真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第79話 冀州で戦後処理
冀州の黄巾賊の主力軍10万を私が討伐したことは一気に周辺地域に広がりました。
この事実は冀州に残存する黄巾賊に動揺を与えたようで、黄巾賊の勢いは下火になりました。
時を同じくして、私は冥琳、朱里、雛里に命じ、冀州各地に黄巾賊への降伏勧告の触れを出しました。
冀州にいる黄巾賊は速やかに投降すれば、10年間の賦役を全うすれば死罪を免ずる。
ただし、賦役の期間に問題を起こせば死罪を言い渡す。
黄巾賊と関係ない者まで投降すると困るので、賦役に従事した者に給金を支払うことは伏せておきました。
この触れに対し、黄巾賊はなかなか投降してきませんでした。
私が出した触れであるので彼らは二の足を踏んでいるのかと思い、数千人規模の黄巾賊の元に一度だけ天和達を送り込みました。
すると、その黄巾賊が素直に投降してきました。
それを皮切りに、他の黄巾賊も次々に私に投降してきましたが、投降せずに反抗する黄巾賊がおり、その場合は軍を派遣して討伐しました。
広宗の決戦から一月で冀州の黄巾賊の勢いは完全に失いました。
散発的に黄巾賊が村や町を襲撃することがありますが、時間の問題と思います。
私が朝廷に黄巾賊の討伐に目処が立った旨を報告しようとしていたとき、揚羽から突然の文が届きました。
文の内容は朝廷への報告を粉飾するようにと書かれていました。
1つ、冀州の治安が落ち着かないので、軍を解散せず、冀州に駐留する。
2つ、冀州に駐留する者達の内、帰郷を望む者は帰し、代わりに現地で兵の補充をする。
3つ、常山郡の大守が黄巾賊に殺されたので、後任に司馬孚を推挙する。
私は揚羽の指示通りに朝廷に報告の文を出しました。
揚羽がこんな指示を出してきた理由は冀州で私の地盤を固めるためです。
揚羽は冀州入りするとき、策を弄して黄巾賊達に常山大守を始末させ、仮の大守として彩音を据えました。
常山大守を謀殺した理由は私達が黄巾賊と交戦しているにも関わらず日和身を決めていたからだそうです。
そういえば、周囲の大守からの援軍は全然ありませんでしたね。
いずれ報復人事をしないといけないと思いました。
私の軍を解散しないのは、帰郷せずに残った兵達を私の主力軍にするためです。
今日は冀州での戦後処理がようやく目処がついたので揚羽達と合流することにしました。
留守番は冥琳と太史慈に頼みました。
私は星、泉、水蓮、朱里、雛里、張姉妹を連れ、常山郡の高邑県に入ると、揚羽、凪、真桜、沙和が出迎えてくれました。
星と水蓮を同行させたのは久しぶりに里帰りをさせてあげたかったからです。
「正宗様、お久しぶりですね」
揚羽は私に優しく微笑みました。
「正宗様、お久しぶりです」
「正宗様、本当に久しぶりやな」
「正宗様、お久ッ――――――!」
凪、真桜、沙和は笑顔で言いました。
「みんな、本当に久しぶりだな。それで首尾の方はどうだ?」
「滞り無く無事完了しました」
揚羽は強く頷きました。
「ご苦労だったな」
「ホンマや。特別報酬貰わんと適わんわ」
「そうなの――――――!」
「沙和はサボってばっかりじゃないか!」
凪が沙和の言葉に噛み付いていました。
「沙和は給金を減俸した方がいいみたいだな」
私がジト目で沙和を見ました。
「そ、そんな――――――! 今月は欲しい服があるから許してなの――――――!」
沙和は目をウルウルして懇願してきました。
「正宗様、沙和には良い薬になります。ここは厳しくしてください」
「ということだ。沙和、悪いが3ヶ月間、2割減俸する」
「正宗様、酷すぎるの――――――!」
沙和は私に縋りついてきました。
「沙和が真面目に働けばいいだけだろ」
凪は嘆息しながら、私に縋り付く沙和を引き剥がしました。
「正宗様、ところであの者達は誰です」
揚羽が朱里、雛里の方を向いて言いました。
「冀州に入って暫くたったとき、黄巾賊に追われる彼女達を助けたんだが、彼女達が士官を申し出てきたので受け入れたんだ」
「役に立つのですか?」
揚羽は興味深そうに聞いてきました。
「冀州の黄巾賊討伐で良い献策をして私を助けてくれた」
「それは助かります。これから冀州に地盤を作るにあたり、人材が足りないと思っておりました。彼女達は内政の手腕はどうなのでしょうか?」
「本人達に聞く方が早いだろう。朱里、雛里。こっちにきてくれないか」
私は朱里と雛里を手を振って呼びました。
「正宗様、御用でしょうか。この方はどなたですか?」
朱里は揚羽を見て言いました。
雛里は朱里の後ろに隠れ顔だけ横から出しています。
「私は正宗様の許嫁で司馬懿、字を仲達といいます。これからは正宗様を共に支える仲なのですから真名で呼んでください。真名は揚羽です」
「はわわわわ、ご丁寧な挨拶痛み入りましゅ。私は諸葛亮、字を孔明といいます。真名は朱里でしゅ」
「あわわわわ、初めましてでしゅ。鳳統、字を士元といいましゅ。真名は雛里です」
朱里と雛里はペコっと揚羽に頭を下げました。
「固い挨拶はこれ位にしましょう。二人のことは正宗様から兵法に通じていると聞いていますが、内政の手腕は自信がありますか? できれば、あなた達に手伝って欲しいのです」
「内政ですか?私と雛里ちゃんは水鏡女学院で一通り学びましたので大丈夫だと思います」
「あなた達は水鏡女学院の出身なのですか。司馬徽殿の教え子とあらば期待が持てますね」
揚羽は上機嫌な表情で私を見ました。
「忘れるところだった。まだ、朱里と雛里に官職を与えていなかったな。朱里は主簿、雛里は録事門下に任じよう。これで凪を書類仕事から開放してやれるな」
「ふふ、凪は真面目なので主簿をよく頑張っていましたが、かなり苦労をしていましたからね。正宗様の方からもちゃんと労ってあげてくださいね」
揚羽は軽く笑って言いました。
「揚羽、わかった。凪への褒美は後で考えておくよ。それと、朱里と雛里のことを今夜開く酒宴の席でまだ会っていない家臣に紹介しようと思う」
「はい、ありがとうございます!」
「はい、ありがとうございます!」
朱里と雛里は私に元気良く返事をしました。
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