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髑髏天使

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第四十五話 新生その十六


 彼の周りに無数の氷の柱が起こった。それが妖魔に向かう。
 それで妖魔を突き刺さんとする。だが。
 妖魔はそれを上に飛んでかわした。まさに何でもないといったものだった。
「残念だったな」
「かわしたか」
「この程度でも驚きはしない」
 また言う妖魔だった。
「それも言っておく」
「ではだ」
 今度は死神だった。
 死神はだ。今度は分身をしてきた。そうしてであった。
 それぞれの死神が妖魔に対して言う。
「それではだ」
「私がだ」
「あらためて見せよう」
「そして驚かせてみせよう」
 こう言ってだった。一斉に鎌を投げる。それも続けてだ。
 だがその無数の鎌達もだ。妖魔はかわすのだった。
「この程度か」
「この攻撃もか」
「そうだ、無駄だ」
 こう彼に返す妖魔だった。
「俺を倒せはしない。そしてだ」
「来るか」
「如何にも」
 こう言ってだった。そしてだ。
 また翼を羽ばたかせ。無数の刃を出して襲う。
 二人はその無数の刃をかわした。だがここで。
 かわした筈の刃がそこに残る。剣から羽根に戻っていた。だがその羽根にはまだ刃が残っていた。見れば羽根同士で互いに切り合っている。
 死神はそれを見てだ。洋間に言った。
「羽根は増えていくな」
「そうだ。そして言っておく」
「何だ、今度は」
「この羽根は燃えはしない」
 そうだというのである。
「そして凍りもしない」
「炎も氷も効果がないか」
「それは言っておく。そして俺もだ」
 妖魔自身もだというのだ。
「炎も氷もだ。効きはしない」
「そして当たりもしない」
 髑髏天使は先程の己の攻撃がかわされたことから述べた。
「そういうことだな」
「話が早いな。その通りだ」
「そう言うのか」
「そういうことだ。それでだ」
「それでか」
「貴様等に俺は倒せぬ」
 これが妖魔の言うことだった。
「そしてだ。この羽根が増えていけばだ」
「やがては我々をか」
「捉えそして切っていく」
 このことを確信して笑う妖魔だった。
「そうして俺に倒されるのだ」
「切る、か」
 死神はその言葉に返した。
「切るに対してはだ」
「何をするというのだ、死神よ」
「斬る」
 妖魔に返した言葉はこれだった。
「これで返そう」
 こう言ってだ。分身を元に戻した。そうして一人に戻ったのである。
「この鎌でだ」
「それはもうかわしたが」
「安心しろ。一度かわされた程度ではだ」
 死神は妖魔を上から見据えながら話す。
「私の鎌は敗れはしない」
「一度ではか」
「そうだ、一度ではだ」
 死神はまだ言う。
「私の鎌は見切れはしない」
「あの軌道だけではないか」
「無論だ。まだある」
 そうだというのである。
「今からそれを見せよう」
「そうか」
「そしてだ」
 死神は身構えた。その時だった。 
 これまで白かった彼の肌がだ。急に黒くなった。 
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