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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第73話 伏龍と鳳雛

「劉将軍、至急ご報告したいことがございます」

先行させていた斥候が私のもとに駆け寄って来ると片膝を着き頭を垂れ言いました。

「全軍停止せよ!」

私は右手を上げ兵士達に行軍を停止するように命令し、斥候の報告を受けました。

「ここから東に十五里程先にて、一般人が黄巾賊に追われているのを確認いたしました」

「それで黄巾賊の数は?」

「500程です」

「真希、泉はいるか!」

「大将、御用ですか?」

「正宗様、何でしょうか?」

私が呼び声を聞いて真希と泉が私に近づいてきました。

「ここから東に十五里程先で一般人が黄巾賊に追われている。お前達に騎兵2000、弓騎兵1000を預ける。真希は主将、泉は副将として、直ちに一般人の救出と黄巾賊を討伐に向かえ」

「大将、黄巾賊は全て殲滅でいいですよね」

真希は指の関節をポキポキと鳴らしながら言いました。

「真希、それで構わない。目的の場所は敵の根城に近いから、賊を一人たりとも逃がすわけにはいかない。泉は真希に着いていき一般人の保護を優先するように」

「はい、わかりました!」

泉は拱手をして言いました。






真希達は出撃してから、半刻程で戻ってくると、二人の少女と老婆を連れていました。

二人の少女を見た時、何処かで見たことがある人物と思ったら、諸葛亮と鳳統でした。

「はわわわ、劉将軍、この度は危ない所を助けていただきありがとうございました」

「あわわわ、劉将軍、ありがとうございました」

「劉正礼様、本当にありがとうございました」

「礼なら、お前達を助けた太史慈と満寵に言ってくれ」

私は彼女達に優しく言いました。

「太史慈さん、満寵さん、ありがとうございます」

「ありがとうでしゅ。太史慈さん、満寵さん」

「太史慈様、満寵様、ありがとうございます」

「いいって、当然のことをしただけじゃない」

真希は爽やかな笑顔で言いました。

「全然、気になさらなくていいですよ。我らが正宗様は民の味方ですから」

泉は愛想よく笑顔で言いました。

「ところで、まだ名前を聞いていなかったな。私は劉正礼、冀州方面の黄巾賊討伐の責任者だ」

「はわわわ、丁寧なご挨拶ありがとうございます。私は諸葛孔明と申します」

「あわわわ、私は鳳統と申します」

「李千と申します」

諸葛亮と鳳統はペコリと頭を下げました。

「諸葛・・・・・・、もしや諸葛玄の親戚の者か?」

私は白々しく彼女に叔父の名前を出しました。

「叔父のことを知っておられるのですか?」

「知っているも何も、私の縁者が近く、南陽大守として任地に向かうので、諸葛玄を士官させるように勧めたのだ」

「え――――――!本当にございますか!きっと、叔父は喜びます」

諸葛亮は自分の事の様に喜んでいました。

「でも、何故、お知り合いに私の叔父の士官を推挙されたのです?私の叔父は真面目で平凡な人で、お世辞にも有能ではありません」

諸葛亮は私に不思議そうな表情で聞いてきました。

「私の知り合いとは袁術だ。彼女はまだ年若い。南陽郡は汚職官吏が沢山蔓延っている伝え聞いてたので、任地で最初に手を着けることになるのは、その者達の排除になるだろう。そのとき、実直な性格である諸葛玄は袁術を裏表なく支えてくれると思い推挙した」

諸葛亮は私の言葉をウムウムと言いながら聞いていました。

「劉将軍が私の叔父を推薦した理由を得心しました」

諸葛亮は満面な笑顔で応えました。

「朱里ちゃん、叔父さんが士官できて良かったね」

「うんっ!雛里ちゃん、ありがと」

二人とも諸葛玄の士官を凄く喜んでいます。

「三人はどこに向う所だったのだ。よければ私の部下を護衛につけて送らせる」

「孫の所まで連れて行っていただけませんでしょうか」

李千婆が申し訳無さそうに言いました。

「お易い御用だ。諸葛孔明、鳳統はどうする?」

私が二人に声を掛けると、彼女達はヒソヒソと暫く話し会っていました。

「私達は劉将軍にご同行させていただけませんか?私達は水鏡女学院で勉学に勤しんでいましたが、世の乱れを憂いて学院を去り、この乱れを正せる方を探しておりました。私は劉将軍様こそがその御方だと思います。まだ、私達は未熟者ですが、学院で学んだことは必ずや劉将軍にお役に立てるはずです」

「劉将軍、お願いいたします!」

諸葛孔明と鳳統は体の大きさとは裏腹に強い意志の篭った瞳で私に士官を申し出てきました。

これで彼女達を私に士官させたら劉備陣営は詰みますね。

「・・・・・・お前達の熱い想いしかと分かった。喜んで同行を許そう。水鏡女学院は司馬徽殿の私塾。あそこの出身ならば、能力は問題あるまい。私は家柄に関係なく才ある者を登用する方針だ。お前達の才を存分に発揮せよ。さすればその能力に相応しい待遇を与えよう」

「はわわわ、ありがとうございます。私の真名は朱里といいます。」

「あわわわ、ありがとうございます。私の真名は雛里です」

朱里と雛里は私に礼を言いました。

「礼には及ばない。逆に、私が礼を言わねばならない。私の真名は正宗。よろしく頼むぞ。そうだな・・・・・・。私はこの冀州の黄巾賊を討伐したら、袁術を訪ねようと思っているが、そのとき、一緒に同行しないか?」

私は朱里に戦後に諸葛玄に会いに行かないと暗に伝えました。

「よろしいのですか?」

朱里は凄く嬉しそうに言いました。

「構わない。雛里も同行するかな?」

「はい、朱里ちゃんと一緒に行きたいです!」

雛里も嬉しそうに言いました。

「李千、待たせて済まなかった。騎兵を100騎、護衛につけるので安心してくれ。荷馬車で申し訳ないが、それに乗っていくといい」

私は李千婆の方を向いて言いました。

「劉正礼様、わざわざありがとうございます。孔明ちゃん、鳳統ちゃん、あなた達のお陰で助かったわ。本当にありがとう」

李千婆は朱里と雛里に礼を言っていました。

「気にしないで下さい」

「当然の事をしただけです」

朱里と雛里は照れていました。

その後、私は李千婆を朱里と雛里と一緒に見送ると、廃城へ向けて進軍を再開しました。
 
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