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フリージングとイレギュラー

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降り立った真紅の狼

~マーガレットside~
ヘリが乱入者の元に向かっている間に、私は先生方に準備をお願いしてもらった。


「キム先生、エリズ先生。彼の迎えをしてやってください。それと、軽食の用意をお願いします」
「「わかりました」」


私は先に話し合いの場に向かう事にした。
………しかし、彼が彼女(シフォン)さんと戦い方は、今まで見てきたパンドラ達にはなかった戦い方だった。
しかも、殴ると炎が出るなんて………本当に珍しい。
極めつけは、聖痕がないのに高速移動(アクセル・ターン)が出来る事。
考えれば、考えるほど謎が深まるばかりだ。


「……本当に彼は一体、何者なんでしょうか」


謎を抱えたまま、話し合いの場になる応接室に向かった。
~マーガレットside out~


~真紅狼side~
ヘリに揺られて約5分、腹減ったなぁと思ってるとヘリが着陸した。
ドアを開いて、外に出ると先程のコロシアムっぽい所とは変わって、綺麗な校舎と雲ひとつない空が見えていた。


「さっきとは大違いだな………「あなたがカーニバルに乱入した男かしら?」………乱入ね。まぁ、そうだな。で、アンタ等は?」
「私はこのウェストゼネティックスの物理教師兼訓練教官のキム=ユミと……」
「そして、私が保険医のエリズ=シュミッツよ。貴方の名前を伺ってもいいかしら?」
「ああ、女性だけ名乗って自分は名乗らないとか最低だからな。蒼騎真紅狼だ。“蒼騎”でも“真紅狼”でも、どちらでも好きなように呼んでくれ」
「日本人なのか?」
「正真正銘の日本人だが?」
「歳は?」
「25だが?」


何故に歳まで聞いてくるんだ?
ワケ分からん。


「取り敢えず、キム。蒼騎を連れていくわよ」
「ええ、そうね。……蒼騎、私達に付いてきなさい」
「ウィ」


彼女達の後を付いて行く最中、施設内を歩くわけで学生達には興味津津のように見られまくっている。
付いて行くと二人が突然止まり、目の前の扉を叩いた。


コンコン・・・


『………どうぞ』
「失礼します。来訪者を連れて来ました」
「蒼騎、中に入れ」
「へーい」


中に入ると、女性が紅茶を飲みながら座っていた。


「………先程、コロシアムの中で俺と会話したのはアンタか?」
「ええ。私の名前はマーガレット。他の方たちからは“シスターマーガレット”や“マーガレット校長”と呼ばれています」
「俺の名は蒼騎 真紅狼だ。校長と呼ばさせてもらうが構わないか?」
「どうぞ。お好きなように呼んでください」


校長は手で座る様に促してきたので、座ることにした。


「では、校長先生私達はこれで………」


そう言って出ていく二人だが、聞きたそう顔をしてるため呼び止めた。


「待てよ、お二人さん。聞きたそうな表情をしてるし、二度手間は嫌いなんだ。一緒に聞いていけよ」
「………よろしいんですか? 聞かせても?」
「先程も言ったように二度手間は嫌いなんだよ。ということで、座れ」


キムは校長の隣に、エリズは俺の隣に座った。


「さて、聞きたいことを聞きな。ある程度の質問なら答えるよ」


そう言い放った後、俺の眼の前に置いてあるホットドッグをかぶりついた。
………あ、これ。うめぇ。


「では、貴方は空から落下してきましたが、本当はどこから来られたのですか?」
「あー、その質問は答えることが出来ないね」
「なら、先程戦い方はなんですか? 今まで見たことの無いんです。それに高速移動も出来てましたし………」
「俺の固有技みたいなものかな。あと、移動の方は身体を酷使しただけ」
「………すみません、校長。“先程の戦い方”とは?」


エリズ、キムの両者は尋ねる。
すると、校長は先程の戦いの映像の記録を両者に見せていた。
二人は驚き、こちらを見てくる。


「こんな戦い方なんか知らないな。それ以前に手から炎を出すなんて見たことがない」
「しかも、聖痕無しにここまでのアクセル。貴方、本当に人間?」
「鬼です」
「「「はい?」」」
「だから、御伽噺に出てくる“鬼”だ。って言ってんの!」


校長は表情を崩さず、二人はぽかんと口を開けている。


「鬼ですか。と言う事は私達を殺しに来たのですか?」
「殺すねぇ。俺の“信念”を犯したモノは容赦なく殺すが、それ以外は殺さねぇよ? だから、二人とも殺気をしまえ」


二人は若干ながら殺気を俺の方に放っていた。
なにかしたら、襲いかかってきていただろう………まぁ、負けんがな。


「随分と戦いに慣れてるな、蒼騎。どこで培った?」
「色々と殺し合いをやって来たんだよ、キム。で、俺の処遇ってどうなるわけ?」
「今、総本部が蒼騎さんとシフォンさんの召喚を決定したようです。蒼騎さんには会いたいと言う方が居るので、そちらに会ってもらう事になるんですがよろしいですか?」
「まぁ、構わねぇよ?」
「召喚は明後日ですので、それまでは特別待遇者として扱わせてもらいます。学園の外に出ることは禁じますが、学園内であれば、自由に動いても構いません。………それと、このカードをお渡ししておきます」


そこには黒いカードで英語で『GENETICS(ゼネティックス)』と書かれているカードだった。


「これは?」
「この学園内にある飲食店や部屋のカードキーです。これを飲食店でかざせば、これで支払いも済みますし、部屋のロックも外せますのでお持ちになっていてください」
「態々どうも」
「私の質問は終わりましたが、キム先生、エリズ先生はなにか質問とかはありますか?」


二人に尋ねる校長は、エリズは首を振ったが、キムは軽く手を上げた。


「一つだけいいか、蒼騎?」
「なんだ?」
「このシフォンとの戦い…………お前、手加減したな? いや、むしろ全力で戦っていない。違うか?」


いやぁ、まさか気付かれるとはなぁ。
あの時は、身体が思ったように動くか試しただけで、全力じゃなかったし。
というか、あの程度で圧倒出来るとは思わなかったんだよね、マジで。


「まさか、バレるとは………侮れないなぁ」
「お前が“本気”を出していれば、シフォンはこんなでは済まされないハズだ。もっと酷い状態になっているんだろう?」
「なんで、分かるんだよ?」
「お前と対峙していると、そんな光景が自然と浮かんでくる」


この世界の女性はマジで侮れねぇな、オイ。
ちょっとばっかし、早めに身体慣らしとかないと面倒だな、こりゃ。


「……校長、悪いんだが、訓練所とかないか? 身体を動かしたいんだが………」
「では、キム先生、案内してあげてください」
「分かりました。ついでに相手をしてみます」


ああ、面倒になった。


「なら、私も付いていくけど、構わないわよね?」
「………どうぞ、ご勝手に」


コイツ等、マジで厄介だ。
俺は二人の後に着いていきながら、訓練所に向かったんだが、どうしたわけか着くなり観客が増えていた。
どうなってんだ、コレ?
~真紅狼side out~


本当にどうなってんの? 
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