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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第九十四話 ガイゾックの最期

               第九十四話 ガイゾックの最期
「そうか、行くのか」
「ああ、ちょっと行って来るよ」
無事脱獄を果たしたグン=ジェム隊の中で小さな別れがあった。ミンが何処かへと向かおうとしていたのだ。
「スタークダインは健在だよね」
「ああ、俺達のもな」
ジンがそれに応える。
「まあ何時でも戻って来い。席は空けておくからな」
「すまないね、大佐」
「一人いなくなると寂しくなるがな」
「お、おで達別れてもずっと一緒」
「ガナン、ゴル」
「まあここは出発を祝っておこう。だがミンよ」
「ああ」
「何かと辛いぞ。それはわかってるな」
「勿論さ」
ミンは笑顔でそれに応えた。
「けれどあたしはやられたらやり返す主義でね」
「相変わらずだな」
「それをやるだけさ。それが終わったら帰って来るよ」
「それまでにしこたま儲けておくぜ」
「そ、それで派手に遊ぶ」
「トレジャーハンターチームグン=ジェム。幸先いい出発といくか」
「勿論だ」
グン=ジェムはガナン、ゴル、ジンにそう応えた。
「ただミンよ」
「何だい、大佐」
「わしよりいい男が見つかったら結婚するのも悪くはないぞ」
「だったらそいじょそこいらの男は誰でもそうじゃないか」
「ははは、言ってくれるな」
「まっ、あたしを惚れさせる男がいればね。考えとくさ」
「案外あの青い髪のニュータイプの坊やに惚れたりしてな」
「そういえば俺は何となくあの坊やがいけすかなかったな」
ジンはガナンの言葉を聞いてふと呟いた。
「何故かはわからないがな」
「と、とにかくミン気を着けろ」
「ああ」
「達者でな」
「たまには手紙を書けよ」
「生憎そんなガラじゃないんでね。まあ便りがないのをそう思ってくれていいよ」
「わかった。それじゃあな」
「ああ」
スタークダインが一機出撃した。そして何処かへと向かうのであった。
ロンド=ベルは宇宙に出た。そして早速ガイゾックの追撃を開始した。
「今のところ反応なしです」
「ミノフスキー粒子も散布されていません」
「とりあえずいきなり遭遇というのはないか」
ブライトはトーレスとサエグサの話を聞いて呟いた。
「まずは一安心だな」
「そうですね。いきなり遭遇するのが一番嫌ですから」
それにカミーユが頷く。彼は今ラー=カイラムの艦橋にいた。
「只でさえここにはティターンズやネオ=ジオンの勢力が入り乱れていますから」
「そうね。用心するに越したことはないわ」
エマがそれに頷く。
「何事もね」
「はい」
「何が出て来るかわからないっていうのは。落ち着かないけれど」
「今のところティターンズはゼダンの門で勢力回復に務めているみたいですね」
ファが言った。
「そしてネオ=ジオンもアクシズで」
「木星と火星も。とりあえずは穏やかですね」
「そうだな。だがプラントのこともある」
「プラント」
「彼等とティターンズが険悪な関係になってきているのだ」
ブライトは言った。
「それもわかっているな」
「ええ、まあ」
「話は聞いています」
「ところで艦長」
フォウがブライトに問うた。
「コーディネイターは。私やプルツーとどう違うのでしょうか」
「そういえばそうだな」
ギュネイもそれに気付く。
「話を聞いていると俺達とあまり差がないな」
「お友達なの?」
「同じ人間には違いないさ」
カミーユはロザミアにそう説明した。
「結局は。けれどそれを違うって言う奴等もいる」
「ブルーコスモスの連中だよな」
「ああ」
ギュネイの言葉に頷く。
「あの連中は。コーディネイターを化け物だと決め付けている」
「おかしな話ね。彼等が協力しているティターンズの研究施設から私やロザミィは生まれたのに」
「そうだったな」
カミーユはそれを聞いて思い出した。フォウはムラサメ研究所、ロザミアはオーガスタ研究所で強化されたのである。それは忘れられることの出来ないものである筈だったが常に側にいることで忘れてしまっていた。
「君もロザミィも」
「で、ブルーコスモスはブルーコスモスで何してるかわからないしな」
ギュネイは言った。
「あのムルタ=アズラエルって奴か」
「ああ」
「企業連合の盟主らしいが碌でもない奴じゃねえだろうな。ティターンズと手を組む位だからな」
「思想が一致したということだな」
クワトロがここで言った。
「地球至上主義者と所謂ナチュラル至上主義者が」
「同じ穴の狢ということですか」
「むしろ彼等は同じなのだよ」
クワトロはカミーユにこう返した。
「偏狭な思想に取り憑かれているという意味ではな」
「そういうことですか」
「ネオ=ジオンも同じさ。火星の後継者達も」
「結局皆自分のことだけしか考えてないのね」
「クェス、それはちょっと違うんじゃない?」
「いえ、そうかも」
ファは懐疑的な言葉を述べたがエマは頷くものがあった。
「偏狭な思想しか持たないエゴイズムが問題だとすると」
「そういうことだ。結局はティターンズもネオ=ジオンもエゴイストなのだよ」
クワトロは一瞬遠くを見た。
「人類はまだそれに囚われている。何時かは抜け出せるとしてもそれは容易ではない」
「クワトロ大尉」
「しかしそうではない者も多くいる。私は彼等を見守っていたいな」
「何言ってるんですか、大尉」
クェスがそんな彼に対して言った。
「大尉だってそんな歳じゃないのに」
「言ってくれるな」
「まだまだこれからですよ。赤い彗星の活躍を皆期待しているんですよ」
「そうかな。そろそろ引退も考えていたが」
「ええっ、クワトロ大尉それ本当ですか!?」
ラー=カイラムのモニターにいきなり兎の着ぐるみのユリカが出て来た。
「えっ、いや」
そのユリカを見てさしものクワトロも言葉を失う。
「そんなの嫌ですよ。私まだ大尉のサイン貰っていませんから」
「あの、ミスマル中佐」
「はい」
彼は一応大尉にはなっているがジオンの経歴から大佐か中佐扱いとなっている。
「以前中佐にはサインをした記憶があるが」
「そうでしたっけ」
「間違いない。確か前にナデシコに来た時に」
「あっ、そうでした」
「確かダイゴウジ君には三枚書いた記憶がある」
「は。ヤマダさん大喜びでしたよ」
「うん。喜んでくれて何よりだ」
「白い流星とのダブルだって。家法にするって」
「冥利に尽きると言うべきなのかな」
「皆大尉を尊敬しているんですよ。ですからここは」
「迂闊に引退もできないというわけか」
「少なくともここにいる間は」
「やれやれだ」
「ところでミスマル中佐」
「はい」
ブライトの問いに応える。
「その格好は」
「あっ、これですか!?」
「うむ。一体どうしたのか」
「これ、ナデシコの艦内放送なんです」
「艦内放送」
「はい。レクレーションで。ホシノ少佐と一緒に」
「はい」
ルリも出て来た。見れば繋ぎの服を着ている。
「一矢さんとエリカさんの応援に」
「一矢の」
「バームとの戦いももうすぐですから。その為に皆で一矢さんを励ましてるんです」
「艦内放送でも。兎の艦長と私が」
「そうだったのか」
「その後だったんですよ」
「そうか。最初は何かと思ってしまった」
ブライトはようやく事情を飲み込んだ。
「それならいい」
「はい」
「だがそろそろガイゾックと遭遇する可能性もあるな」
「そうですね」
ルリがそれに頷く。
「その場合激しい戦闘になると思います」
「総員スタンバっておくか」
「了解」
「ではそちらもすぐに着替えてくれ」
「はい」
「わかりました」
こうしてロンド=ベルは戦闘態勢に入った。暫くしてレーダーに反応があった。
「ガイゾックのものです」
「ドンピシャってやつね」
ミサトはマヤからの報告を聞いて頷いた。
「よし、総員戦闘配置だ」
「総員戦闘配置」
グローバルの言葉をキムが復唱し総員それに従う。
各員それぞれの機体に乗り込み出撃する。それと同時にまた報告があがった。
「バンドック補足」
やがて肉眼でも確認出来るまでになった。
「かなりダメージを受けています」
「大阪での戦いからまだ立ち直っていないようですね」
「そうだな。だがそれでも油断は出来ない」
「はい」
未沙はここでも慎重だった。
「総員に告ぐ」
そして各機に通信を入れる。
「ガイゾックはまだかなりの戦力を保持しているものと思われます。油断は禁物です」
「了解」
「まっ、手負いの虎ってやつだな」
フォッカーと柿崎がそれを聞いて言う。
「油断大敵だ。いいな、輝」
「はい」
「さもないと腕の一本じゃ二本じゃ済まないぜ」
「驚かさないで下さいよ」
「ははは、まあ気を着けろってことだ」
「了解です」
バルキリー隊も出撃する。そして布陣した時にはガイゾックもあるだけのメカブーストを出していた。
「ええい、こうなればやけじゃ!」
「御意、ブッチャー」
ギッザーがそれに応える。
「わしの遊びを邪魔しおって!許さんぞ!」
「おい、ちょっと待ちやがれ!」
勝平が遊びという言葉を聞いて激昂する。
「今までのは遊びだっていうのか!」
「そうじゃ。虫けらを殺す遊びじゃ」
ブッチャーは当然といった態度でこう述べる。
「それがどうしたのじゃ?」
「手前、絶対に許さねえ!アキはその遊びのせいで死ぬところだったんだぞ!」
「それがどうしたのじゃ。地球の連中の命なぞ知ったことではないわ」
「何だと!」
「地球の連中のことなぞな。ホッホッホ」
「待ちなさいよ、ブッチャー!」
恵子も問い詰める。
「人間爆弾なんてことしておいてよくもそんなことが言えるわね!」
「だからそれがどうしたというのじゃ」
ブッチャーの態度は相変わらずであった。
「地球の原住民なぞ。皆殺しにするつもりじゃしな」
「何て野郎だ」
「こんな野郎、生かしておくわけにはいかないな」
勝平に続いて宇宙太も怒りで震えていた。
「勝平、一気に決めるぞ!」
「ああ!」
ザンボットは突進を開始する。だがその前にメカブースト達が迫る。しかしそこにビルバインとズワースが来た。
「はああああっ!」
「やらせんっ!」
二人はそれぞれ左右に剣を振りメカブースト達を薙ぎ払う。そしてザンボットの道を開けた。
「ショウさん、それにバーンさん」
「俺達が血路を開く!」
「君達はそのまま突き進め!」
二人は恵子にそう返した。
「それでいいんですね」
「ああ」
「その為に来たんだから」
「有り難いぜ。じゃあ悪いが先に行かせてもらうぜ!」
勝平がそこで前に出ようとする。しかしそこにまた一機やって来た。しかしそれはトッドのビルバインが真っ二つにした。
「みえみえなんだよな!」
「トッドさんまで」
「おいおい、俺は『まで』かよ」
「あっ、御免なさい」
「けどまあこれで道が開けたんじゃないのか?」
「道が」
「それか一気に撃っちまうとかよ。どうだい?」
「勝平」
宇宙太が声をかけてきた。
「どうした?」
「やれるぞ、イオン砲だ」
「イオン砲か」
「そうだ。この距離ならいける。どうする?」
「やれるんなら一気に決めてやるさ」
勝平には迷いはなかった。
「ブッチャー、これで決めてやる!」
ザンボットはイオン砲を取り出して構えた。
「行くぜ!覚悟しやがれ!」
「ホーーーーホッホッホ、遠くから撃てばいいというものではないわ」
バンドックはここで攻撃を仕掛けてきた。
「このバンドック、沈めはさせぬぞ」
「その減らず口、これまでにさせてやらあ!」
イオン砲にエネルギーを充填させる。
「いっけええええええええええええええええええええ!」
イオン砲が放たれた。だがそこにはバンドック砲の光が迫る。
二つの光がぶつかり合った。だがバンドック砲の光は押し返される。そしてバンドックに迫る。
そのままイオン砲の光が貫いた。バンドックはその機能を停止させた。
「バ、バンドック砲が」
バンドックの司令室も炎に包まれていた。ブッチャーも全身から血を流している。
「この様なことがあろうとは・・・・・・」
「見たか!これがザンボットの力だ!」
勝平はイオン砲を構えたまま叫ぶ。
「ブッチャー!これで手前もガイゾックも終わりだ!覚悟しやがれ!」
「ムホホホホホホ、無駄なことを」
「まだ減らず口かよ!」
「違うのう。地球はどちらにしろ滅びる運命にあるのだ」
「何っ!?」
「滅びる運命には。ムホホホホホホホ・・・・・・」
最後にそう言い残して倒れた。ブッチャーの最期であった。
「この期に及んで負け惜しみかよ」
「最期まで往生際の悪い奴だったわね」
「いや、残念だがそれは違うようだ」
だがここでダイターンが出て来た。
「万丈さん」
「見たまえ、あれを」
そしてダイターンの指でバンドックを指差す。
「バンドックはまだ力を完全には失ってはいない」
「何だって!?」
「それどころか。何かが目覚めようとしている」
「何かが」
「それは一体」
「そら、出て来たぞ」
大破したバンドックから何かが目覚めた。そして語りはじめた。
「地球、イヤビアルノ者達モイルカ」
「何だ、手前は」
「私ハコンピュータードール八号」
その声は硬質の声で述べていた。
「バンドックノマザーコンピューターダ」
「手前が黒幕ってわけか」
「何故戦ウ」
「!?」
勝平だけではなかった。皆その言葉に動きを止めた。既に戦いは終わっていた。やはり手負いのガイゾックでは今の
ロンド=ベルの敵ではなかったのだ。
「何故、御前達は戦うのだ」
「そんなの決まってるだろうが」
勝平はそれに答えた。
「地球の為、皆の為だ」
「感謝サレズトモカ」
「何っ!?」
「知ッテイル。御前達ガ戦ッテイル間ドノヨウナコトヲ言ワレテキタカヲ」
「・・・・・・・・・」
勝平は沈黙してしまった。自分達がいるからガイゾックが来るのだと言われたことは忘れられなかった。
「誰ガ頼ンダノダ。誰ガ戦エト頼ンダノダ」
「それは・・・・・・」
「私ハ悪意ニ反応スル」
「悪意に!?」
「銀河ニアル悪意ニ。ソシテコノ星ニヤッテ来タ」
「馬鹿な、じゃあビアル星は」
「ソウダ」
コンピュータードールは宇宙太の言葉に答えた。
「ビアル星ニモ悪意が芽生エテイタ。ダカラ滅ボシタノダ」
「そんな、そんなことって」
恵子はその言葉を聞いて色を失った。
「私達の御先祖様が、悪意を持っていたなんて」
「ダカラコソ滅ボシタノダ。我等バンドックガ」
「クッ!」
「ソシテ地球モ。ダガ御前達は何故私ノ邪魔ヲスルノダ」
「それを言わなくちゃいけないかい?」
「何ッ!?」
万丈がここで前に出て来た。
「確かにビアル星にも悪意はあっただろう。そして地球にも」
彼は言った。
「それは認めるさ。しかし人間はそれだけじゃない。悪意の他にも色々なものを持っているんだ」
「・・・・・・・・・」
「そして誰に頼まれたから戦っているわけじゃない。僕達は自分から進んで戦っているんだ。人々の為にね」
「何ダト・・・・・・」
「ガイゾック、そしてコンピュータードール八号、御前達は何もわかっていない。悪意だけが人間ではないということが」
「そうだ、その通りだ!」
勝平達は万丈の言葉によって目覚めた。
「俺達は誰に頼まれたわけでもねえ!自分からやっているんだ!」
「何ダト・・・・・・」
「そして戦っているんだ!」
「そうだ、確かに地球にだって悪意はある!」
宇宙太も続いた。
「けれどそれ以上に素晴らしいものは一杯あるわ!それを壊させはしないわ!」
恵子も。彼等は今完全に目覚めていた。
「地球人だってな、いい奴は一杯いるんだ!そしてそれを邪魔する権利は誰にだってねえ!」
「バルマー帝国でも!」
「ガイゾックでもよ!」
「ワ、ワカラナイ」
コンピュータードールは混乱をはじめた。
「コンナコトガ。アルノカ」
「さあ滅びるんだガイゾック!」
万丈は攻撃態勢に入った。
「勝平、合わせるんだ!」
「ああ!」
ダイターンとザンボットは動きを合わせた。
「行くぞ、日輪の輝きを受けて!今必殺の!」
「これで決めるぜ!」
「サン=アタァァァァァァァァァァック!」
「サンボット=ムーンアタァァァァァァァァァック!」
サンアタックとムーンアタック、二つの技が炸裂した。バンドックは今太陽と月を同時に受けたのだった。
「・・・・・・・・・」
バンドックは完全に動きを止めてしまった。コンピュータードールも沈黙してしまっていた。
そして爆発四散する。後には何も残ってはいなかった。
「終わったな」
「ああ」
「これで。ガイゾックとの戦いも終わりなので」
勝平達三人は炎となり消えていくバンドックを眺めながら言った。
「だが俺達の戦いはまだ」
「その通りじゃ勝平」
「爺ちゃん」
ザンボットのモニターに兵左衛門が現われた。
「まずはガイゾックを倒したこと、見事と褒めておこう」
「ああ」
「しかしまだまだ戦いは続く。御前達の戦いもな」
「じゃあこのままロンド=ベルにいろってことだな」
「そうじゃ。それはわかっているな」
「これまで通り派手に暴れ回っていいってことだな」
「こら勝平、それは違うだろ」
「もう、全然変わらないんだから、その性格は」
「いいじゃねえかよ、それ位」
「では三人共、これからも頼むぞ」
「ああ」
「地球をな」
「そして勝平君」
今度は大河長官がモニターに現われた。
「長官」
「私からもおめでとうを言おう。そして」
「そして?」
「君の友人達からの声を伝えよう」
「勝平!?」
「っておい」
モニターに香月達がいた。そしてアキとミチも。
「ミチ、御前も無事だったのか」
「ええ、何とか」
「アキも。いるんだよな」
「何言ってるのよ、あの時助けてもらったじゃない」
「そうか、そうだったんだよな」
「勝平、済まなかったな。あの時はあんな酷いこと言っちまって」
香月はそう言って勝平に謝罪した。
「御前、俺達の為に戦ってたんだな。それ、知らなかったよ」
「いいんだよ、わかってくれたら」
勝平は何時になく優しい心になっていた。
「それより。御前達が無事だったら。それだけでいいんだ」
「勝平・・・・・・」
「勝平、待ってるからね」
ミチが言った。
「戦争が終わったらまた一緒に遊ぼうね」
「ミチ・・・・・・」
「あたしも。待ってるから」
アキも言った。
「ミチと二人で」
「済まないな、アキ」
「俺もいるぜ」
「おっと、忘れてた」
「ってなあ、おい」
香月はそれでも苦笑いで済ませた。仕方ないといった感じだった。
「帰って来たらまた喧嘩しようぜ」
「おう、今度もコテンパンにしてやるからな」
「ヘッ、そうそう上手くいくと思うなよ」
「おいおい、それは俺に一回でも勝ってから言えよ」
「そっちこそ何時でも勝てると思うなよ」
二人は喧嘩友達に戻っていた。戦いを経て彼等もそれに戻っていたのだ。
「勝平」
そして兵左衛門がまた声をかけてきた。
「ああ」
「キングビアルはこのまま地球の防衛にあたる。後ろは安心するのじゃ」
「わかったぜ、爺ちゃん」
「それでは皆さんも頼みますぞ」
「はい」
「お任せ下さい」
兵左衛門にグローバルとブライトが応えた。
「必ず地球に平和を」
彼等の決意は変わってはいなかった。その為にここにいるのだから。
兵左衛門達からの通信は終わった。そして補給の為にオービットへ向かう彼等にまた通信が入った。
「諸君、よくやってくれた」
大河が通信に出て来た。
「これでガイゾックは倒れ地球の脅威はまた一つ消え去った」
「有り難うございます」
「だが戦いはまだ終わったわけではない。この宇宙にも敵は至るところにいる」
「はい」
「しかし今は備える時だ。諸君等の来訪を待っている」
「了解しました。ではこれで」
「うむ」
ロンド=ベルはオービットベースへ向かう。だがこれは新たな戦場へ向かうことでしかなかった。彼等はそれをまだ知りはしなかったのであった。
第九十四話完

2006・5・20  
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