博士の挑戦状
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第二百七十話
第二百七十話 父のカレー
翌朝も赤音のリクエスト通りカレーであった、この時母はまだ寝ぼけ眼の彼女に対してこう言った。
「楽だったわ」
「朝ご飯は?」
「ルーを温めるだけでよかったからね」
娘に笑顔で話した。
「卵焼きとか焼いてお味噌汁作るよりね」
「楽だったの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「今度からカレーそれにハヤシライスを食べる時は」
「夜だけじゃなくて」
「朝もするわ」
「それじゃあね、あとね」
赤音は母と話してから父を見て言った。
「お父さんカレーに生卵入れるわね」
「入れるよ」
父もそうだと答えた。
「そうしてかき混ぜて食べるんだ」
「そうしてるわね」
「普通に食べる時もあるけれど」
「そうして食べる時多いわね」
生卵を入れてというのだ。
「そうよね」
「大阪ではじまった食べ方なんだ」
父は娘に話した。
「自由軒というお店でね」
「あの難波にある」
「そう、あそこでだよ」
「はじまったのね」
「それでお父さんもやってみて」
実際にというのだ。
「気に入ったからなんだ」
「そうして食べてるのね」
「これがいいんだよ」
「そうなのね」
「赤音もやってみるかい?」
「別にいいわ」
父に少し考える顔になって返した。
「そのままでね」
「食べるのかい」
「ええ、気が向いたらね」
こう父に答えた。
「おソースかけるのもね」
「やってみるか」
「今はこれでいいわ」
ルーだけでというのだ。
「そうするわ」
「じゃあ食べなさい」
母が優しい声で言ってきた、そうして一家でカレーを食べて一日をはじめたが全員非常に元気よくはじめられたのだった。
第二百七十話 完
2025・5・12
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