| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

チャイニーズマーメイド

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                チャイニーズマーメイド 
 フランシスコ=ザビエルははるばる欧州から喜望峰を回ってアジアまで来た、日本という国にも行ってだった。
 今は明にいる。正確に言うとそこは島であり。
「海南島というのですね」
「はい、この島は」
 地元の官吏が彼に話した、ザビエルもたどたどしいながら中国語を身に着けていてそれでやり取りをしている。
「左様です、明の中でも南の方にあって」
「かなり暑いですね」
「ですから疫病も虫も多いので」
 だからだとだ、官吏はザビエルに話した。
「ご注意下さい」
「はい、そうした地域を巡ってきましたので」
「ザビエル殿は」
「知っています、注意していきます」
「そうしてくれると何よりです」
「こちらの医術も」
 それもとだ、ザビエルは話した。
「受けさせてもらいます」
「そうもしてくれますか」
「私にはやるべきことがあります」
 使命は忘れていなかった。
「神の教えを広めるという」
「昔景教がありましたが」
 官吏はこのことを話した。
「ああした教えですね」
「あれはネストリウス派で」
「ザビエル殿の教えとはまた違いますね」
「アリウス派、カトリックこそがです」
「耶蘇教ですか」
「そうです」
 これ以上はないまでに強い言葉でだ、ザビエルは答えた。その彫の深い顔にも揺らぎが全く見られない。
「唯一の」
「そうなのですね、布教は万歳老も駄目だと言われていないので」
「宜しいですか」
「はい、それよりも遠くから来られ日本にも行って戻って来られたのです」
 官吏はそれでとだ、ザビエルに話した。
「今はお休み下さい、暑いですからそれにも負けない様に」
「休むことも重要ですね」
「馳走と酒も用意していますし」
「ではお言葉に甘えまして」
 ザビエルは官吏の好意を受けることにした、そうして今は供にここまで来ているイエズス会の同志達と共に休むことにした、それで海の新鮮な幸び美酒を馳走になって暫く休んだ。
 その中でだ、彼が海辺を散策しているとやけに泳ぎが上手な裸の女が泳いでいた、女は魚の様に速く泳ぎしかも何人かいる様だった。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧