髑髏天使
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第三十二話 変貌その一
髑髏天使
第三十二話 変貌
「ほほう、それは」
「面白い話だと思うが」
「確かに」
今魔神達はテーマパークの中にいた。そのお化け屋敷の中を一同で歩きながら話をしている。廃墟となった病院を模したお化け屋敷である。
その周りに患者や看護婦の亡霊達が来て襲い掛かろうとする。しかし彼等はその人が演じているそういったものには一切気を止めずに話を続けていた。
「それはその通りです」
「やはりそう思うか」
「ええ」
老人は温和な顔で紳士の言葉に応えていた。
「その通りです」
「それは何よりなことだ」
「このまま髑髏天使が変われば」
「我等の方に来ればだ」
「それはそれで面白いこと」
老人は笑いながら紳士に話す。
「そうではありませんか?」
「そうだな」
紳士は彼の言葉に頷いた。
「それはその通りだ」
「貴方もそう思って頂けますか」
「ああ。しかしだ」
「しかし?」
「あの髑髏天使はだ」
「彼ですか」
その彼の話であった。
「どうなのだ?」
「どうなのだとは?」
「今は智天使だ」
話すのは彼のその階級のことだった。
「そこから大きく変わってきている」
「確かにな」
「それはな」
彼の今の言葉に他の魔神達も応えて話す。
「前から兆候はあったが」
「それ以上にだ」
「大きく変わった」
髑髏天使に対してこう話していくのだった。
「より人間でないものになろうとしている」
「目が赤くなりだ」
「我等に近付くか」
「そうなるとはな」
「それが今の彼か」
魔神達は言っていく。そうしてだった。
「ここで、です」
「彼が魔物になった場合はだね」
子供が老人の言葉に問うた。
「そういうことだね」
「いえ、魔物ではありません」
「魔物ではないの?」
「魔神になるかも知れません」
こう話すのだった。
「若しくはです」
「魔神として?」
「凄い話になってきたわね」
女はそれを聞いて述べてきた。
「十二柱からね」
「十三柱か」
それを聞いて述べたのは男だった。
「あらたな同胞か」
「どうでしょうか、それは」
また問う老人だった。
「同胞が増えるのは」
「面白いとは思うわ」
これが美女の考えであり言葉だった。
「それでどうなる紙物だしね」
「俺は反対だな」
今言ったのはロッカーである。
「それはな」
「反対なのですね」
「今のままで充分じゃないのか?」
己のその考えも述べるのだった。
「そんなのはよ。そうじゃないのか?」
「一理ありますね」
老人もそれは否定しなかった。彼の考えはである。
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