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久遠の神話

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第十四話 水と木その一


                        久遠の神話
                      第十四話  水と木
 マジックにだ。聡美は上城と樹里を呼んだ。そのうえでだ。
 四人用の席、ダークブラウンのそこに座りコーヒーを飲みながらだ。彼女は二人に話すのだった。
 二人は並んで座り彼女と対している。二人が飲んでいるのは紅茶だ。
 その紅茶を手にする二人にだ。聡美は話した。
「あの広瀬さんですが」
「あっ、何か工藤さん達と戦われたとか」
「はい、そうされました」
 聡美はこう上城に答えた。
「そしてかなりの強さだったそうです」
「御二人を一度にですよね」
「相手にされそれで」
「五分と五分だったんですか」
「剣士がそれぞれ持つ力は等しいです」
「等しい?」
「火でも水でも相性はあってもどれが強く弱いということはありません」
 そういうことはないとだ。聡美は話すのだった。
「ただです」
「剣士それぞれの力量はですか」
「そして力を使いこなす技量もです」
「そういったものはそれぞれですか」
「はい、強弱があります」
 剣士自体にはだ。それがあるというのだ。
「そしてあの人はです」
「剣士としての力がかなりなんですね」
「その様です。力をかなり引き出しています」
「木のその力を」
「木は火に弱く斬られるものです」
 そうした意味では刃にも弱い。しかしだというのだ。
「ですが使いこなせば火も防げ刃も退けられます」
「木でもですね」
「例えば木の中の水分を増やします」
「そうすれば火は防げますね」
「火は水に弱いものです」
 その水を使う上城に対しての話である。
「ですからそれも可能です」
「そして木を極限まで硬くすれば」
「刃も防げます」
 それも可能になるのだった。
「そうした意味で木もまた火に勝つことができるのです」
「その木をそこまで引き出されているんですか」
「あの人はそうです」
「だから工藤さんと高橋さんを一度に相手にできたんですか」
 上城はこう述べてだ。考える顔になるのだった。
 そのうえでだ。彼は紅茶を皿の上に置いてだ。聡美に尋ねた。
「あの人は戦われるんでしたね」
「その御考えですね」
「じゃあやっぱり」
「若しもです」
 一旦前置きしてだ。聡美は彼に話した。
「上城さんがあの人と闘われるとなると」
「敗れますか」
「貴方は闘われないと仰っていますが」
「はい、絶対にです」
 剣士達とはだ。それは彼の中では絶対だった。
「そのつもりです」
「ですからその時はです」
「どうすればいいでしょうか。僕があの人と会ったら」
「お逃げ下さい」
 そうしろというのだ。
「絶対に」
「その時はですか」
「はい、危険です」
 こう上城に言うのだった。
「何があっても」
「そうですか。逃げるべきですか」
「逃げるのはお嫌いですか?」
「そういうのはちょっと」
 実際に困った顔で答える上城だった。 
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