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フリージングとイレギュラー

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アオイ=源吾・・・そして、突然のノヴァ襲来!!

~???side~
私は今、“ウェストゼネティックス”で行われた“カーニバル”の一部始終を見ていた。
一人のあるパンドラが、他のパンドラを一方的な戦闘だったのにある男の乱入により、逆なことが起こっていた。
しかも、男は今まで見たことの無い戦闘法でしかもそれを聖痕なしに行っていることだった。
その後、すぐに男と女の情報を調べ上げた。
女性の方はすぐに出てきたが、肝心の男の方は一切情報が出てこなかった。
シュバリエは『敵かもしれない』と騒ぎ立っていたが、私はそうは思わない。
だが―――


「………実際に会ってみないとわからないな」
「……博士。またその映像を見てるんですか?」
「ああ」
「その映像の二人が今日ここに来るんですから、もういいじゃないですか」
「キミは、彼らをどう思う?」


私は、彼女(・・)に聞いてみる。


「彼女はパンドラとして素晴らしいですね。ただ、性格に難アリところです。対して、男の方はあり得ません。誰も傷を付けられなかった彼女を顔色変えず容赦なく拳を叩き込むことなんて、パンドラやシュバリエの中でも少ないでしょう。しかも、これでもおそらく2割も出していないですね」
「キミが戦って勝てると思うかい?」
「“勝つ”ことは無理ですが、“引き分け”には持ち込めるかが怪しいです」
「キミがそこまでいうとは………」


シュバリエ最強のパンドラと謳われる、イ=スナくんがそこまでいう相手が今日ここに召喚される。
待ち遠しいな。


「ほら、博士も早く食べてください」
「ああ。すまないね」


そうして、私達は朝食を済ませた。
~???side out~


~真紅狼side~
召喚される為に、“シュバリエ”という組織の総本部に俺とシフォンは向かっている。
なんでも総本部はグランドキャニオンに構えているらしい。
なんでまた、そんな面倒な所に総本部なんか構えるかな?
行き着が面倒ったらありゃしない。


「そう言えば、私達まだ自己紹介がしていませんでしたね。私、シフォン=フェアチャイルドと申します~」
「俺は、蒼騎 真紅狼だ。好きに呼んでくれ」


と、軽い話をしていたら操縦席からアナウンスが入った。


《まもなくシュバリエ総本部に着きます》


それから二分後、軍用機は止まった。
外に出て、見た光景は切りだった崖が地平線の彼方まで連なって見える。
生涯見ておきたい光景の一つだったグランドキャニオンに着いた。


「で、迎えが来てないのはおかしいだろ」
「本当ですわね~」


………見られてるな。
数は――――――――――二桁超えるか、超えないかだな。
鋼糸を展開しておくか。
俺は“剄”を両手に流し込み、人の眼では絶対に見えない細さで展開した。
俺はバレないように、敵の位置をゆっくりと探り始める。
三分後、職員らしき人物が出てきた。


「………ウェストゼネティックスのシフォン=フェアチャイルドとその特別待遇者の蒼騎 真紅狼だな? それぞれ向かう場所が違う為、シフォンは私に着いて来い。蒼騎はイ=スナに着いていけ」
「「はい/ウィ」」


シフォンの方が先に動いたが、監視者たちは全く動いていない。
俺が監視対象か。
まぁいい。すでに居場所は把握したし、捕えようと思えばすぐに出来るし。


「では、蒼騎。私に着いてきなさい」


歩きながら聞くことにした。


「質問いいですか?」
「……………………」
「無視かよ」


イ=スナと呼ばれた女性の後をついていくと、扉の前で止まった。
あ、なんかデジャヴを感じる。


「失礼します」


部屋の中に入っていくと、一人の男性が座って待っていた。


「ようこそ、シュバリエへ。私は、“総司令部 ノヴァ専任顧問”のアオイ=源吾という」
「どうも。俺は蒼騎 真紅狼だ」


俺は移動しながら、アオイ=源吾の元に行って握手する。
その際、右手で位置把握している監視者達の鋼糸を左手に受け継ぎ、右手のみ展開を解いた。
一人部屋にしては馬鹿でかい空間だった。
ホテルのロイヤルスウィート並みにデカかった。


「どうぞ、座ってください」
「んじゃま、失礼します。ああ、ところでアオイ=源吾。この監視者どもを引っ込ませてもらえませんかねぇ?」


そう言って、鋼糸を首に巻き付けてこの場に引っ張る。
そんなに力を込めなければ、首を切る必要はないので結構便利である。


ドスンッ!


『ぐっ!!』
「…………いつから気が付いていた?」
「俺とシフォンがヘリから降りてからすぐに気が付いた。気配はちゃんと消せていたが、殺気がダダ漏れだぞ? もう少し鍛錬をさせていくことをオススメするよ」
「ところで、彼女たちをどうやってここまで引っ張ってきた?」
「言うと思うか? もう、解いてあるからさっさと引っ込め」
「………すまんが彼の言う通りにしてくれ」
「一人ぐらいはこの部屋に着いててもいいけど?」
「では、スナ君。頼む」
「分かりました、博士」


こちらを睨みながら出ていく、監視者の方々たち。


「さて、何故、俺なんかに会いたいんだ?」
「キミの存在は私達にとってとても不確定要素(イレギュラー)なんだ。しかも、男性なのにパンドラを圧倒する力を持つなんて、誰でも興味が湧くのが必然だろう? ただでさえ、今は“ノヴァ”という人類の敵が出て来ているんだ、少しでも対抗策は多いことに越したことはない」
「まぁ、正論だな。で、俺に血でも提供しろと?」
「私はそんなことは言わないよ。…………他の研究者は分からないがな」


まぁ、俺の血を使って作られた兵器なんか作った瞬間、その研究機関に牙を剥くけどな。
乖離剣 エアで削り取ってやる。


「私が聞きたいのは、この世界に来た理由だよ。シスターマーガレットから聞いた情報だとキミは“鬼”だと聞いたがそれは本当かね?」
「ああ。鬼だよ。人では死ぬであろう致命傷を受けてもすぐに治るぜ?」
「末恐ろしいね。その力が我々に向かない事を祈りたいモノだ」
「安心しな。俺の“信念”を穢さない限り、お前らは安全だが、穢した瞬間、穢した奴だけ絶望を抱かせながら殺すつもりだ。はっきり言っておけば、お前らが掲げる“正義”や“規則”が俺に通じると思うなよ? なんせ俺は――――――――化物だからな」


顔を嗤いながら言うと、アオイ=源吾は若干息を飲む。
さすがにプレッシャーを与え過ぎたか?


「ま、普段の俺はのんびりしてるから余程の事がない限り、キレねぇよ。普通に接してくれればいいさ」
「そう言ってもらえると有難い。蒼騎くん」
「アオイ=源吾、長いから、“源吾”って呼んでいいか?」
「あ、ああ。構わないよ」
「さて、暗い話もここまでにしようか。いつまでもこんな話してたらストレスが溜まる」
「それもそうだな。蒼騎くん、キミは今どこに住んでいるんだ?」
「ウェストゼネティックスで特別待遇者として住ませてもらってるが?」
「なら、私の権限でキミに階級を与えておこう」
「“階級”? なんだ、ここは軍とかそんな組織だったのか?」
「気付いていなかったのかね? ゼネティックスは一種の軍隊だよ。人類の敵…………異次元体“ノヴァ”と戦う為の組織だよ」
「全然知らんかった」
「それに加えて、キミが自由行動できるようにもしておこう」
「いいのか? そんなことしてよ?」
「蒼騎くんがパンドラと共に“ノヴァ”を倒してくれるならね」
「それなら大丈夫だ。俺の目的の一つでもあるからな」
「なら、交渉は成立だ」
「………どうも。たまにまた来るかもな。源吾、アンタとは話が合うよ」
「奇遇だな。私もそう思っていたよ」


俺は右手を差し出した。
すると、源吾もまた右手を出し力強く握手した時、突然サイレンが鳴った。


ウウウウウウウゥゥゥゥゥ!!!!


「なんだ? このサイレン?」
「馬鹿な! ココに現れただと!!?」
「おーい、何が現れたんだよ?」
「私達、人類の敵が現れたんだよ…………」
「つーことは…………」
「そう―――――――――――“ノヴァ”だ」


俺はそう聞いた時、俺はようやくかと思ってしまった。
この世界に来てからこの世界の“敵”とやらを見ていなかったのだ。
その為、身体の奥から高揚感が湧きあがってきていた。


「敵の数は何体だ?」
「情報によると、一体だけらしいが“タイプS”だ」
「“タイプS”?」
「簡単に言ってしまえば、移動タイプと言っておこうか」
「目的地は、ココか?」
「ああ。タイプSの出現地はここから南東500kmの地点に居るらしいんだが、先程移動を開始したらしい。こちらに向かっている」
「よし。俺が出よう」
『なっ!?』


なんで、そんな驚いた声を上げるんだよ?


「源吾、いいじゃねぇか。ここで俺がどれほど“ノヴァ”に対抗力があるのか分かるチャンスなんだぜ?」


表向きはそんな理由を並べているが、本当の気持ちは早く戦ってみたいというのが本音だ。
源吾は非常に悩んでいたが、ついに決心したのか、口を開いた。


「分かった。必ず撃破しろ、蒼騎!」
「一人で充分だ。モニターで見とけ。俺の力ってやつを」


そうして俺は、初めてのノヴァと戦う事となった。
~真紅狼side out~


~源吾side~
私は、シュバリエのパンドラ達に出撃命令を保留させた。
すると、他の政治家たちは抗議の声を上げる。


「なぜ、パンドラ達の出撃命令を止めた!?」
「………彼が『一人でやる』と言ってましたので」
「彼とは一体誰だ!!」
「皆さんが興味を示している……………蒼騎 真紅狼ですよ」
「ただの男がノヴァを撃破できるわけないだろう!! 聞いたところのよるとその者は聖痕すら持っていないのであろう!?」
「いえ、彼は絶対に倒しますよ」
「何故、そう言いきれる!?」
「彼と会って、分かりました。彼にとってノヴァなんか敵ではないと言う事です」
「………いいだろう。ドクターアオイ、この一件はキミに任せよう。ただ、失敗したらキミの責任でも構わないな?」
「どうぞ。好きにしてください。ですが、代わりに彼が成功したら、報酬として彼に階級と自由行動が出来る権限を与えてやってください」
「撃退できるならな」
「その言葉、忘れないでくださいよ」


他の政治家は、忙しなく騒ぐが私は逆に落ち着いていた。
おそらく、この戦いは蒼騎くんの圧勝だと言う事を感覚で分かっていたのであろう。


そしてモニターは彼の姿を映した。
彼は、ひとっ飛びでノヴァの近くまで行き、彼とノヴァの距離はおおよそ50kmぐらいのところで彼の姿が変わった。
髪が紅くなり、そのあと一気に突撃した。
まるで自身を弾丸のようにノヴァのコアに突っ込み、コアに一瞬ぶつかった後
難なくノヴァのコアを貫いた。


ドゴンッッ!!


貫いた蒼騎くんは、そのまま大地に激突した。
その際、大地と激突し着地時に重力の関係でクレーターが出来て半径100km以内は大地に亀裂が奔っていた。
ノヴァはコアを破壊されたことにより爆発し、動かなくなり倒れ、大地にぶつかった瞬間、亀裂の入った大地の底から業火が燃え上がった。


ゴォオオオオォォォォ!!!


そして燃え盛る業火の中から、倒れたノヴァをどかしてゆっくりと立ち上がる一人の男がいた。
その男は髪の毛が紅く、周りの業火によってより一層煌めいていた。
そしてその男が何かを発していた。


『…………………………』


だが、それは聞きとれず、業火の音によって呑み込まれた。
他の政治家は今の戦闘が信じられず、呆然自失していた。
私は、先程、約束してくれた政治家に向かって言った。


「見事に撃破してくれました。約束破らないでください。では、私は後処理をしますので、これにて」


私は議事堂を出て、待機中のパンドラ達に色々と指令を出すのに忙しかった。
~源吾side out~


~真紅狼side~
屋上に出た俺は、ノヴァとの50kmの地点まで鋼糸を飛ばして、引っ張られていった。
さて、アレがノヴァか。
あの中心を貫けばいいんだろうな。
あそこだけ、装甲が厚い。


「軋間で行くか」


50kmの地点に着いた瞬間鋼糸を解いて、軋間の“灼熱”を脚に集束させた。
そして空中に足場を作り、そのあと髪が自然と紅くなった。


「断獄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・必定!!」


キュボッ!
ギュンッ!!


ノヴァのコア目掛けて超高速で距離を詰め、そのまま貫いた。


ドゴォッ!
・・・・・・・・ボォン!!


貫かれたノヴァは爆発を起こした後、動かなくなった。
俺はそのまま大地に激突し着地時に周囲に亀裂が奔り、脚に集束されていた灼熱は大地の底で燃え上がるタイミングを待っていた。


バキキキキキキキィ・・・・・


その時ノヴァは勢いよく倒れ大地にぶつかった瞬間、タイミングを待っていた灼熱は一気に燃え上がり、亀裂の入った大地の隙間から噴き出るように半径100kmを燃やし尽す業火となった。
勢いよく燃える業火の中、俺はゆっくりと立ち上がり、破壊したノヴァを見て言った。


「たいしたことねぇな」


完全に動かなくなったノヴァを確認した後、俺はのんびり業火の中を歩いて総本部に戻っていたら、向こうから迎えのヘリが来ていたので、取り敢えず業火の中から抜け出すことにした。


こうして、突然のノヴァ襲来は一人の男によって一瞬で幕を下ろした。
~真紅狼side out~


あー、いい運動した。 
 

 
後書き
そして、源吾と知人関係となり自由行動と階級を手に入れることになりました。
これから真紅狼はフリーダムです。
 
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