西遊記
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第十回 皇帝冥府から戻るのことその十三
「戦は違う、もう怨みは捨てて」
「成仏され」
「穏やかになるべきだ」
「そうなのですね」
「あの方もそうなられたなら」
それならというのです。
「何よりだ」
「そうなのですね」
「よかった」
心から笑顔になっての言葉でした。
「実に」
「いや、私も気になっていまして」
判官も言ってきました。
「ずっと」
「この度のことはですね」
「はい」
実にというのです、劉全にお話します。
「これからのことが」
「そうだったのですね」
「はい、ですが貴方の行いですが」
「妻の後を追い自害したことは」
「寿命ではなかったので生き返りますが」
「よくないですか」
「今後こうしたことはです」
劉全に強い声で言うのでした。
「ない様にです」
「しないといけないですね」
「二度と」
こう言うのでした。
「宜しいですね」
「そうします」
劉全も反省して答えました。
「早まりました」
「そうです、確かに奥方が亡くなられたことは悲しく」
「絶望しました」
「ですが人は寿命の限りです」
「生きるべきですか」
「敵の手にかかるよりはと思い」
そうしてというのです。
「自害することもありますが」
「それでも私の場合は」
「なりません、お子さん達もです」
「両親に後を頼みましたし財産もありますが」
「しかしです」
そうであってもというのです。
「やはりです」
「親は必要ですね」
「そうです、お子さん達のことを考えますと」
「妻の後を追ってなぞ」
「なりません」
決してというのです。
「ですから二度とです」
「その様にします」
「お願いします、では」
「はい、そのうえで」
「人界に戻って下さい」
「そうさせて頂きます」
劉全は奥さんと共に頷きそのうえで判官そして魏徴に誓いました、二人もそれではと応えてでした。
夫婦を送りました、そして相良もです。
「私もこれで」
「人界に戻りだな」
「はい、そして」
魏徴にそのうえでとお話します。
「また仕事に励みます」
「その様にな」
「今回は功徳を積めて何よりです」
「金を設けることはいいことだ」
魏徴は微笑んで言いました。
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