは戦局をマクロスのブリッジから眺めていた。
「戦いは今の所は優勢だな」
「はい」
ここでモニターにヘンケンが現われた。
「我々の戦術に対して戸惑っているようです」
「しかも指揮系統が混乱しているか」
「どうやら」
「そしてホシノ少佐」
「はい」
今度はルリがモニターに姿を現わした。
「そちらの準備は出来ているかな」
「何時でも可能です」
「そうか、可能か」
「しかしまだその時ではありません」
ルリは静かにこう述べた。
「まだこちらに完全に引き付けていません」
「そうだな。だが時が来れば」
「はい」
ルリは頷いた。
「その時こそ仕掛けます」
「頼むぞ」
「敵主力、我々に向かって来ます」
クローディアが報告する。
「残りを友軍、そしてギガノスの反乱軍に向けております」
便宜上マイヨの同志達をそう呼んでいるのだ。
「移動要塞もこちらに向かっております」
「そうか、いよいよだな」
「じゃあ」
「うむ、頼む」
「わかりました」
ルリは頷いた。そして衛星が動いた。
「倒せ!奴等を倒せ!」
ドルチェノフはロンド=ベルしか目に入ってはいなかった。
「奴等さえ叩けば後はどうとでもなる!」
「閣下、他の備えは」
「そんなものは後回しよ!とにかく奴等を何とかするのだ!」
それが間違いであった。ドルチェノフはロンド=ベルの今の攻撃が陽動であると読んでいなかったのだ。
衛星は発電所に向かっていた。そして見事に衝突した。
「作戦成功です」
ルリはそれを確認して静かに言う。
「敵移動要塞の出力、低下していっています」
「やったわ!」
ユリカがそれを見て喜びの声をあげる。
「これで勝てます!」
「はい」
ルリはその言葉に頷く。だがそれはドルチェノフにとっては晴天の霹靂であった。
「どうしたのだ!」
急激に出力を低下させる移動要塞を見て声をあげる。
「これは只事ではないぞ!」
「閣下!」
そこに部下達が慌ててやって来る。そして報告した。
「発電所が破壊されました!」
「何だと!」
「廃棄衛星が衝突して。それで跡形もなく・・・・・・」
「馬鹿な!そんな筈が・・・・・・」
それを聞いて絶句してしまった。
「有り得るものか!」
「いえ、本当です!」
「このままでは移動要塞が・・・・・・」
「おのれ!」
「閣下!」
「今度は何だ!」
また報告に来た別の部下に怒鳴り声で返す。
「敵が接近しております!」
「何、敵だと!」
「こちらに投降して来たケーン=ワカバが。仲間達と共に!」
「何ということだ!」
「おらおら!当たると痛えぞおーーーーーーーーーっ!」
ケーンは周りにいるギガノスのメタルアーマーを切り飛ばしながら要塞に突き進んでいく。既に出力の落ちた要塞からは迎撃はない。
「物凄いスピードです!」
「ガンダムも五機います!」
「ガンダムまでか!」
「ターゲット確認。排除する」
ウィングゼロカスタムの翼が舞い剣が振られる。それでメタルアーマーが一機真っ二つになる。
「う、うわ、脱出を!」
パイロットはかろうじて脱出に成功する。ヒイロはそれを見て呟く。
「それでいい。無駄に命を減らすな」
「随分と優しいんだな」
そんな彼にライトが声をかける。
「もっとばっさりといっちまうと思ってたけれどね」
「俺達の敵は彼等ではない」
ヒイロはそれに対して静かに返す。
「敵は。あの中にいる」
そして要塞を指差す。
「そうだな」
「行こうぜ、凱さん達はもう突入しているんだろう?」
「いや、今からだ」
タップに応える形で凱がモニターに現われた。
「向こうは俺達にはまだ気付いていないがな」
「そうか。では都合がいい」
ヒイロはそれを聞いて呟く。
「行くか」
「既に突入準備は完了しています」
「中で派手に暴れてやるぜ!」
ボルフォッグとゴルディマーグが言った。
「マイクもいっくもんね~~~~~っ!」
「なあマイク」
タップが目を燃え上がらせるマイクに対して尋ねる。
「何!?」
「おめえのブラザー達もそこにいるんだよな!」
「ノー!ブラザー達は今まで通りマクロスの中ね!」
「で、ディスクセットしたら突入するのか」
「イエッサーーーーー!」
「妙な感じだな。そういやカトルのも」
「おかしいですか?」
「マグアナック隊急に出るからな。四十機もいっぺんに」
「ラシード達は僕の危機には何時でも駆けつけてくれるんですよ」
「そんな問題かね」
「タップ、野暮なことは言いっこなしだぜ」
「そうだ、人には触れられたくないものがある」
デュオとウーヒェイがそれぞれ言う。
「そういうものかね」
「まっいいんじゃないか?戦力としては有り難いし」
「それもそっか」
元々細かいことは気にしない男である。ライトのその言葉、それで納得することにした。
「それよりも今はケーンだ」
「おっと」
トロワの言葉にハッとなる。
「あいつ、もうあんなところまで」
「追いつくぞ」
「ああ」
「我々も行きましょう」
「わかりました、軍曹」
カトルがベン軍曹の言葉に頷く。そして彼等も向かった。
「ガオガイガーまで来ておるのか!」
「は、はい!」
ドルチェノフの混乱はさらに増していた。
「おのれ、小癪な」
「それだけではありません」
「まだ来ておるのか!?」
「はい、今モニターに」
「ウオッ!?」
ドルチェノフはモニターに映る青いマシンを見て思わず声をあげた。
「マイヨ=プラート・・・・・・」
「要塞周辺の防御は手薄です!このままですと!」
「すぐに兵を戻せ!」
「駄目です、今兵を戻すとロンド=ベルが!」
「要塞にまで迫って来ます!」
「叩き落せ!」
「ですが要塞の出力が」
「実弾兵器はどうした!」
「それだけではとても」
「おのれ、おのれぇっ!」
彼は感情を爆発させた。
「どうにかせよ!」
「は、はあ」
しかしどうこうできるものでもなかった。もうケーン達の突入は止められなかった。
「ドルチェノフ!」
ケーンとマイヨは同時に心の中で叫んでいた。
「一発殴ってやらあ!」
「ギルトール閣下の仇、ここで!」
その後ろには仲間達、そして同志達がいた。
二人はそのまま突き進む。そして遂に要塞の中に突入したのであった。ギガノスの最後の時が来ようとしていた。

第九十九話完

2006・6・12  
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