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スーパーロボット大戦OGAnother

作者:TACHIBANA
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第一部「数奇なる騎士」
  第01話「地に伏した凶鳥」

 
前書き
どうも皆さん…
実はスパロボ厨のタチバナαミヤタクです。
いやぁ、書きたいものがやっと書けますね!
OGはOGsしかやったことないんですが、すばらしいですね。
俺のヒュッケバイン…ぐふふ…ハッ!?

前置きが長くなりました。

では、ゆっくりしていってね!













新西暦と呼ばれる時代。

人類が宇宙に進出してから二世紀近くが過ぎた。
新西暦179年、新西暦に入った人類に大打撃を与えた二つの隕石に続き、三つ目となる隕石、「メテオ3」が、南太平洋マーケサズ諸島沖に落下。
連邦政府の調査団により、「メテオ3」は人工物であることが判明。
そこには人類にとって未知の物質と技術の情報が封印されていた。

それらを「EOT(Extra-Over-Technology)」と称し、
EOTI機関による調査の中、機関の代表ビアン・ゾルダーク博士は地球外生命体による侵略の危機を政府と軍に示唆し、それを受けた軍上層部により、人型機動兵器「パーソナルトルーパー(通称、PT)」
の開発が開始された。

時は流れ、新西暦186年11月、EOTI機関は、ビアン・ゾルダークを総帥として「DC(ディバインクルセイダーズ)」を名乗りコロニー統合軍と結び、後に「DC戦争」と呼ばれる戦争を仕掛けてきた。

DCの新兵器であるAM(アーマードモジュール)を相手に地球連邦軍のPT及び戦闘機部隊は大苦戦を強いられ、各支部の基地を、次々と陥落されていった・・・

その最中、日本の連邦軍琵琶湖方面補給基地では
 

 
「・・・・・」
「このっ、そこだっ!」
二人のパイロット候補生が、PTのシミュレーターで訓練を行っていた。
「・・・・・」
無言の少年、ライトフォード・シラヌイは、標的のリオンの軌道上にマシンガンを撃ち込み、バランスが崩れたところにプラズマステークを打つという戦法で次々と敵機を落としていく。
「このォ!あたれぇ!」
一方、声を上げている少年、タカヤ・ハスナカは、マシンガン二丁による弾幕戦法で追い詰める、が、命中時に十分な火力を叩き込めないせいか、なかなか撃墜には至らない。
しばらくして、シミュレーター内のタイマーが0となり、画面に終了の文字が出る。
「シラヌイ、ハスナカ、そこまでだ。」
教官のラッカー・アダム中尉も二人に終了を促す。
「了解です。」
ライトが言う。
「畜生、終わりかぁ・・・!」
タカヤも声を上げ、二人が同時に、シミュレーターから出てくる。
「ツキタニ、スコアは?」
アダムが尋ねる。
「はい、ライト軍曹が8機、タカヤ軍曹が5機です。」
アダムの問いに、同じく候補生のミナミ・ツキタニが答える。
「くそ~、また負けたぁぁ!!」
タカヤが天を仰ぎながら声を上げた。
「まあまあタカヤくん、それでも5機だよ?ミナちゃんだってMAX4機だし、私はMAX2機しか落とせないんだからさ、ね。」
3人と同じ候補生のナナセ・クルトバードがタカヤをたしなめる。
「そうよ。初っ端から6機撃墜したようなエース候補に、私達がかなうわけ無いでしょ?」
ミナミが、やれやれ、という具合にタカヤに言った。
「いいや、いつかはライトに勝ってみせる!俺は勝ってやるさ。」
タカヤが向き直ってミナミに言った。
「そう言ってもねえ・・・弾幕張ってもなかなか落とせないなら、ライトには・・・」
ミナミが顎に手を当てながら言った。
「いや・・・タカヤの戦法は絶対に悪いものじゃない。弾幕によるかく乱戦法は敵機の撃墜だけでなく、味方機の援護にも向く。撃墜しきれなくても、味方を最大限サポートできる。」
ライトが、タカヤの戦法を分析して見解を下す。
「そうなのか?」
タカヤが目を見開く。
「ああ、実戦においても、近中距離からの援護が可能な機体やパイロットは重宝される。」
ライトは、データをDコンに転送しつつ言った。
「そうか、そうだな!ヘヘッ、なんか照れるな・・・」
タカヤは鼻の頭を指で撫でた。
「だが、ただ延々と撃っているだけではすぐに弾切れを起す上に、最悪味方に当たりかねん。そのあたりは、やはり慎重になる必要がある。」
しかし、アダムが教官としての見解を下し、タカヤが少し肩を落とした。
「・・・・」
ライトは、転送が終わったのを確認すると、出入り口へ向かう。
「あ、ライト、どこいくの?」
ナナが声をかけた。
「・・休憩がてらに戦況を確認しておく。」
そういうと、ライトはシミュレータールームを後にし、休憩室へ向かった。
「・・・・」
ライトは、Dコンを見ながら連邦軍基地がまた陥落したのを知った。
「・・・」
九州の次は関西か、と、考えるライト。
その考え、予想は、現実のものとなるのだった。








***






翌日の昼過ぎ、休憩室で休息をとる候補生四人。
「なんか、毎日シミュレーターやってるけど、戦争やってるって実感いまいち無いよね。」
ナナが切り出す。
「それって、まだ自分が実戦に出てないからか?」
タカヤが聞く。
「うん、なんか遠く感じると言うか・・・」
「ところが、そう遠くも無い。九州どころか、山口の補給基地も墜ちた。次は、四国駐在か関西基地、ここのどこかが狙われる可能性が高い。そろそろ覚悟を決めたほうが・・・」

そのときだった。
第二種戦闘配備を告げる警報が鳴り響く。
「!こいつは!」
タカヤが身構えた。
「・・・・」
「ちょ、待ってライト!こんなときにどこへ!?」
ナナの制止も聞かず、ライトは無言で去った。
そこへ

『~~♪』
管内発信の電話がかかり、タカヤがそれをとる。
「あ、はい休憩室・・・あ、中尉。・・・はい、ええ!?俺達が!?・・・は、はい、分かりました!」
承諾だけして、タカヤは電話を切った。
「なんだったの?」
ミナミがたずねる。
「人員を裂きすぎて防衛部隊の機体が手薄らしい、俺達にスクランブルがかかった!」
「そんな、候補生にスクランブルがかかるなんて・・・」
タカヤの言葉に、ナナが少し慄く。
「うちは万年人手不足だからな。ほら、行くぞ!第二格納庫だ!」
タカヤが言い終えると三人は格納庫へ向かった。








***










基地内は、あちこちから火の手が上がり、戦闘機だけでなくPTも次々と撃墜されていた。
ライトは火の中を掻い潜り、格納庫についた。
しかし、そこは第二ではなく第一格納庫、中では一機の量産型ゲシュペンストMK-Ⅱが横たわっていた。
「・・・・うわっ・・・!」
爆風が襲い、ライトは思わず伏せる。
後ろを向くと入り口が潰されていた。
「・・・・」
ライトは、落ち着いた様子でゲシュペンストに駆け寄り、コックピットに座る。
「各部に問題は無い。スプリットミサイルで障壁を破れば。」
ライトは言葉通りにミサイルを発射し、脆くなった障壁を破る。
障壁の残骸を被りながら、ゲシュペンストは立った。








***









「出撃って・・・メッサーっすか?」
第二格納庫内の、F-28のコックピット内でタカヤが言う。
『そう言うな、チューンアップはしてあるし、ビームキャノンも取り付けた。十分に戦える。』
量産型ゲシュペンストMK-Ⅱ三番機からアダムが通信を送る。
『ま、いきなりPTで戦うよりはね。』
ミナミが言う。
『それにこの機体、シミュレーターより安定してるし。』
ナナも言った。
「・・・ま、四の五の言ってる場合じゃねえな。」
タカヤも納得し、グリップを握り返した。
『そういえばシラヌイはどうした?』
アダムが尋ねる。
「それが・・・」
タカヤ言いかけた瞬間、第一格納庫内部から小爆発が起きる。
『第一格納庫か?一体何が・・・』
アダムの言葉の先、煙の中から現れたのは量産型ゲシュペンストMK-Ⅱ。
『あれは13番機、誰が乗っている!?』
アダムは13番機へ回線を開く。
『自分です。アダム中尉。』
ライトが応答した。
『!シラヌイ!』
アダム、だけではない。ほかの三人も驚いていた。
『すみません。警報が鳴ってすぐに飛び出したものですから。』
『どうりでいないわけ・・・ッ!?』
アダム機の近くで爆発が起こる。
リオンのレールガンによるものだった。
「見つかったか!」
アダムがマシンガンを構えた。
「タカヤ、急いで離陸しろ。時間は稼ぐ。」
ライトもまた臨戦態勢をとった。
『すまねえ。ミナミ、ナナ!急ぐぞ!』

「牽制になれば・・・」
ライトがマシンガンを放ちアダムも同様に撃つ。
ライトのものは回避されたが進路上に撃ち込んでいたアダムの射撃が直撃し、リオンのバランスが崩れる。
「・・・これなら・・・ステークセット。」
ライトはブースターをフルにいれてリオンの落下ポイントへ行き、プラズマステークで貫いた。
「やるじゃないか。」
「いえ、中尉の援護のお陰です。それに、シミュレーター通りに落とせたということは、敵機の乗り手が相当な素人だったということです。」
感心するするアダムに対し、謙遜するライトだった。









***










「ホッ、なかなかどうしてしぶてえなァこいつぁよお!」
ガーリオンのパイロット、テンザン・ナカジマ言う。
彼一人でも、既に4機のPTを撃墜している。
しかし、戦闘中であるということを物語る爆音や銃声が消えない。
「ちょいと見に行ってみるか。」
テンザンのガーリオンは一番戦闘が激しいであろう基地中央部へ向かった。












***










「まずいなこれは・・・」
アダムは呟く。
それもそのはずなのだ。
撃墜しても撃墜しても敵は減らない。
幸いなことといえば、この場にランドリオンやガーリオンがいないことくらいである。

「やむを得んな・・・ハスナカ、お前はツキタニとクルトバードを連れて琵琶湖まで行け!退路は私とシラヌイが確保する。」
「え、あ、りょ、了解!ナナ、ミナミ!行くぞ!」
「「了解!」」
三人は先行していった。
「シラヌイもいいな?」
「ええ、タカヤ達には追いつかせません。」
その言葉と同時に、ライトはスプリットミサイルを放ち、リオン2機を仕留める。

幸い、基地から琵琶湖まではそれほどなく、タカヤ達戦闘機組はすぐに到着した。
「アダム中尉、以後の指示を。」
ミナミが通信でアダムを呼び出す。
「琵琶湖の、お前達のいる近くに地下シェルターの入り口があるんだが・・・確認できるか?」
「シェルターの入り口・・・?」
ミナミが低空飛行に移りながら探す。
「あ、あれじゃない!?」
ナナ機が機首を向けた方向に、人が通れそうな、明らかに人工物である通路が見えた。
「確認できたら、近くに降下して中に入れ。一番大きな格納庫に輸送機がある。起動させて、通信を入れてくれ。」
「了解!行くぞ二人とも!」
タカヤの合図で三人はメッサーを着陸させ、シェルターの入り口へ向かった。


「撒いたか・・・。シラヌイ、無事なようだな。」
「ええ、マシンガンの弾は尽きましたが。」
ライトはマシンガンを捨てながら言う。
「ハスナカ、聞こえるか?」
周波数をあわせ、輸送機を呼び出す。
「あ、・・・がった!つながった!アダム中尉、支持を。」
応えたのはミナミだった。
タカヤは操舵席にいるのか、おぼろげにしか声が聞こえない。
「よし、我々はここから離脱を「そうはさせないっての!!」
通信を遮り、高速でガーリオンがライト機を襲った。
テンザンだ。
ざばん、と水面がはね、ライトのゲシュペンストが琵琶湖へ落下した。
「シラヌイ!!くっ・・・ツキタニ!その場に待機しろ!」
「つぎはてめえだっての!死ねえ!」
テンザンは更に加速をかけ、今度はアダム機を襲う。
「く、うう・・・!」
「へっ、おせえなぁ!」
ガーリオンのバーストレールガンで、マシンガンを持った右手が吹き飛ばされる。
「・・・うぐ、く・・・」
「おっと、楽には殺らねえぜ!じわじわプチプチっとあの世へ送ってやらあ!」










***










「水中適応が施されていたか・・・だが・・・ん?」
ライトは水中で金属反応を見つける。
「格納シェルター・・・」
ゲシュペンストで中に入り、水を抜く。
「・・・これは・・・」
ライトが見たのは、黒いボディに翼の付いたフォルム、大きなバックパックを引っ提げた機体。
「・・・ヒュッケバインなのか・・・?」
ライトはゲシュペンストから降り、その機体に近付く。
コックピットは開け放たれていて、リフトが下りていた。

「・・・・・」
ライトは無言で駆け寄ると、リフトを起動させてコックピットにのぼり、シートに座る。

「・・・」
パネルに触れると機内のシステムが起動し、モニターに文字が映る。
『RTX-008R-typeGC』
『“Grun-bein”』
ライト「グラン・・・バイン・・・・・・?」
『~!~!』
ライトは警報を聞き、警告文に目をやる。
『This body is equipped with a black hole engine. When it is the worst “This body explodes and becomes vanishing.”』
「爆発・・・ブラックホールエンジン・・・008の改修機か・・・」
ライトは資料で見たヒュッケバイン008を思い出す。
月面で爆発事故を起こした、ヒュッケバインがバニシングトルーパーと呼ばれる所以となった機体だ。
「・・・」
ライトは、格納庫のシャッターを開ける。
――唾棄された凶鳥の成れ果てに、再び空を舞う時がきた――









***












「ヘヘヘヘっ!よえぇ!よえぇよ!ヒャッハハハハハ!」
「くっ・・・うぅ・・・!」
テンザンの残忍な戦法により、アダムのゲシュペンストは四肢を奪われていた。
「ホッ、次は頭だって・・・ん?」
熱源反応を確認し、テンザンはガーリオンを湖の方向に向ける。


「なっ・・・!あれは!」


「抜けたか、ならば・・・ターゲット、ガーリオン。」
ライトはフォトンライフルの銃身をガーリオンに向ける。
「なっなんだてめえは「シュート。」
テンザンが言い切る前に、ライトは引き金を引いた。
放たれた光子弾はガーリオンの左脚部を貫いた。

「バランスがとりづらいか。だが、攻撃面積が広ければ問題ないはずだ」・・・」
ライトはならばとばかりにバックパックから二門の砲身を展開する。
「てめえ!やりやがったな!殺すぅ!」
テンザンはガーリオンの体勢を立て直し、バーストレールガンでグランバインを狙う。
しかし・・・
「やらせん!」
アダムがスプリットミサイルを放ち、バーストレールガンを吹き飛ばす。
「・・・Gバスターレールガン・・・発射。」
砲門から二つのエネルギー弾がビーム状に放たれ、テンザン機を貫く、が、とっさに回避運動を取ったのか、下半身を消し飛ばすに留まり、テンザン機の離脱を許してしまった。
「畜生!覚えてやがれぇぇ!!」
テンザンは、そうはき捨てて撤退していった。
「逃がしたか。」
ライトは無機質に言う。
「シラヌイ、聞きたいことがある。」
アダムが呼びかける。
「この機体の、グランバインのことですか?」
ライトが聞き返す。
「そこまで知っているか・・・ならいい、忘れてくれ。その機体の説明は後でしてやる。」
「?」









***








戦闘終了後、ライトのゲシュペンストも回収して浮上してきた輸送機に合流した。

「なっ!?ヒュッケバイン!!」
タカヤは思わず声を裏返らせる。
「正確には、改修機のグランバインだ。」
アダムが言う。
「・・・アダム中尉、グランバインの説明と言うのは?」
ライトが尋ねた。
「ああ、この機体は・・・」
アダムはこう語り出した。


グランバインは、前述の通りヒュッケバイン008Rの改修機である。
記録では、月面事故と共に失われたとされていたが、当時のEOTI機関により極秘理に回収され、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱと、当時まだ組み上げ段階だったヒュッケバインMk-Ⅱの予備パーツ、そして当時の技術である程度の小型に成功したテスラ・ドライブを搭載した。
しかし、問題のブラックホールエンジンは取り除かれておらず、警告文を付けるにとどまってしまった。
以後グランバインは、実戦配備されることもなく、この琵琶方面補給基地に渡り、琵琶湖内に沈められた。

「そんなことが・・・でも、失礼ですけど何故一士官のアダム中尉がそこまで・・・」
解せないのか、タカヤが尋ねる。
「それは、私、いや、俺がかつてEOTI機関にいたからだ。二、三年前の話だが。」
アダムは、敢えて一人称を変えて言う。
「経緯はどうあれ、これだけ危険な機体、これからどうするんですか?」
ナナが聞く。
「一度伊豆基地へ行く。あそこには知り合いが多いから、実戦部隊に配備になるだろうが、少しの間落ち着かせてくれるだろう。」
アダムの一言により、一行は伊豆基地へ向かうことになった。
***




 
 

 
後書き
第1話、ご覧いただきありがとうございました。
皆さん!008R君が日の目を見ましたよ(錯乱)
まあ細かい説明はおいおいしていきます。

アダム中尉…
いやまぁ、相手がガーリオン(テンザン)だったってことで…ね?




 
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