髑髏天使
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第四十五話 新生その十七
そしてだ。服も黒くなりだ。髪も腰まで伸びた。
姿が急激に変わった。その姿を彼自身も認めてだ。言うのであった。
「これがか」
「それが新たな力だな」
隣にいる髑髏天使が彼の姿を見て言った。
「貴様の」
「秩序だな」
「秩序か」
「そうだ、秩序だ」
まさにそれだという死神だった。
「今私はその力を得た」
「秩序の神になったのだな」
「死と秩序」
この二つだった。
「これが今の私の司るものだ」
「その秩序は何だ」
「混沌を倒す秩序だ」
こう髑髏天使に述べた。
「それが私の秩序だ」
「それではだな」
「倒す」
一言だった。鋭い言葉を出した。
「妖魔、貴様をな」
「その秩序の力でか」
「考えてみれば死は世界の絶対の秩序だ」
死神は己が最初から司っているものについても述べた。
「それを私が持つのもだ」
「意義があるというのか」
「如何にも」
こう妖魔に述べる。そしてだった。
また分身を使った。今度はだ。
「むっ!?数が」
「力を増したのは確かだな」
これまでよりも数が多かった。倍程度はいる。
「それがわかる」
「数で攻めるつもりか」
「生憎数だけではない」
こう言ってだった。
そのそれぞれの手にだ。色々なものを出してみせた。
火もあれば氷もある。雷もだ。吹きすさぶ風を持っている者もいる。
そのあらゆるものを持ったうえでだ。死神達は言うのだった。
「それではだ」
「今からこの全てをだ」
「解き放つ」
「それにより貴様を倒す」
こう妖魔に告げた。
「いいな、今からだ」
「そうさせてもらおう」
「それでこの戦いを終わらせる」
「無駄なことだ」
妖魔は死神達のその言葉を一笑に伏した。
「幾ら力が強くなろうともだ」
「貴様を倒すことはできないというのだな」
「如何にも。何故か」
その答えは簡潔なものだった。
「俺が強いからだ」
「強いからか」
「強いものが勝つ」
簡潔だがまさに真理であった。
「だからだ。俺が貴様に敗れることはないのだ。髑髏天使にもな」
「強い方が勝つのならば」
妖魔のその言葉を聞いて言ったのは髑髏天使だった。彼は今は動いてはいない。ただ言葉だけを妖魔に対して出しているのである。
「敗れるのは貴様だ」
「何っ?」
「この戦いは死神が勝つ」
こう言うのであった。
「間違いなくな」
「戯言を言うものだな」
「俺に戯言を言う趣味はない」
そうだというのであった。
「全くな」
「では嘘だな」
「嘘を言うこともない」
それも否定するのだった。
「全くな」
「では何だというのだ」
「真実だ」
彼は言い切った。
「それを言うだけだ」
「では死神は俺より強いというのか」
「そうだ」
まさにそうだという髑髏天使だった。
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