真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第5話 母上危機一発 後編
前書き
第5話 母上危機一発 後編
「うぅ・・・ん・・・」
目が覚めると頭に少し鈍痛があり、いい目覚めとは言い難いです。
川の音が近くから聞こえてきます。
ここはどこなんでしょうか?
私は市場で買い物をしている最中に賊に頭を殴られ意識を失いました。
今の状況がさっぱりわからないです。
後ろでに縛られているようなので、動きづらいです。
周りを見渡すとここが簡素な小屋だということがわかりました。
「頭、女が目を覚ましたみたいたぜ!」
明らかに山賊としか思えない男が、私が目を覚ましたことを確認して人を呼んでいました。
現れたのは熊のような体格で残虐そうな顔つきをした男でした。
「気分はどうだ、くくっ、く」
不快な笑い方をする男だと思いました。
「なぜこのようなことをしたのです」
「金だよ!金にきまってるだろうが!太守の女房を誘拐すればたんまり金をいただけるだろうからな、ひひっ。しかし、いい女だな。どうだ、太守の女房なんてやめて俺の女ならねえか?一生良い目に合わせてやるぜ!ひひっ」
山賊の頭は下卑た顔で私の顎を掴んで言いました。
私は精一杯の勇気で睨みつけました。
「ふん、お高く留まりやがって、金が手に入ったら覚えてろよ!おい、お前らしっかり見張って置けよ!」
「「へい!」」
山賊の頭は見張りを残して小屋を出ていきました。
あなた、正宗・・・。
きっと心配しているでしょうね。
東の郡境某所―――。
私は神様に教えられた通りに東の郡境の奥深くを探索中です。
既に日が落ちて周囲が暗くなりました。
夜目の効く私には関係ないですけど・・・。
そして漸く谷を見つけました。
山賊の居場所も直ぐにわかりました。
谷の中とはいえ堂々と火を使うとは・・・お陰で楽に見つけることができました。
母上大丈夫でしょうか?
貞操の危機とか洒落になりません。
そうなった場合、山賊達は四肢を切断して、川に流してやることにします。
「ふふ・・・ふふ・・・」
まずは母上の居場所を特定することにします。
何か怪しい場所は無いですかね。
谷の上から怪しい場所がないか見ていると・・・。
ありました!
明らかに怪しいです。
谷の下には山賊達が野営しています。
その中に不自然に立っている小屋があります。
これしかないでしょ!
必ず母上はここにいる!
絶対にいます!
間違いないです!
テンション高くなった私は谷の上から小屋の手前目掛けて飛び降りました。
普通の人であれば死ぬでしょうが、私は体を硬気功で強化しているので問題ありません。
落下の衝撃で小屋の前に野営していた山賊達は、ご臨終のようです。
私の足元には血の海が広がっています。
山賊達が何事かと集まってきます。
まずは母上の確保をしようと小屋に近づこうとすると・・・。
熊のような凶悪な人相の男が立っていました。
母上は・・・そいつの近くで部下らしき奴らに喉元に剣を突きつけられています。
「武器を捨てやがれ!母親がどうなってもいいのか!」
「これから死ぬお前に何ができるか教えてくれませんか?」
山賊達は私の言葉が可笑しかったのか笑い出した。
「俺が死ぬ?へへっ、傑作じゃねえか!おい、お前ら!この餓鬼頭が悪いみたいだぞ!」
「坊主、これだけ人数がいるんだ。死ぬのはお前の方だぜ!」
「「あはは、ひひははははぁはは」」
嘲笑する笑い声が周囲から聞こえてきます。
「この子は関係ないわ、この子だけには手をださいで!」
「へへ、タダで言うことを聞くと思っているのか?」
山賊の頭は下卑た顔で母上を下から上まで嘗め回す。
「・・・わかりました。ですからあの子には手をださないで・・・」
母上も不快を感じているようだが、私のことを守ろうと観念したように応えました。
私がそんなことを黙認するわけないです。
「母上、ウジ虫の指図など受ける必要などありません。それより母上を離せ、今なら人として殺してやる」
「黙りなさい!正宗!母の言うことを黙って聞きなさい!」
「生憎これだけは聞けません。ウジ虫の言うことなど聞く必要などありませんから」
「糞餓鬼っ!手前をぶっ殺した後でお前の母親を犯してやるぜ!」
「母上を離せといっている」
「あぁ、自分の立場がわかってるのか!手前ぇ!」
「手前の母親がどうなってもいいのか!」
「正宗!私のことはいいから逃げなさい!」
「黙りやがれ!このアマ!」
「くっ!」
私の言葉が癇に障ったのか下卑た顔から一転、私に罵声を浴びせてきました。
山賊達は母上を殴りつけ、その首元に剣を突きつけ下卑た顔を向けてきます。
山賊達は人質がいることで、自分達が主導権を握っていると思っているようです。
この山賊の頭は馬鹿のようです。
私の恐ろしさが判っていないようです。
「もう一度言う。人として死にたいなら母上を離せ」
「ぎゃはは、はは、お前の母親の体に聴かなきゃわからねぇみたいだな!」
「おい、手前らそのアマを裸にひん剥いちまえ!」
「「へへっ、頭わかりやした」」
「や、止めなさい、下郎っ!」
救い様のない奴らだと思いました。
人の痛みを知ろうともしない。
知る気がないのでしょう・・・。
なら、人として死なせはしません。
覚悟してもらいましょうか。
私は一瞬で間合いを詰め、母上に辱めようとする2人の山賊達の首を双天戟で吹き飛ばし、その返しで山賊の頭を胴から真っ二つにしました。
山賊の頭は地に横たわり何が起こったわからずに、目を剥いて痙攣をしています。
グシャ―――。
私はその山賊の頭の頭を情け容赦なく踏みつけました。
「言ったはずだ。人として死にたければ母上を離せとな。お前達が私に勝てるとでも思ったのか?お目出度い奴等だな。だが、もう遅い。お前達に掛ける慈悲はない。お前らの命で償ってもらうぞ」
視線を山賊達に向けると彼らは混乱しているようでした。
ただ彼らでも理解できることがあります。
私が数人の山賊と自分達の頭を一瞬のうち惨殺したことです。
「か・・・頭がやられたぞ」
山賊の一人がそう呟くと堰を切ったように山賊達は動き出しました。
私と母上を殺そうとするもの―――。
ここから逃げようとするもの―――。
私はここで封印していた技を躊躇わずにつかいました。
私に向かってくる山賊どにむかって双天戟を突きつけ、硬気功の「気」を一点に集中させ技を放ちました。
「振雷・零式!」
夜であるにも関わらず昼のような輝きを周囲に放ちました。
輝きが収まったときそこには死体の山がどこまでも続いていました。
私の立ち位置から近いところの死体は、原型を留めていません。
血の匂いがそれは生き物の残骸と自覚させてくれます。
さっきの攻撃で山賊達のその半数が壊滅したようです。
「振雷・零式」の攻撃を免れた山賊達はあまりの惨状に恐怖で体を強張らせています。
私は情け容赦なく生き残りの山賊に対し「振雷・零式」の第二射を放ちました。
私は状況を確認することなく、母上を肩に抱えると戦線を離脱することにしました。
母上の安全確保が最優先です。
もともと逃げようとしてた山賊達は、蜘蛛の子を散らすように逃げてます。
私はそれを無視して谷を駆け上がっていきました。
谷を上りきると母上に声を掛けました。
「母上、戦場から一刻も早く離れなければなりません。話は城に戻ったら聴きますので、今は黙って私と共にお逃げください」
肩に抱える母上の顔は見えないが、沈黙を肯定と受け取り足を速めることにしました。
空にはいつのまにか満月が出ていました。
綺麗な月なので黄昏たい気分ですが、そうもいきません。
最悪の誕生日になりました。
帰ったら父上、母上からどのような説教を受けるのでしょうか?
ですが、母上が無事で本当に良かったです。
後書き
次は父上と母上のお説教タイムです。
教育ジジも参戦するかもです。
次の次くらいに原作キャラと接点を持たせようと思います。
ページ上へ戻る