万華鏡
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第七話 お泊り会その五
「何かあってからじゃ遅いからね」
「そこは気をつけてね」
「できればスポーツドリンクよ」
それを飲めというのだ。
「あれが運動の後は一番いいから」
「演奏も運動だからね」
「だから気をつけてね」
「汗をかくってことは意識しておいてね」
「頭に入れておいてね」
こう言って先輩達も実際によく水分を摂っていた。それを見て里香も言う。
「そうなのよね。汗をかくとね」
「その分水分を補給しないとね」
「駄目だから」
「特に里香ちゃんはそうよね」
景子は里香自身に言った。
「汗かきだから」
「うん。自分でもそう思うわ」
実際に里香は五人の中で一番汗をかいていた。トレーニングが終わり演奏も休憩に入っているがそれでもだった。
かなり汗をかいている。顔中汗だくである。
そしてその顔でだ。こう言うのだ。
「ここまで汗かいたらね」
「大変でしょ」
「脱水症状になるかも」
自分でもこう言う里香だった。
「ちょっと間違えたら」
「じゃあ。こういう時はよね」
「お茶持ってきたから」
水筒を出す。つまりそこにお茶が入っているというのだ。102
「これ飲むわ」
「そうするのね」
「ええ。スポーツドリンクじゃないけれどね」
「夏はスポーツドリンクにする?」
「そうしようかしら」
先輩達の言う通りにだというのだ。
「考えてるわ」
「そうした方がいいかもね」
「そうよね。何かね」
先輩達の言葉を景子も思い出して言う。
「栄養のバランスとかの関係よね」
「そうなのよ。お茶はね」
「お茶の栄養っていったら」
「ビタミンよ」
それがあるというのだ。お茶には。
「身体にはいいのよ」
「そうそう。お茶ってビタミンがあって」
景子も言う。
「身体にはいいのよね」
「そうなの。それでもね」
だが、だというのだ。
「スポーツドリンクは他の栄養も一杯入ってるから」
「そっちの方がいいのね」
「冬とか秋、春もお茶でいいけれど」
だが夏はだというのだ。
「汗かいて普段より栄養が必要だから」
「それでなのね」
「そう。身体のことを考えたら」
「夏はスポーツドリンクね」
「そう、それがいいの」
夏はスポーツドリンク、それがいいというのだ。
「だから夏は気をつけないとね」
「ううん、じゃあ夏はね」
「そう。スポーツドリンクにするわ」
里香はこう決めた。夏はそれにするのだ。
そう話して今はお茶を飲む。それからだった。
休憩を終えてキーボード、自分のそれに向かう。そこに立って他の四人に対してこう言ったのである。
「じゃあ今からまたね」
「ええ、部活ね」
「部活しよう」
他の四人も頷く。まずは部活でいい汗をかき充実した時間を過ごした。それが終わってからであった。
琴乃は家に帰ってそれからすぐにお菓子を作りはじめた。ゴールデンウィークなので家にいてリビングでゲームをしている弟がその彼女に問う。
「何してんだよ」
「何してるって見てわかるでしょ」
「?お菓子作るのかよ」
「そう、ケーキとね」
それにだった。
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