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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第44話 それぞれの道

 アースラに収容された後、甲児はブリッジにやってきた。そして、其処で甲児は語った。
 此処数日間に起こった出来事。そして、今のなのはの状態を…

「そんな、なのはが重症だなんて!」
「医者の話だと…覚悟をしておいた方が良いって言ってたんだ……」

 甲児の言った言葉は皆に衝撃を与えた。たった数日の内に其処まで地球が危機的状況に陥っていたとは。

「リンディさん、すぐに光子力研究所に向ってください!」
「分かったは、すぐに進路を光子力研究所に…」
【その必要はない】

 突如、一同の前に巨大なモニターが現れる。映像は無く、声だけが響く。

「何だあんたは!」
【今から君達はこちらが指定するポイントに向って貰いたい】
「ざけんな! 何処の誰か知らない奴の言う事なんか聞いてられっか!」

 甲児が異議を唱える。だが、その異議も声の主は大して気にも留めない。

【君達のこれから大事な事を話さなければならないのだ。すぐに来て貰いたい】
「お気持ちは分かりますが、私たちはどうしてもまず光子力研究所に向わなければなりません。私達の大切な仲間が其処で待っているんです」
【彼女なら其処には居ない】

 それには皆が驚かされる。
 居ないだって?
 
「どう言うことだよ?」
【既に其処に居た所員達も皆移動したからだ。残っているのは君達だけだよ】

 どうやら既に弓教授やシロー達も皆移動を終えていたらしい。となれば言われた通りにするしかなさそうだ。

「艦長、どうします?」
「そうね、彼の言う事が本当だと言うのなら、信じてみましょう」
「分かりました。だけど覚えておけよてめぇ。もし嘘っぱちだったらてめぇの面ぶん殴ってやるからなぁ!」
【肝に銘じておこう。では、お待ちしていますよ】

 その言葉を最期に映像は消えた。直ちにアースラは進路を変更しそのポイントに向った。
 其処は何もない海岸であった。荒波が押し寄せているのと橋が架かっているだけで何もない。
 やっぱりガセネタだったか。甲児が苛立ちを隠さずに拳を叩き付けていた時だった。突如海面から巨大な建造物が現れたのだ。
 その建物は正しく要塞その物でもあった。

「これがそうなのか?」
「まるで要塞ですね」

 正直なクロノの印象であった。確かにその通りだ。見たままで言うならそれは正しく要塞。
 しかし何故?
 疑問が尽きない中、甲児達はアースラから降りてその要塞の中に入っていく。すると、其処には確かに弓教授やシロー達の姿があった。

「先生! シロー! 皆!」
「甲児君!」

 皆が甲児を見るなり甲児に飛び掛ってきた。特にボスが飛び掛ってきた際には重みの余り倒れてしまった程だ。

「いててっ、おい離れろ! 重いっての!」
「何言ってるんだわさぁ! こちとら兜が生きてたから凄く嬉しいんだわよぉ!」

 最早皆顔をクシャクシャにして涙を流しまくっている。みっともないと言えばみっともない。
 だが、それ程までに甲児と再会出来たのが嬉しかったのだ。

「そ、そうだ! 弓教授。なのはは何処に?」
「彼女なら此処の医務室に移送されたよ」
「それで、なのははどうなんですか!? まさか…」

 フェイトが泣きそうな顔で弓教授に尋ねる。そんなフェイトの頭にそっと手を置きながら弓教授が皆に言う。

「安心してくれ。さっき此処の先生の話によれば峠を越したそうだ」
「本当ですか! それじゃ、アイツは助かるんですか?」
「あぁ、只暫く絶対安静との事だ。だからこの後彼女は海鳴市の病院に移すことになってる」
「良かった…本当によかった」

 皆が安堵の気持ちになる。そんな時、突如アナウンスが流れる。

【弓教授、リンディ艦長。至急管制塔に来て下さい】

 そんなアナウンスであった。どうやら弓教授とリンディ艦長を呼んでいるようだ。
 一体何だろう。言われるがまま、弓教授とリンディ艦長の二人は管制塔に上がってきた。其処には一人の男性が背中を向けて立っていた。

「始めまして、弓です」
「同じくリンディです」
「弓教授、私を見ても驚かないで下さい」

 男性はそう言い、弓教授の方を振り向いた。其処に居たのは以前甲児が開いていた本の中にあった写真の男とそっくりの男性が其処に居た。

「あ、貴方は! 貴方は兜博士!」
「え? それじゃ、貴方は…兜甲児君の…」
「そう、甲児は私の息子です。私の名は兜剣造。此処科学要塞研究所の所長をしております」
「科学要塞研究所ですって!」

 全く聞いた事のない名前であった。そんな二人の前で兜博士は話を続けた。

「先ほど日本を襲ったのは古代ミケーネ人が送り込んだ【戦闘獣】です」
「しかし兜博士。ミケーネ人は滅亡した筈では?」

 弓教授の言う通りであった。かつて、ギリシャ時代よりも遥か昔、古代エーゲ海に浮かぶバードス島には巨万の富が眠っているといわれていた。それを狙い格国が侵略を行ったが誰一人としてその島に上陸する事は出来なかった。
 その島を収めていたのはギリシャ人の先祖と呼ばれている古代ミケーネ人である。彼等は機械の巨人を操り圧倒的な武力で栄華を誇っていた。
 だが、そのミケーネ人も天災の影響により滅亡したと言われている。
 しかしそれが生きていたとは。

「奴等は再び地上をこの手にしようと侵略を開始したのです。ですがご安心を、此処科学要塞研究所はそのミケーネ帝国に対抗する為に作られたのです。そしてこれも…」

 其処にあったのは先ほどマジンガーZを助けたもう一体の黒い巨人【グレートマジンガー】の姿があった。

「成る程、納得が行きました。グレートマジンガー……あれほどの素晴らしいロボットを作れるのは世界広しと言えども貴方位な筈」

 其処で弓教授ははっと気づいた。確か兜剣造博士はマジンガーZ製造実験の際の事故で亡くなった筈。なのに目の前に彼が居る。一体彼は何者なのだ?

「ですが待って下さい。貴方は確か光子力エネルギーの実験の際の事故で―――」
「そうです、私は一度死にました」
「え!?」

 その言葉にリンディは驚いた。死者が生き返る事など魔法の力を使っても無理だ。かのプレシア・テスタロッサが行おうとしていた事を目の前のこの男はしたと言うのだろうか。
 そんな疑念を砕くように、兜博士は身につけていた上着を少しだけ取る。その下に映ったのは機械で象られた体であった。

「その体は!」
「父兜十蔵は私の体をサイボーグ手術する事により死の淵から救ってくれたのです。人間の体として残っているのはもうこの頭部だけです。それでも私は世界の平和の為にミケーネ帝国と戦うつもりでいるんです」
「兜博士…」

 兜剣造の気合の入りようは凄まじかった。人間を捨ててまで戦おうとする決意は並大抵の物じゃない。

「其処で、お二人に頼みたいことがあるんです」
「と、言いますと?」
「まず、私の正体を甲児とシローには黙って欲しいんです。今はまだ二人を動揺させたくない」
「分かりました。それではシロー君は私が暫く預かっておきましょう」
「有難う御座います。それと、甲児の事なのですが…」

 兜博士の視線がリンディ艦長に向けられる。

「甲児を是非ミッドチルダに連れて行って欲しいんです」
「甲児君をですか?」
「甲児は我々兜家の血を受け継いでいます。是非貴方達の世界で彼を鍛えてやって欲しいんです。甲児の若い力はいずれ必ず世界を救う力になってくれます。その為には甲児には今から多くの事を学ばせたいのです」
「分かりました。甲児君は私がお預かり致します。丁度それにピッタリの人物も居ますし」

 リンディも承諾してくれた。それを聞けた兜博士の顔にも若干安堵の色が伺えた。

「それでは、二人の息子を宜しくお願い致します」
「分かりました。責任を持ってお預かりします」
「お任せ下さい」

 話は終わり、弓教授とリンディ艦長は管制塔から皆の所に戻っていく。残ったのは兜博士だけとなった。
 そんな兜博士の元に一人の青年がやってくる。

「所長。今のが…」
「そうだ、あれが今まで地球を守って来た組織【ガーディアンズ】の協力者達だ。いずれ君もそのメンバーに加わる事となる。それまで特訓を怠るんじゃないぞ…鉄也君」
「心配ありませんよ所長。あんなガキ共に負ける程俺は落ちぶれちゃいませんからね」

 鉄也はそう言って静かに歩き去っていた。そんな鉄也を見て兜博士は一人深い溜息をつくのであった。




     ***




 私が目を覚ました時は、皆がそれぞれの道に進んだ後の事でした。
 突如として訪れた襲撃事件から1週間。ずっと眠ってた私が目を覚ますと、私宛の手紙が沢山来てました。
 そして、その中にはあの巴武蔵さんがお亡くなりになったと言う報せも入ってまして、それを読んだ時、私はとても悲しくなりました。
 その他には、皆がそれぞれの道に進んだ事を記す内容が書いてありました。




 フェイトちゃんとアルフさんはまたミッドチルダに戻って魔法の特訓をする事に。フェイトちゃんは管理局の嘱託魔導師目指して猛特訓中。早川さんに鍛えられたクロノ君の教育が厳しすぎて毎日ヒーヒー言ってるってアルフさんが心配してたみたいです。



 竜馬さんと隼人さんは新しいゲッターロボの開発に携わる傍ら、三人目のパイロット候補を探してるみたいです。早く見つかると良いなぁ。そして新しいゲッターロボかぁ。どんなのなんだろう。




 本郷さんと一文字さんは未だに連絡が着きません。多分あの二人は毎日忙しく走り回ってるんだろ思います。元々落ち着き無い人達でしたし。



 それから、早川さんからも手紙が来てました。まだ早川さんは親友の仇を探してるみたいです。そして、その中にはクロノ君と過ごした写真が沢山入ってました。何だか二人共とても楽しそうに写ってました。




 甲児さんはフェイトちゃん達と一緒にミッドチルダに行ったみだいです。でも、シロー君や皆にはあんまり驚かせたくないからってアメリカに留学するって言ってたみたいでした。
 何でも、ミッドチルダでも偉い学者さんの元で勉強する事になったみたいです。
 その人の名前がジェイル・スカリエッティ教授と、光…光なんとか博士の元だそうです。
 二人共凄く頭良いみたいだし、もしかしたら甲児さんが凄くインテリになって帰ってくるんじゃないかとヒヤヒヤしてます。




 そして、私は今此処海鳴病院でリハビリ中です。お医者さんの先生が言うには奇跡が起こったって言ってました。
 本当に奇跡が起こったのかは分かりませんが、とにかく私は今こうして生きています。

「なのはちゃん、そろそろリハビリの時間やでぇ!」
「はぁい」

 同じように入院している八神はやてと共に、今日もなのはは目の前のやるべき事をこなす為に歩き続けた。
 早く立ち直り、皆と一緒にまた歩き出す為に。私は今日も一生懸命頑張ります。




     ***




 皆それぞれの道を進んでいた。新たな戦いの日に備えての準備をする為に。
 また、傷ついた羽を休める為に、今は暫しの休息が与えられた。




 そして、物語はもう一つの戦いへと進んでいく。










      つづく 
 

 
後書き
次回予告

PT事件から半年後、突如管理局に告げられた謎の事件。
それは、新たな戦いの幕開けとなり、また、新たな戦士の誕生を告げるものでもあった。

次回「黒き仮面」お楽しみに






次回から本格的にAs編がスタートします。
長い間お待たせしました。
次回を楽しみにお待ち下さい。 
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