久遠の神話
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第三十話 二対一その五
「女神だっただけにだ」
「かなりの強さですね」
「それなり以上の」
「君達の相手をすることはできなくなった」
権藤はそのラミアを見ながら話す。怪物は下半身をおぞましく蠢かせながらそのうえで立っていた。そのうえで権藤を見据えていた。
権藤もその怪物を見返して。そうして二人に告げていた、
「この怪物の相手をしなくてはな」
「俺達が引き受けると言えば」
「その時はどうしますか」
「別にそれでも構わない」
二人が怪物を倒してもだ。それでもだというのだ。
「私は既にかなりの力を持っているのだからな」
「だからですか」
「それ故に」
「そうだ。ではどうする」
権藤はあらためて二人に問うた。
「私が戦うか。それとも君達が戦うか」
「そうですね」
「それではです」
広瀬と高代はまずはお互いの顔を見合った。そのうえでだ。
それぞれの顔を権藤に向けてだ。こう答えたのだった。
「俺達がこの怪物の相手をします」
「そうさせてもらいます」
「その怪物を倒して強くなるか」
権藤は二人の考えを見抜いてた。そのうえでの言葉だった。74
「そうするか」
「ええ、貴方のその強さを見ていると」
「より強くないと相手になりません」
「だからこそです」
「ここは私達が戦わせてもらいます」
「いいだろう」
鷹揚にだ。権藤は余裕を以て応えた。
「では君達が戦うといい」
「そうさせてもらいますね」
「今から」
「私は高見の見物をさせてもらう」
こう言ってだ。権藤はその手に持つ闇の剣を軽く左から右に振った。そうしてだ。
周りに闇の霧を出してだ。その中に消えたのだった。
だが声だけは残りだ。こう二人に言ってきた。
「君達の戦いは見させてもらう」
「実際に高見の見物で」
「そのうえで、ですね」
「そうだ。戦場からは離脱する」
そうするというのだ。
「後は君達次第だ」
「そうですか」
「ではとりあえずはですね」
「私は君達とは戦わない」
今だけはだというのだ。
「そうさせてもらう」
「では」
「今からは」
こうしてだ。権藤が姿を消したのを受けてだった。
広瀬と高代は今度はラミアと対峙してだ。こう話をした。
「ラミアといいますと」
「知っていますか」
「人の血を吸うのは知っています」
広瀬が知っているのはこのことだった。
「そして人肉を食うことも」
「ラミアは人食いの怪物です」
「そうですね。しかし」
「それだけの怪物ではありません」
「幻術でしたね」
広瀬はギリシア神話についての知識からだ。高代に話した。
「それで人を惑わして」
「そのうえで罠にかけてです」
「そうですね。人を貪り食います」
「それがラミアです」
ラミアは幻術を使う、二人はこのことを確め合った。そのうえでだ。
高代は広瀬にだ。こう言うのだった。
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