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髑髏天使

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第二十三話 異形その八


「有り得ないとは言えない。いや」
「むしろか」
「あると思っておいた方がいいことじゃな」
 そしてこう述べるのだった。
「むしろのう」
「そうな。有り得るとな」
「それに出て来るのがかなり早いようじゃ」
 博士はその言葉を続ける。
「今七人じゃったな」
「そうだ。七人だ」
「では八人目が出て来るのも早い筈じゃ」
 考える目での言葉であった。
「そろそろでもおかしくはない」
「そうか。また出て来てもか」
「心構えはしておくことじゃ。よいな」
「わかった」
 博士のその言葉に対して頷いてみせる牧村だった。
「その様にな」
「そうしてくれれば何よりじゃ。さて」
「さて?」
「話は終わったのじゃが実はまだ話したいことがあるのじゃよ」
 椅子を回転させて牧村に向かい合ったうえでの今度の言葉であった。
「まだのう。それで話をしていいか」
「何だ?それで」
 その言葉を正面から受けてそのうえで返した言葉であった。
「その話とは」
「あのサイドカーじゃが」
 彼が話したのはそのことであった。
「最近戦いには使っておるかのう」
「いや」
 博士の今の問いに首を横に振って返すのだった。
「翼が生えてからはこれといってな」
「使っておらんのか」
「やはり己で飛べることは大きい」
 彼は言った。
「だからだ。移動に使うだけになっている」
「一つ言っておくがあれもかなりの力になるぞ」
 博士がここで言うのはそのサイドカーの使い方であった。このことに対しての言葉であった。
「体当たりなり何なりでのう」
「体当たりか」
「最近それもしておらんのではないのかな」
 牧村の目を見つつ問うた言葉であった。
「どうじゃ?しておるか?」
「いや」
 このことにも正直に答える牧村だった。首を横に振ってみせる。
「ない。そういうことはな」
「やはり移動だけか」
「しかし。考えてみればそうだ」
 博士の話を聞いているうちに出された言葉であった。
「サイドカーを使って悪いというルールは何処にもない」
「むしろ使わなければ駄目じゃな」
「勝つ為にはか」
「じゃから剣や術だけでなくともよいのじゃよ」
 この辺りは実に柔軟に考えている博士であった。少なくともこれまで体術や髑髏天使としての技だけを考えていた牧村には思い出させるものがあった。
「そういうものも使ってのう」
「よし、わかった」
 ここまで聞いて頷くのであった。
「では今度の戦いではだ」
「使ってみるのじゃあな」
「機会があればだがな」
 こう断りはする。しかしその発想が頭の中に宿ったのは事実であった。
「やってみるとしよう」
「そうしてくれればいいのう。何しろあのサイドカーはじゃな」
 ここで話を楽しそうなものにもさせる博士であった。 
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