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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第九十話 応えよ、オルファン

                第九十話 応えよ、オルファン
ドクーガは闇の組織である。その存在は謎に包まれておりその本部も何処にあるのか多くの者が知らない。
だがその本部に今三人の幹部がいた。そして暗い廊下を歩きながら話をしていた。
「ケルナグール、御主アフリカで派手にやっていたそうだな」
「おう」
彼はカットナルの言葉に応えた。
「ミケーネの連中相手にな。いい汗をかいてきたわ」
「ミケーネ帝国と人類の戦いは互いの存亡をかけた戦い」
ブンドルはそれを耳にして呟く。
「勝者には青き地球、敗者には滅亡。背負うものが大きければ大きい程のその悲壮なものは高まり」
そして薔薇を掲げる。
「美しい・・・・・・」
「で、いつもの発言が終わったところでだ」
カットナルは何事もなかったかの様に話を続ける。
「この戦争によりドクーガの各部門は大きな収入を得ている。戦争は大きな消費だからな」
「おうよ」
「それに戦いを繰り広げられる。将に我々にとっては最高の時だ」
「だが今度の戦いは少し趣向が違うな」
「うむ、オルファンだな」
「そうよ。詳しいことはゴッドネロス様にお伺いすることになるが」
三人は今ドクーガの首領であるゴッドネロスの間に向かっていたのだ。
「一体どの様な戦いであろうな」
「グッドサンダーの連中も誘き出す為らしいがな」
「あの連中もか」
「そうだ。これは私が確認した」
ブンドルは二人に対して言った。
「今回の作戦は対ロンド=ベルの意味もある」
「そうか」
「そろそろ彼等とも雌雄を決する時なのだ」
「いよいよだな」
「おう、腕が鳴るわい」
「御主は相手が誰でも戦えればいいのであろう」
「違うぞ、わしにしろ相手を選ぶわ」
そんな話をしながら巨大な玄室に入った。そしてその奥にいる巨大な影に片膝をつき平伏した。
「よくぞ来た」
「はい」
「御機嫌麗しゅう」
「作戦のことは聞いていような」
その影は見ればスキンヘッドの初老の男であった。彼こそがドクーガの首領であり三人の上に立つ男ゴッドネロスであったのだ。
「はい」
三人を代表してブンドルが応えた。
「オルファンに向かいそして同時にロンド=ベルを」
「そうだ」
ゴッドネロスはその言葉に頷いた。
「我等の真の目的はビムラーを手中に収めることにある」
「はい」
これは三人もわかっていた。
「我々に残された時間は僅かしかない。急ぐようにな」
「ところでゴッドネロス様」
「何だ、カットナル将軍よ」
「ビムラーを手に入れることに何の意味があるのでしょうか」
「既に超空間航行は実用段階に入っておりますが」
ブンドルも言った。
「そこです。わしも前から気になっておりました」
ケルナグールも疑念を抱いていた。これは三人共同じであった。
「宜しければ御聞かせ願いたいのですが」
「三人共そこまでだ」
だがゴッドネロスはそんな彼等を制止した。
「今は。言うことはない」
「左様ですか」
「そうだ。まずは作戦を遂行せよ。よいな」
「はっ」
「不服はあろか」
「いえ」
三人は疑念はあったが不服はなかった。
「わしは地球連邦上院議員の選挙がありますし」
「わしは戦えればそれで満足です」
「私としてもビムラーの謎が簡単に解き明かされては面白くありません」
「そうか。ならばよい」
ゴッドネロスはそれを聞いてまずは安心したようであった。
「流石わしが見込んだ者達だ。吉報を待っているぞ」
「ハッ」
三人はすぐに出撃した。彼等は三隻の戦艦を並べ通信で連絡をとっていた。
「残された時間は僅かか」
ブンドルはその中で語っていた。
「ビムラー・・・・・・不思議なエネルギーだ」
「そしてどうやってロンド=ベルを誘い出すのだ?」
「それは任せておけ」
カットナルに応える。
「既に手筈は整えている」
「フン、では期待させてもらうぞ」
「任せておけ。だがその後は御前達に任せよう」
「おう、そちらは安心しておけ」
「思う存分暴れてやるわ」
「全ての鍵は女神と引き合う孤独な女神が握っている」
「女神!?」
「また何じゃそれは」
「すぐにわかる。すぐにな」
「飲んでおらんな」
「何を言う」
ケルナグールの言葉にムッとする。
「私はこの程度で寄ったりはしない」
「やはり飲んでおるではないか」
「何なら二日酔いの薬をやるぞ。どうだ?」
「・・・・・・余計なお世話だ」
今回は決まらなかった。ブンドルはそれに不満を持ちながらオルファンに向かっていた。
「ドレイクとの戦いが終わったら」
「今度はドクーガなんて。休む間もないわね」
「そうだな」
勇はカナンの言葉に応えた。
「しかもオルファンを目指している。やはり放ってはおけないか」
「それでカントと彼の友人のナッキィがこちらに向かってるわ」
「カントがか」
「ええ、ブレンに乗ってね」
「あいつもブレンに乗れるのか」
「ええ。心が通じたらしくて」
「そうなのか」
「二人共ロンド=ベルに正式に加わることになったそうよ」
「子供まで戦うのか」
「そんなこと言ったら勝平君達だってそうじゃない」
「そういえばそうか」
「子供だからって言葉はロンド=ベルじゃ通用しないと思っていいわよ」
「そうか、そうだな」
勇はそれに頷くことにした。
「あとダブリンから同行しているジャーナリストがいたよな」
「イザベル=クロンカイトさんね」
「ああ、あの人はどうしてるんだ?」
「グッドサンダーチームと一緒にいるわ。何でも親子二代でドクーガを追ってるらしくて」
「へえ」
「何かと思うところがあるみたい。あの人のことはキリーさん達に任せましょ」
「ああ、そうだな」
その頃キリーは自室で自伝を書いていた。彼は戦いの最中にもこうして時間を見つけては執筆しているのである。
「ブロンクスの狼第一章」
まずは題名を書いていた。
「俺には何もなかった。親も兄弟も友達も。何もなかった」
書きながら呟いていた。
「駄目だな」
だがどうにも気に入らなかった。
「今一つだ。どうしようかな」
ここで扉をノックする音が聞こえてきた。
「アカリか?いつも済まないな」
アカリはいつも彼にコーヒーを持って来てくれるのだ。キリーはそれだろうと思った。
確かにアカリが来た。しかし彼女だけではなかった。
「お邪魔します」
「っておい」
美しく、凛とした若い女性がそこにいた。彼女がそのジャーナリストイザベルであった。
「あんたも来たのか」
「取材の為にね」
「このお姉ちゃん困っていたも」
クマゾーがキリーに言った。
「困ってたって」
「ロンド=ベルの皆さんに取材をしようと思ったのだけれど」
「上手くいかなかったってか」
「ええ」
彼女はうっすらと苦笑いを浮かべて答えた。
「ニュータイプアムロ=レイ、ジオンの赤い彗星シャア=アズナブル」
「おっと、今はクワトロ大尉だぜ」
「あっ」
「まあいい続けて」
「獣戦機隊リーダー藤原忍、孤高の戦士剣鉄也、聖戦士ショウ=ザマ、異星の戦士ダバ=マイロード、スポーツ選手からの転身ツワブキ=サンシロー、深海を発して伊佐未勇、皆断られてしまって」
「それで俺が貧乏くじを引いたと」
「よかったらお話を」
「といってもな」
「あら」
だがここでイザベルはキリーの机のノートパソコンに気付いた。
「その文章は」
「あっ、これは」
「凄い、自伝なんですか」
「まあ、ちょっとね」
キリーは彼にしては珍しくバツの悪い顔をしていた。
「ブロンクスの狼・・・・・・ってまさか」
「知ってたか」
「ニューヨークの暗黒街で有名でしたから」
「やっぱりな。どうもそっちに話を振られると」
「けれど凄いじゃないですか。かって暗黒街にいた貴方が今じゃ正義の為にって」
イザベルは声も顔も輝かせていた。
「希望の星です、本当に」
「希望の星、ね」
だが当のキリーはいい顔をしてはいなかった。それでもイザベルは続けた。
「完成したら是非読ませて下さい、きっとベストセラーになりますよ」
不幸にしてこの予想は外れた。
「あのね」
「はい」
「その正義の味方、希望の星から君に言いたいことがあるんだけれど」
「何ですか?」
「俺が望んでいることは二つ」
「はい」
「君がこのままこの部屋を出て行くか、俺と一緒に夜明けのコーヒーを飲むかどちらかだけれど」
「えっ!?」
「夜明けのコーヒーって何だも?」
「朝までお仕事することってことじゃないかしら」
「まあ子供にはまだわからないことさ」
「そうだも?」
「まっ、十年後だな」
「変なの、十年も経たないとわからないなんて」
「世の中そういうものさ。さあお嬢さんどうするんだい?」
キリーはイザベルに尋ねた。
「その気がないならバイバイだ」
「はあ」
こうしてイザベルは部屋を出ることになった。結局キリーからインタヴューは受けられなかったのであった。ロンド=ベルはカナダを通過して太平洋上に出ていた。そしてそこでノヴィス=ノアと合流した。
「お久しぶりです」
一同はアイリーンと再会した。親しい挨拶であった。
「随分と落ち着かれましたね」
「そうでしょうか」
カナンの言葉に少し苦い笑みを浮かべた。
「私は。自分ではまだまだと思っているのですが」
「ううん、違うよ」
だがヒメがそうではないと言った。
「アイリーンさん頑張っているから。それが出て来てるんだよ」
「そうかしら」
「それで艦長」
獅子王麗雄博士が彼女に尋ねた。
「今オルファンはどうなっていますか?」
「今までシベリア上空にいたのですが」
「はい」
「今は。チベットのラサに向かっています」
「ラサに」
「はい。これは」
「オーガニック=エナジーの喪失を恐怖してのことだと思います」
「君は」
「お久し振りです、皆さん」
カントがそこにいた。穏やかな微笑を浮かべている。
「僕も。ロンド=ベルに合流することになりました。宜しくお願いします」
「俺もな」
もう一人少年が現われた。
「ナッキィっていうんだ。話は聞いてるな」
「君達がブレンの新しいパイロットだね」
「ああ」
ナッキィは獅子王博士の言葉に応えた。
「そうさ、宜しく頼むぜ」
「お願いします」
「いいわねえ、カント君まで参加して」
ミサトはカントを見てにこにことしていた。
「美少年が揃って。まだまだ来てくれるかしら」
「ミサト、最近趣味が変わった?」
「えっ!?」
リツコの言葉に顔を向ける。
「どういうこと!?」
「この前までアムロ中佐に声かけてたけれど最近何か男の子ばかり見てるじゃない」
「そうかしら」
「美少年趣味だったの、貴女って」
「まあ嫌いじゃないけれど」
渋々ながらそれも認めた。
「けど。アムロ中佐もいいじゃない」
「大人の人も?」
「あの声がね。しびれるのよ」
「昔何かあったの?」
「別にそんなのじゃないけど。まあアムロ中佐は頼りになるし」
「ピンチの時はね。いつも助けてもらってるし」
「そうそう。けどやっぱり可愛い男の子が一杯いるのって華やかになるじゃない」
その顔はまるで甘いお菓子を食べている様な顔であった。
「ヒイロ君達もいるし。勇君もいるし」
「段々そっちに話がいくわね」
「まあ一晩位なら。借りてもいいわね」
「それやったら犯罪よ。覚えているわね」
「冗談よ、冗談」
「最近のミサトは冗談に思えないわ」
「そうかしら」
「ええ。まあ付き合うのならばれないようにこっそりとね」
かなり矛盾した言葉ではあったがリツコは嗜めていた。その間にも話は続いていた。
「しかし何でラサなんだ?」
勇にはそれがまず不思議だった。
「どうしてあそこに」
「ラサはかって多くの戦いが繰り広げられましたから」
「確かに」
ルリがそれに頷く。ラサは宇宙への港がありこれまでも何かと戦場になっていたのだ。
「それによりあの場所は深く傷付いています。オルファンはそれを悼んでいるのでしょう」
「オルファンが」
「オルファンが進んだところでは植物が活性化しています」
カントはまた言った。
「それじゃあオーガニック=エナジーが活性化しているってことか」
ナンガはそれを聞いて考える顔になった。
「君の言葉を聞くと」
「そうです」
そしてカントはそれに頷いた。
「オルファンの飛翔は。人類にとってマイナスではないと思います」
「ねえ勇」
ヒメが勇に声をかけてきた。勇はカントの言葉を黙って聞いていた。
「何だ?」
「再リバイバルした時だけれど」
「ネリーさんの時か」
「うん。あの時ネリーさんのブレンと勇のブレンが一緒になったって言ったよね」
「ああ・・・・・・!?」
ここで勇は気付いた。
「若しかすると」
彼は声をあげた。
「地球の問題やオルファンの事って全て絶望的じゃないのか」
「そうよ!ブレンは空を飛んできたものだし!」
ヒメも言った。
「ちっとも悪い事じゃないんだ!」
「上手くいくってことだよ!」
「そうだ、絶望することはないんだ!」
「そうだよ、きっとそうだよ!」
「だが」
獅子王博士は考える顔になっていた。
「論理的な結論じゃないな」
「ですが獅子王博士」
アイリーンは彼に対して言った。
「あの子達は私達よりオーガニック的なものに触れている時間が長いのです」
「その直感を信じたいと?」
「はい。それは博士も同じだと思っていましたが」
「その通りだ」
そして彼もそれに頷いた。
「それに僕もこの目で直接オルファンを見てみたい」
「そうなのですか」
「ただオルファンは人間の手には余るものです」
ここでカントはこう言った。
「オルファンを人間が管理している今の状況はおかしいのです」
「ではオルファンからリクレイマーを排除すべきだと」
「はい」
彼は獅子王博士の言葉に頷いた。
「オルファンの安全が明らかになればそうするのが当然だと思います」
「わかった。それではオルファンに向かおう」
シナプスが言った。
「そしてオルファン・・・・・・ひいては地球の未来を見に行きましょう」
「ああ」
こうしてロンド=ベルはラサに向かった。もうそこにはオルファンは浮遊していた。
「お、おい」
甲児が声をあげた。
「でけえな、これはまた」
豹馬も。
「この山みてえなのがオルファンだってのかよ」
「コロニーよりもずっと大きいじゃねえかよ」
宇宙育ちのジュドーらしい言葉であった。
「こんなのが浮かんでるなんて。信じられないわ」
「ああ。だがこれは本当のことだ」
凱は命に対してこう言った。
「オルファン、これがか」
「見て、勇」
ここでヒメがある場所を指差した。
「どうしたんだ!?」
「ほら、あそこ」
指差したその先には一輪の白い花があった。
「お花が」
「本当だ」
「ふむ」
獅子王博士の兄はそれを見て弟と同じ顔をしていた。
「やはりな」
「どうしたんだ、兄ちゃん」
「御前と同じことを考えてるんだ。やっぱりオルファンが周辺のオーガニック=エナジーを活性化させているらしい」
「だから花が」
「そう、つまり」
「オルファンが地球をなおしてくれているんだね」
「そういうことだ、護君」
「オルファンの周りにお友達が一杯集まってる」
ケン太も言った。
「凄く優しい・・・・・・。この周りは」
「レーダーには反応がありません」
シモンがシナプスに報告する。
「ドクーガに先んじることはできたが」
「ええ。ですが」
ルリが言う。
「別の人達が」
「リクレイマーか」
「はい。今出て来ています」
見ればオルファンからリクレイマー達が次々と現われていた。そしてその中には白いアンチボディもあった。
「あのアンチボディは」
カナンはすぐにそれに気付いた。
「あれにはジョナサンが」
「ああ、こっちにも狂暴な気が伝わって来る」
ラッセにもそれがわかった。
「そして姉さんも」
勇も姉の気を感じていた。
「やっぱり来ているのか」
「カント、ナッキィ」
ヒギンスは二人に声をかけていた。
「はい」
「はじめてだから。気をつけるんだ」
「了解」
「ああ、わかった」
二人はそれに頷く。そしてブレンに乗り込んでいた。
「リクレイマー、応答願う」
グローバルがオルファンに語り掛けていた。
「こちらはロンド=ベルのグローバル准将だ。我々は話し合いに来た」
だが返事はなかった。
「返答はなしか」
「宜しいのですか」
ジョナサンはそれを見てオルファンの司令部に通信を入れた。
「かってのお仲間と戦うのは気が引けるとか。そういうわけではありますまい」
「違う」
だが声はそれを否定した。
「私は彼等のやり方では地球、そして人類は救えないと見ている」
声は言った。
「だからこそ私は戻ってきたのだ。ガバナーとしてな」
「左様ですか。それでは」
「うむ」
ジョナサンを先頭にグランチャー達が動き出す。それを見てロンド=ベル達も動かざるを得なかった。
「グランチャー、来ます」
「伊佐木博士、応答を願う」
グローバルはまだ諦めてはいなかった。また通信を入れる。
「このままではこちらも応戦せざるを得ない。それでもよいのか」
「今このオルファンの指揮権は博士にはない」
「何っ!?」
「この声は」
「現在オルファンの指揮はこの私・・・・・・ガバナーが握っている」
声は言った。
「この声って」
「ああ、間違いない」
勇はヒメに応えた。
「ゲイブリッジ司令の声だ」
「けれどガバナーって」
「リクレイマーの統括者でオルファンの力を調整しようとする者、それがガバナーだ」
ゲイブリッジは言った。
「リクレイマーの」
「そうだ」
彼はヒメの問いに答える。
「それが私の本来の職務なのだ」
「そんな・・・・・・じゃあ私達をずっと騙していて」
「どういうことですか、ゲイブリッジ司令」
「そのままのことだよ、勇君」
「そんな・・・・・・クッ」
「しかし司令は政府との交渉の為にノヴァイス=ノアを降りたのでは?」
ルリが言う。
「どれがどうして」
「その後でガバナーに戻ったのだよ」
彼はそれに返した。
「貴方って何て大人なんでしょう!」
ヒメは皮肉を叫んだ。
「ヒメちゃんの言いたいことはわかる」
「ヒメちゃんじゃない!」
「ゲイブリッジ司令」
グローバルはまた通信を入れた。
「貴方がガバナーであることは認めざるを得ません」
「はい」
「ですが。何故我々との話し合いに応じようとしないのですか?」
「簡単なことだ。君達と話すことはないからだ」
「我々と!?」
「そうだ。少なくとも私は君達のやり方では駄目だと思っている」
それが彼の考えであった。
「君達のやり方では何時までも次のステップには進めないということだ」
「シュウみてえなことを言いやがるな」
「シュウ=シラカワか」
マサキの言葉に顔を向けた。
「かっての彼は。確かにそういうところがあったな」
「今のあいつは少なくともあんたみてえなことは言わねえな」
「いや、あの時の彼が考えていたのは破壊だけだ」
ゲイブリッジはそれは否定した。
「私は天然自然の為すものに人類が畏敬の念を起こして欲しいのだ」
「何・・・・・・」
勇はそれを聞いて眉を動かした。
「全てが人類の思い通りにいくとは限らないのだよ」
「司令」
もうヒメの言葉も届いてはいなかった。
「少なくともオルファンの力で社会に変革をもたらすことは出来る」
「それで地球を死の惑星にでもするつもりかよ!」
リョーコはたまりかねたように叫んだ。
「そんなことになったら同じだろうが!」
「同じではないのだよ」
「どう違うってんだよ!」
「そうだ!人は生きるものだろうが!」
ダイゴウジも叫ぶ。
「それがなくて!どうして救うのだ!」
「それはオルファンも望んでいることなんですか!?」
ヒメはまた問うた。しかし返事はやはりなかった。
「もう無駄だ」
クワトロが一同を制止した。
「もう彼は決心している」
「しかし大尉」
シーブックが食い下がる。
「このままじゃ」
「そうです、こんなことさせたら」
カミーユも言う。
「我々とは違う道を歩んでいる。それは認めよう」
「認めるのですか」
「だが許すわけではない」
クワトロの声はシビアであった。
「止めなければならない。それはわかるな」
「え、ええ」
「確かに」
「それだけだ。グローバル艦長」
「わかっている」
彼はクワトロの言葉に頷いた。
「全軍攻撃用意」
「やるんですね」
「うむ」
ナンガの言葉にも応える。ロンド=ベルも覚悟を決めた。両軍戦力をさらに出す。
「どうしてこんなことに」
オルファンの司令部に一人の老女がいた。勇の祖母である直子であった。
「ゲイブ、貴方という人は」
そして隣にいるゲイブリッジを見上げる。
「人の命を何だと思っているのですか」
「文明を盲信する人類に対してはこうするしかなかったのです」
ゲイブリッジは硬い声でそれに返した。
「直子さん、僕が喜んでこんなことをしていると思いますか?」
「いえ」
直子は首を横に振った。そしてそのうえで言った。
「けど貴方は・・・・・・こんなことをする人じゃなかった」
「僕は変わっていませんよ」
しかしゲイブリッジはこう答えた。
「昔からこの旧態依然とした社会を変革したかった。その為だったら大量虐殺の罪もあえて被ります。人類粛清の罪も僕一人が背負います」
「ゲイブ・・・・・・」
「オルファンのこれまでの動きは人類滅亡へと繋がっています」
「けれど」
「しかしオルファンのもたらす結果が地球の生態系全てを根絶やしにするものとは思えないのです。だから」
彼は言った。
「直子さん、貴女にだけはこの気持ちをわかって欲しかった」
かって愛し合った者同士として言った。
「わかりました」
そして直子もそれに頷いた。彼を受け入れた。
「もう、何も言いません」
ゲイブリッジを見上げていた。
「そして・・・・・・離れません」
「有り難うございます」
頷いた後で指示を下した。
「ロンド=ベルを退けよ」
「了解」132
それを受けてグランチャー部隊が動く。その中心には赤いグランチャーがいた。
「ここで何もかも倒す!クインシィ=イッサーとしてな!」
彼女はただ敵を見据えていた。激しい赤い炎をその身体に纏っていた。
「悪いな、イザベル」
キリーは出撃する時にイザベルに声をかけた。見れば彼女はキリーのコクピットの隣にいる。実はゴーショーグンのコクピットは三つに別れ、そこにそれぞれ二人ずつ乗ることが可能なのである。
「来て早々派手な戦いでよ」
「いいのよ、それは」
だがイザベルは平気だった。
「これも覚悟していたから」
「強いね、また」
「それよりもキリー、そっちのお客さんをお願いね」
「お客さん!?」
「誰なんだ、一体」
「僕だよ」
真吾の言葉に応える形でケン太が出て来た。
「お、おいケン太」
「何時の間にゴーショーグンの中に」
「イザベルさんが荷物を入れている間にね」
彼は言った。
「潜り込んだんだ」
真吾のコクピットの隣にやって来る。
「またどうして」
「千代錦の真似ってわけじゃないみたいだな」
「あのオルファンと話がしたいんだ」
「えっ!?」
さしものグッドサンダーチームもそれを聞いて流石に驚いた。
「おいおいケン太」
「話すにしろあれは山とか島みたいなものよ」
「そんなのと話してもな」
「私もお話してみる!」
今度はヒメが叫んだ。
「オルファンさんと。お話してみる」
「ヒメちゃん」
「またどうして」
「とにかくオルファンさんの近くに行くしかないから!」
「しかし」
「僕もそう思います!」
「護!」
凱が声をあげた。見れば護だけではなかった。アカリやクマゾー達もアルビオンのブリッジにいた。
「君達、何時の間に艦橋まで」
冷静なシモンまで声をあげた。
「お願いですシナプス艦長」
アカリはシナプスに懇願する。
「ヒメ姉ちゃんとケン太君をオルファンの側に行かせてあげて下さい!」
「僕からもお願いです!」
ユキオもいた。
「どうか!」
「シナプス大佐」
勇がアルビオンに通信を入れて来た。
「俺も。クマゾー達に賛成です」
「君もか」
「はい。ゲイブリッジ司令の意志がオルファンと同じなら俺達は奴を破壊しなくてはならない」
「うむ」
「けれどそうでないのなら。ヒメやケン太ならオルファンと直接話せるかも知れない。ならば」
「やってみる価値はあるか」
「ああ、だから」
「わかった」
シナプスは勇の言葉に頷いた。
「これより各機、各艦はヒメ=ブレンとゴーショーグンの援護に回れ」
「艦長」
シモンの言葉も反対の言葉ではなかった。
「そして。確かめるのだ」
「はい!」
「オルファンの意志をな」
「わかりました。では」
「有り難うございます、シナプス大佐」
「礼はいい。人類の為だ」
ヒメにこう言う。
「頼むぞ、その為にも」
「はい!」
「行こう、ヒメ」
勇がその横につく。
「そしてオルファンを」
「うん!」
「いいなケン太、イザベル」
「派手なドライブといくわよ」
「シートベルトをしとかないと怪我するぜ」
「ええ、わかってるわ」
イザベルはキリーの言葉に頷いた。
「正義の戦士達の勇姿を報道するから。怪我なんかしちゃいられないわ」
「生憎俺達は正義の戦士じゃないんだけれどな」
しかしここで真吾がこう言った。
「えっ!?」
「ゴーショーグンは正義の味方なんだけれどね」
「俺達は正義とか平和とかとは無縁なのさ」
「まさか」
「俺達は三人は流れ者でね。成り行きでゴーショーグンにスカウトされただけなんだ」
「それまでは銘々勝手なことをやってたのよ」
「ここにいれば五月蝿い刑事もいないし飯も食える。乗りかかった船じゃなく逃げ込んだ船ってわけだ」
「そうだったの」
「俺達三人はファイターなんでね。戦うのが仕事」
「そういうこと。わかったかしら」
「けれどそれじゃ困ります」
「おいおい、困るって」
キリーはそれを聞いて苦笑いを浮かべた。
「俺達は別に御前さんのシナリオで動いてるわけじゃないんだから」
「シナリオは別の誰かが書いているのよ」
「願わくばそれが普通の人間であって欲しいな」
「悪魔とかじゃなくてね」
「けれどそれじゃ」
三人の言葉にそれでも反論する。
「私のパパとママがあまりにも可哀想です」
「可哀想!?何かあったのかい!?」
「はい、私のパパとママもジャーナリストでした」
キリーの言葉に応えて話しはじめた。
「ドクーガを追っていたんですが旅行中に事故で」
「ドクーガに暗殺されたってわけか」
「はい、おそらくは」
「つまり貴女は御両親の仇を討ちたいのね」
「・・・・・・・・・」
「それでジャーナリストになったと」
レミーの問いには俯いていた。肯定の沈黙であった。
「図星みたいね」
だがその言葉は咎めるものではなかった。そうしたことを咎めるレミーではなかった。
「まあ、誰にだって事情があるからな」
「あの三人にしたってな」
真吾とキリーが言った。
「御前さんには御前さんの事情があるってことだな」
「はい」
「俺達がこうしてビジネスで戦っているのと同じでな」
「そういうことね」
「まっ、人それぞれってやつだ」
「信念や理念の為に戦うのもいいさ。君のパパやママみたいにな」
「そういうこと。自分の都合に御大層な筋書きはいらないってことだ」
「それでいいんですか?」
「俺達はそう考えてるさ。だが本音を聞かせてもらったから俺達は最後まで協力させてもらうぞ」
「えっ!?」
「私の撮影は左四十五度からね」
「皆さん・・・・・・」
「早い話が真吾もレミーもあんたのことが気に入ったってことさ。無論俺もね」
「キリー・・・・・・」
「おっと、涙は御免だぜ」
泣こうとするイザベルをそう言って止める。
「報道リポーターが泣いてちゃ視聴者ががっかりだ。とびきりのスマイルで頼むぜ」
「はい!」
ゴーショーグンも向かっていた。ヒメ=ブレンと並んで。そしてもう一機オルファンに向かっていた。
「ツグミ、イルイを頼むよ!」
「ええ」
ハイペリオンであった。アイビスとツグミ、そしてスレイはイルイを連れオルファンに突っ込んでいたのであった。
「イルイ、いいんだね」
「ええ」
イルイはアイビスの問いにこくりと頷いた。
「お願い」
「しかしどうしてまた急に」
スレイも彼女に問うた。
「オルファンの側に行きたいなんて」
「ヒメさんと同じだから」
「ヒメと!?」
「ええ。オルファンとお話がしたいの」
「ううむ」
「話がしたいっていうのなら連れて行ってあげるよ」
アイビスは前を見たまま言った。
「イルイの行きたいところなら何処にでもね」
「本当にいいの?」
「ああ」
アイビスは答えた。
「それこそ銀河の果てまで連れて行ってあげるよ」
「有り難う」
「私達三人でね」
ツグミも言った。
「何処にでも連れて行ってあげるわ」
そして今はオルファンに連れて行くのであった。ハイペリオンは今彗星となっていた。
ロンド=ベルの前にはリクレイマーが立ち塞がろうとする。だがそれは矢の様になったロンド=ベルの攻勢の前に突き破られていく。
「チッ、あくまで戦うってことかよ!」
「当たり前だ!」
勇がジョナサンに対して言う。
「俺達は行かなくちゃいけないんだ!」
「俺達は防がなくちゃならんとは考えないらしいな!」
「オルファンと話がしたいだけなんだ!」
勇はさらに言った。
「それがどうしてわからないんだ!」
「わかるも何もあるか!」
クィンシィが叫んだ。
「姉さん!」
「異物であるブレンをオルファンに近付けさせてなるものか!馬鹿なことを言うな!」
「クッ、どうしてわからないんだ・・・・・・!」
「貴様は俺が倒してやる!」
そしてジョナサンのバロンズゥが襲い掛かる。
「バロンに俺の活躍を見てもらうんだ!」
「またバロンか!」
「悪いか!」
今ジョナサンはバロンに絶対に忠誠を誓っていたのだ。
「バロンは俺を認めてくれた!そして俺を褒めてくれる!」
人工受精で生まれ、孤独な少年時代を過ごした彼にとって褒めてくれる存在は夢の様であったのだ。
「そのバロンの為に!勇、貴様を倒す!」
「どうしてもわからないというのか!」
「貴様の言うことなぞわかってたまるか!」
「こんな分からず屋ばかり集めて・・・・・・オルファンは何がしたいんだ!」
「今からそれを聞くんだよ!」
だがここでヒメが言った。
「ヒメ」
「オルファンさんに聞くんだ!そしてどうしたいのか教えてもらうんだよ!」
「そうか、そうだよな」
勇はその言葉に頷いた。
「なら!」
勇とヒメは呼吸を合わせた。
「一気に行くぞ!」
「うん!」
動きも合わさった。そして二人同時に攻撃を放つ。
「チャクラ=エクステンション!」
「シューーーーーーーーーーートォーーーーーーーーッ!」
二人は光をジョナサンとクィンシィに放った。その光は二人とてかわせるものではなかった。
「クッ!」
「チッ!」
一撃で戦闘不能に陥った。クィンシィはそれを認めるしかなかった。
「ロンド=ベル、ここまでの力を持っているとは・・・・・・!」
彼女は下がった。だがジョナサンはまだ下がろうとはしない。
「まだまだ!」
彼はまだ戦場に立とうとする。
「バロンズゥの前で無様な戦いを見せるわけにはいかないんだよ!」
「まだやるつもりか!」
「当然だ!」
彼は勇を見据えていた。
「貴様を倒してやるよ!」
「いや、駄目だ」
だがそんな彼に通信が入った。
「バロンズゥ」
「ここは下がれ、ジョナサン」
「しかしそれは」
「今は御前の命をかける時ではないのだ。それとも私の声が聞こえないのか?」
「・・・・・・わかった」
バロンズゥに言われては仕方がなかった。
「ここは撤退する」
「うむ」
こうしてジョナサンは撤退した。こうして勇とヒメの前には敵はいなくなった。
「行こう、勇」
「ああ」
勇は頷く。だが何か釈然としないものを感じてもいた。
「あのバロンズゥ」
「どうしたの?」
「以前にも。知っている人と似ていないか?」
「似ているって誰に?」
「ヒメも感じないのか」
「うん」
「しかし誰かに似ているんだ。その誰かまではわからないが」
「似ているんだね」
「ああ。誰かまではわからないが」
彼は何かを感じていた。そしてそれに釈然としないままオルファンに向かうのであった。
ロンド=ベルの前に道は開けたように見えた。そのまま勢いに乗る。
「今だ!」
シナプスも指示を下す。
「進路を作れ!ブレンとゴーショーグンをオルファンに辿り着かせよ!」
そしてそれは成功するかの様に見えた。だがそれは容易にはいかなかった。
「レーダーに反応!」
マクロスの艦橋でシャニーが報告する。
「新たな敵です!」
「遂に来ましたね」
「ああ」
グローバルは未沙の言葉に頷いた。
「やはり。そう上手くはいかないか」
戦場にドクーガの二隻の戦艦がその巨体を現わしたのであった。
「ええい、ブンドルめ!」
ケルナグールは戦場に着くなり感情を爆発させていた。
「何がオルファンを攻撃すればロンド=ベルがやって来るだ!既に戦いの真っ最中ではないか!」
「まあそう怒るなケルナグールよ」
カットナルが激昂する彼を嗜める。見ればブンドルは戦場にはいない。
「まとめて相手をすればいいだけではないか」
「それもそうか」
「そうだ。戦いに乗じてオルファンを奪取してもよいしな。そうすれば」
「欠席部長というわけだな」
「それを言うなら一石二鳥であろうが」
「そうだったか」
「日本の諺も勉強しておれ。まあよい」
彼等は戦場に目を向けた。
「ロンド=ベルよ覚悟はよいな」
「今度こそ叩きのめしてやるわ!」
「さっきから黙って聞いてれば好き勝手言ってくれるわね」
レミーが顔を顰めさせていた。
「何処をどうやったらそんな図々しい考えに至るのよ」
「何っ、図々しいだと!」
「聞き捨てならんぞ!」
二人はそれを聞いて激昂した。今度はカットナルもである。
「わし等の何処が図々しい!」
「見事な戦略だと言わぬか!」
「何はともあれやるつもりなんだな」
「おうよ!」
ケルナグールはキリーの問いに応えた。
「そうでなくてはわざわざ来たりはせぬわ!」
「ゴーショーグン、今度こそ覚悟はよいな!」
「どうだいイザベル」
真吾はイザベルに声をかけてきた。
「あれが君の敵のドクーガの連中だ」
「あれが」
「多分彼等ともう一人のブンドルは君の両親を手にかけてはいないだろうけれどね。ああした乱暴なやり方を常にしているんだ、奴等は」
「そうなの」
カットナル達がイザベルの両親と関係ないであろうことは彼女にもわかった。どうにも暗殺者特有の陰がないからである。
「ゲイブリッジ司令」
ここでシナプスはまたオルファンに通信を入れた。
「ドクーガの目標はオルファンだ。我々が争っている場合ではない」
「いや、それは違うな」
だがゲイブリッジはそれに異を唱えた。
「何!?」
「我々にとってはドクーガも君達も同じことだ。どう違うというのだ」
「馬鹿な、まだわからないというのか」
「五分後だ」
そして彼は言った。
「五分後に最終攻撃を行う。いいな」
「何・・・・・・」
「以上だ。では通信を切る」
一方的に打ち切ってしまった。こうして話し合いは完全に終わってしまったのであった。
「どうする、勇」
真吾が勇に声をかけてきた。
「ここは一時退くか?ドクーガも来たし」
「いや、それは出来ない」
だが勇はそれを拒んだ。
「あと五分しかない。それにオルファンにここまで接近出来るチャンスはない」
「それを逃すなってことだな」
「ああ、何があっても行く」
「わかった」
「そうこなくっちゃね」
レミーもそれに賛同した。
「ヒーローの名が廃るってものよ」
「よし、それじゃあラストスパートだ!」
「奇跡を起こすかゴーショーグン」
「それはこれからのお楽しみってやつだな」
「行くぞ勇、ヒメ!」
「ああ!」
「わかってるよ!」
勇とヒメも頷く。
「オルファンへ!そして話をするんだ!」
「了解!」
彼等はドクーガに構わずオルファンに向かう。だがその前にカットナルとケルナグールがやって来た。
「そうはさせんぞ!」
「行くのならわし等を倒してからにしろ!」
「おいおい、やっぱり出て来たよ」
「何ていうか本当にワンパターンね」
「そんなことを悠長に言っている場合ではないのでな」
「うわっ、開き直ったよ」
「もう形振り構っていられないようだな」
「フン、我等とてここが正念場」
「決めさせてもらうぞ」
ケルナグールとカットナルはそう言いながら攻撃を仕掛けようとする。だがここでイザベルが気付いた。
「待って下さい」
「どうした、イザベル」
「この声は」
カットナルの声に注目した。
「貴方は・・・・・・カットナル連邦上院議員候補ではないのですか?」
「な・・・・・・何だ御前は」
「こんなところで何をやってるんですか、一体」
「き、貴様には関係ない」
「ってちょっと待てよ」
ジュドーがそれを聞いて呟く。
「今のって肯定だよな」
「ああ、間違いない」
ドモンがそれに頷く。
「あのおっさん政治家だったのかよ」
「しかもあの格好で立候補していたなんて」
「何考えてるのかしら」
「ええい、黙れ!」
ロンド=ベルの面々にヒソヒソ声に逆切れする。
「そんなことはどうでもいいわ!」
「どうでもよかねえだろ」
「確か製薬会社の社長らしいし」
「無茶苦茶な話よね、あんなのが政治家になるなんて」
「こりゃ連邦政府もいよいよ駄目かも知れませんね」
「大人しくしておれば好き勝手」
「いや、今回は御主の失態だぞ」
「ケルナグール」
「そもそも胸を張れ。誇り高きドクーガだ」
「御主はいいかも知れんがな」
「我等は確かに闇、だが恥ずべきことはしておらん!」
「むむっ」
「暗殺やテロなぞもな!我等はそれをせず、戦うからこそ誇り高き三幹部なのだろうが!」
「確かにな」
カットナルもそれに頷くところがあった。
「だがな」
「何、政治家にならずとも死にはせぬ」
「それはわしの昔からの夢だったのだが」
「では諦めよ」
「ケルナグール、言うに事欠いて!」
「わしにとってはそんなこと関係ないわ!わしはかみさんと一緒ならそれでよいのだ!」
「貴様!結局はそれか!」
「おうよ、悪いか!」
「ねえ真吾」
レッシィが真吾に声をかける。
「何だい」
「あの二人無視して行った方がいいんじゃない?」
「ううむ」
「何か戦いそっちのけで喧嘩してるし。その間に」
「ところがそうもいかないんだよな」
「どうしてだい?」
「ほら、あの連中無視するととりわけ怒るし」
「あっ、やっぱり」
「相手をしないわけにもいかないんだ、これが」
「まるでギャブレーみたいな連中だね」
「ええい、五月蝿いわ!」
今度はケルナグールが叫んだ。
「わかっておるならさっさとかかって来ぬか!」
「まとめて相手してやろうぞ!」
「それならあたし達が行くよ」
「了解」
ダバとアムも続く。
「勇達は今のうちにオルファンに向かってくれ」
「済まない、ダバ」
「そういったことは言わない約束だろ、お互い様なんだし」
「それもそうか」
「オルファンさんまでもうすぐだよ、勇」
「ああ」
勇とヒメ、ケン太、そしてイルイはそのままオルファンに向かう。そしてドクーガとリクレイマーの攻撃を掻い潜っていく。
「ぬうう、素早い!」
「だからあんた達の相手はあたし達なんだよ!」
「勝手に決めるでないわ!」
「そうよ、わし等にも仕事があるのだ!」
「そんなの知ったことかい!さっさと下がりな!」
真吾達の後ろと前で激しい戦いが繰り広げられる。だが遂に彼等はオルファンの前に到達した。
「これがオルファンか」
勇はオルファンを見上げていた。
「近くで見るとすごい迫力ね、本当に」
レミーも感嘆の言葉を漏らしていた。
「綺麗・・・・・・」
ヒメはまた独特の感性で見ていた。
「これが雲で空で・・・・・・太陽でオルファン・・・・・・!」
「改めてオルファンという奴が海底にいた時とはまるで違ったものに見えるな」
勇はまた言った。
「不思議なものだな
「そうよね!宇宙に飛び立とうとする羽衣・・・・・・銀河の羽衣を着た女神だわ!」
「うん、僕にも、そう思えるよ!」
ケン太もそれに頷いた。
「銀河の羽衣か・・・・・・」
勇はらためて呟く。
「あれを見て、そんな事を言うなんておかしいとは思わないけど・・・・・・」
そしてヒメに顔を向けた。
「そうは見える・・・・・・。優しいんだな、お前」
「そうかな、見える事、言っただけだよ」
「なあ」
そして勇はまた言った。
「リバイバルしたブレンと出会った時、お前は物怖じしなかったよな」
「うん」
「俺はグランチャーに乗る時は縮み上がったのに」
「それはきっとグランチャーだったからだよ」
ヒメは答えた。だが勇はその言葉には首を横に振った。
「いや、そうじゃない。そうじゃないよ、きっと」
そして心の中で言った。
(オルファンより、比瑪の方こそ女神なのかも知れない。そういう感じ方をする心を持っているんだから・・・・・・)
「オルファーーーーーン!聞こえてる!?」
ヒメはオルファンに語りかけはじめた。
「聞いて欲しいことがあるの、オルファンさーーーーーん!」
「ヒメ」
「いよいよね」
「ああ」
勇もグッドサンダーチームも見守っていた。
「分かり合える筈なのに戦うなんておかしいと思いません?オルファンさーーーーーーん!」
「あの連中、何をやっておるのだ?」
カットナルはそんなヒメを見て言った。
「オルファンに話なぞして」
「ええい、そんな悠長なことを言っている場合か!」
ケルナグールは完全に頭に血が上ってしまっていた。そして最終行動に移った。
「わしはやるぞ!」
「馬鹿!はやまるな!」
カットナルはそんなケルナグールを必死に止めようとする。
「ここで核ミサイルなんぞ出したら!」
「あのおっさん今度は核かよ!」
甲児がそれを聞いて思わず叫ぶ。
「何処まで無茶苦茶なことしやがるんだ!」
「おい早く止めろ!」
「甲児君、マジンガーチームで特攻だ!」
「おうよ、やってやらあ!」
「俺も行くぞ」
甲児だけでなく大介と鉄也も来た。そしてケルナグールを止めようとする。
だが間に合いそうもなかった。ケルナグールは攻撃に入ろうとしていた。
「ガバナー!」
翠が彼に対して言う。
「ドクーガの核ミサイルがこちらに標的を定めています!」
「うろたえることはない」
だがゲイブリッジはこう言って彼女を落ち着かせた。
「オルファンはダメージを受けるだろうが、銀河を飛ぶ事に支障はないだろう」
「そうなのですか」
「そうだ、それよりもドクター伊佐未」
研作に顔を向けて尋ねる。
「準備はよろしいか?」
「何時でも」
「よし」
ゲイブリッジは研作の返答を聞いて決意した。
「この光景を世界に放映している回線をジャックしろ」
「はい」
ロンド=ベルの通信に異変が起こった。突如として何かの放送が入って来たのだ。
「え・・・・・・」
最初に気付いたのはイザベルだった。
「どうした、イザベル?」
「強力な電波がこっちの回線に侵入してくるわ」
キリーに答える。
「何だって!?」
「これでは私達の回線が乗っ取られるわ!」
「それってまずいじゃないの!」
「まずいどころではありません、これは・・・・・・!」
「この放送を御覧になっている世界中の方々に伝える!」
ゲイブリッジは演説を開始していた。
「ロンド=ベルは我々オルファンに対し、卑劣にも核ミサイルを発射してきた」
「な・・・・・・!」
「言うに事欠いて何てこと言いやがる!」
京四郎が顔を顰めさせた。
「オルファンは既に何万の難民を収容しているにも関わらずこの愚挙に及んだのだ!」
「おいちょっと待てよ!」
甲児が叫ぶ。
「これじゃ俺達が悪者じゃないかよ!」
「都合のいいところで回線を乗っ取り、自分達の正当性のみを世界に主張するか」
万丈も呻いていた。
「ビスマルクと同じだ。まさかこんなところでやるとは」
「だが、我々とオルファンは何者からの攻撃にも屈指はしない」
ゲイブリッジはさらに言う。
「それを皆さんはもうすぐ目の当たりにするだろう」
「ケルナグール、攻撃を中止しろ!」
カットナルはまだケルナグールを止めようとしていた。
「奴はこちらの攻撃をプロパガンダに利用するつもりだぞ!それがわからんか!」
「プロパンガスだかシロクロパンダだが知らんが、もう遅い!」
だがケルナグールはそれを聞き入れようとはしない。
「車とミサイルは急には止まれんわ!」
「クッ!」
「勇!」
他のブレンも勇とヒメのところにやって来た。ヒギンズが問う。
「オルファンは核を受けても無事なの!?」
「自信があるからリクレイマーは撃たせるんだろうさ!」
勇はそれに答えた。
「だが、オルファンは無事でもこの周囲の自然は破壊され放射能は近くの街まで流れる!」
「オルファンの周りの木や草、風や雲が怯えてる!」
ケン太が言った。
「そうよね、オルファンさん」
それはヒメにもわかっていた。そしてまたオルファンに語り掛ける。
「そんな事我慢出来ないよね!」
「ヒメ・・・・・・」
勇はそれを見て意を決した。他のブレンのパイロットに対して言う。
「皆、手伝ってくれ!」
「手伝うって何をだ!?」」
「説明は後でする!」
ラッセに答える。
「俺の指示する位置へ動いてくれ!」
勇を中心にナンガとラッセが陣を組む。トライアングルであった。それを見て今度はナンガが言った。
「このフォーメーションは」
「チャクラでトライアングルを作る!そのシールドで核ミサイルを止めるんだ!」
「勇!」
「心配するなヒメ!」
勇はヒメにも言った。
「比瑪はオルファンの側にいてやってくれ!皆は俺達の後ろに回るんだ!」
「何故ですか!?」
「どういうことなんだよ、これは」
カントとナッキィも言う。
「皆のオーガニック・エナジーをブレンで集める!」
「皆の」
「そうだ!それでオルファンを!」
「わかりました」
それを聞いたルリが頷く。
「ルリ、わかってくれたか!」
「はい。皆さん」
ルリの声に一同動いた。
「勇さんの援護をお願いします」
「了解!」
ロンド=ベルの面々はそれに頷いた。
「各機はブレンの作るトライアングルの後方に回り込め!」
アムロが指示を出す。そして皆動きはじめた。そして勇達の援護へ態勢を整えた。22
「だが勇」
ラッセはまた言った。
「俺達三人だけではカバーしきれないぞ」
「泣き言を言っても仕方ない」
だがそんな彼をナンガが窘めた。
「俺達は出来ることをしないとな!」
「そうだ!」
勇はそれに応えた。
「もっと広がれ!俺達の後ろにはオルファンとヒメがいるんだぞ!」
「よし!」
「ここまで来たら覚悟を決めるぞ!」
三人は意を決した。そのブレンを光が包もうとしていた。
だがそこに三機のグランチャーがやって来た。
「こんな時にグランチャーかよ!」
「おい、あの怖い女の人もいやがるぜ!」
「タップ、幾ら何でもレディーに対して」
流石にドラグナーチームの三人も普段と比べると真剣だった。
「姉さん!」
見ればクインシィとジョナサン、そしてシラーのグランチャーであった。三人は勇達の側にやって来た。
クインシィは何も語らない。ただ勇達の側にやって来たのだ。
そして陣を組む。それは勇達に合わせていた。
「こいつら」
「協力してくれているのか」
ラッセとナンガはそれを見て呟いた。
「クインシィ、ジョナサン、何故ですか!?」
シラーは釈然としない顔で二人に問うた。
「何故彼等に協力するのですか?」
「ガバナーはロンド=ベルを社会的に抹殺するためにミサイルを受ける気でいる」
ジョナサンがそれに応えて言った。
「奴の思い通りにさせる気はないっ!!」
「オルファンが傷つけられるのを、黙って見ていられるか!」
クインシィも言った。
「姉さん!クインシィ・イッサー!」
「わかってる、勇!!」
クインシィは頷いた。そしてチャクラ=トライアングルを展開させた。
「みんなぁっ!力をぉぉぉぉぉっ!!」
「こんなもの!なくったって、人は!生きていけます!!」
勇とヒメは叫んでいた。
「めぇ、でしょーっ!!」
「これが!アンチボディの力かよ!?」
ジョナサンも今光の中にいた。
「不思議だ・・・・・・不思議な感覚だ」
クインシィもまた。そして彼女には有り得ないものが出ていた。
「涙が・・・・・・。涙が溢れる・・・・・・」
「えっ、この感じ・・・・・・」
ヒメもまた。今彼等は光の世界の中に入っていた。
ヒメは暗闇の中にいた。だがそこは決して怖い世界ではなかった。暖かく、優しい感じがした。そして彼女はその中で漂っていた。誰かの気配がした。それに顔を向ける。
「誰かいるの?」
そこには黒髪の一人の少女がいた。顔に目を当てて泣いている。
「君、どうしたの?」
ヒメはその少女に声をかけた。
「何で泣いてるの?」
「誰かいるの?」
「うん、私がいるよ」
ヒメはそう答えた。
「私がいるから。さあ、もう泣かないで」
そして言った。
「寂しくないよ」
「・・・・・・・・・」
少女は沈黙している。だがヒメはさらに声をかけた。
「私だって、あなたに触れるから寂しくない」
「寂しくないの?」
「寂しがる殻というのがあってね。いつまでも、そこに閉じこもっていると泣いちゃうんだよ」
「寂しがる殻?」
「うん。その中にいるとね、ずっと泣いちゃうんだよ。だからね、そこからは出るの」
「殻から出るの?」
「そうだよ!」
ヒメはあえて元気のいい声で答えた。
「名前言うね、私は宇都宮比瑪って言うんだ」
「ヒメ姉ちゃん?」
「そうだよ」
「来てくれたの?ここに」
「君はどうしてここにいるの?」
「多分待っていたんだ」
「誰を?」
「それは・・・・・・そうか!」
ここで少女は気付いた。
「あたしね、比瑪姉ちゃんをずっと待ってたんだ!」
「君・・・・・・」
ここで光がヒメ達を包んだ。
「光・・・・・・」
それは只の光ではなかった。何かを語りかけていた。そしてヒメはその声を聞いた。
「そうか、君オルファンだったんだ」
少女はいなくなっていた。だがそれに気付いた。
「優しい光・・・・・・。こんなに優しい光を持つ君が地球に酷い事するはず無いよね」
少女はいなくなっていた。だがヒメにはわかっていた。
「地球ってね、こんな想い出を一杯持ってる生き物たちが、たくさん住んでる星なのよ!」
姿が見えなくなったオルファンに対して語る。そして次にあるものを見た。
「えっ、あれは」
そこに何かがあった。ヒメはそれを見た。
「オルファンが二人・・・・・・戦ってるの?」
ヒメにはそう見えていた。オルファンが二人いたのだ。
「それで地球に落ちてきたの。もう一人のオルファンはどうなったかわからないの?」
答えはない。だがヒメの耳にはそれは聞こえていた。
「ブレンとグランチャーって別々のオルファンの子供だったんだ」
それもわかった。今ヒメはオルファンについてわかったような気がした。
「オルファーーーーン、有り難う!」
そして礼を述べた。
「私達のこと、嫌いじゃないんだね!ならさ、私のお話だって聞いてよ!」
さらに語り掛けた。
「寂しがり屋さんというの、恥ずかしいことじゃないんだよ!」
そこでまた光に包まれた。ヒメはその中に消えていく。そしてオルファンと別れたのであった。
ふと目が覚める。そこには皆がいた。
「・・・・・・ここは!?」
「ヒメ姉ちゃん!」
まずはアカリがいた。
「勇!比瑪姉ちゃんが目を覚ましたよ!」
そしてユキオが。勇に声をかけていた。
ヒメは自分の部屋のベッドの中にいた。そして周りを仲間達が囲んでいたのだ。
「気がついたか、ヒメ!」
「勇・・・・・・」
「ヒメ、貴女は気を失ってブレンに艦まで運ばれたのよ」
「そうだったんだ」
命の言葉にまだぼんやりとした頭で応える。だがそこでふと気付いた。
「そうだ!」
「どうしたの!?」
「オルファンは!?」
彼女は問うた。
「オルファンは、ミサイルはどうなったの!?」
「落ち着け、ヒメ」
勇がそんな彼女に対して言う。
「ミサイルはチャクラトライアングルのシールドで停止したよ」
「停止って!?」
「文字通り止まったんです。ミサイルは水力を失って不発のまま地上に落ちました」
「落ちたんだ」
OVAの言葉を聞いて呟く。
「大スペクタクル映像だったわよ。あとでイザベルさんの撮ったビデオを見せてもらうといいわ」
命も言う。
「その映像のおかげで俺達はオルファンを守った側の扱い、悪いのは全てドクーガになったよ」
「最もあの場は後退せざるを得なかったがな」
凱と勇が言った。
「結局、今回の作戦は骨折り損に終わったってわけだ」
「ううん、そんなことはないよ」
ヒメはナンガに対してそう答えた。
「むっ、それは」
「ヒメさん、もしかして」
「うん、そのまさかだよ」
今度はケン太に返した。
「オルファンは約束してくれたよ。地球とそこに住む人達の想い出を大事にするって」
「ヒメさんもオルファンに会ったんだね」
「うん」
「あの時の感覚・・・・・・。やはり、あれはオルファンがもたらしたものだったのか」
凱にもそれがわかった。
「じゃあ、みんなも感じたんですね?」
「ええ」
命が頷く。
「あの瞬間、その場にいた全ての人間がオルファンと何らかの接触をしたらしいの」
「俺達もだ」
フォッカーが言った。
「あの時、確かに聞いた」
「静かな、優しい声でした」
「シーラ様も」
「私達だけではありません。本当に皆が」
「チーフやマイク達も聞いたそうだよ」
バーニィもそれは同じであった。
「皆、聞いたんです」
「私もです」
ロボットである美久も。心のある者は皆同じであるようだった。
「あの声は。私の中にも」
そしてレイにも聞かない者はいなかったのだ。
「ロボットの私でさえ不思議な刺激をメインコンピュータに感じましたが」
勿論OVAもである。
「ケン太君や護君、クマゾー君達は特にその印象が強烈だったみたいです」
「そうだったの」
「ニュータイプ同士の心の接触に近い感じだった」
アムロが述べた。
「あの感触と・・・・・・似ていた」
「そうですね」
カミーユがそれに頷く。
「俺も・・・・・・わかりました、それは」
「そして俺達もそれは同じだった」
「ショウ」
「善きオーラ力に似たものだった。いい光だった」
「俺も兄さんに似たものを感じた」
「タケル君も」
「あの時はじめて俺に語り掛けてくれた兄さんに。似ていたんだ」
「そうか・・・・・・」
ヒメはそれを聞いて皆同じだと思った。誰もがオルファンを感じていたのだ。
「だからといってオルファンの安全性が確認されたわけじゃない」
しかしラッセはここであえて楽観論を否定した。
「ああ、それに俺はゲイブリッジ司令のやり方を認める気はない」
勇も顔を引き締めさせた。
「もちろん、俺も同感だ。そのためにも人類が滅びない事を俺達の手で証明してやるさ」
凱の声に力が入った。
「そうね…。オルファンさんだって自分の殻から脱しようとしているもの」
ヒメは意を決した様に呟いた。
「人間だって頑張れるところを見せなくちゃね」
「そうだな」
勇もそれに頷く。
「皆、外を見て」
窓の方にいたカナンが一同に声をかける。
「オルファンが動き出すみたいよ」
「オルファンが・・・・・・大地を離れる」
皆それを見た。オルファンは今地上を離れ天高く飛んでいた。そしてさらに上に向かっていた。
「飛べばいいんだよ、オルファン」
ヒメは窓の方を見て言った。
「そして。自分の殻を破るのよ」
その声を聞いたかの様にオルファンは舞っていた。そして遂に天高く見えなくなったのであった。
第九十話完

2006・5・1  
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