八条学園騒動記
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第八百六話 理解しやすくその四
「錯覚させられるんだよ」
「そうなんだ」
「けれどね」
その実はというのだ。
「中身がない」
「そんなものだね」
「それで哲学書なんて」
それはというと。
「例え中身がなくても」
「難しい文章を書けば」
「それでね」
「教祖にもなれるんだ」
「例えその書いた人が」
哲学者がというのだ。
「実は大した人じゃなくても」
「難しい文章を書けば教祖になれる」
「そうなるね」
「アリスと違うね」
マルティは眉を曇らせてこの言葉を出した。
「わかりやすいのに。面白くて」
「それでそんな難しい作品が面白いか」
「難しい言葉の羅列の」
「そんな筈ないね。ただ凄いかもって錯覚させるだけの」
「そんな作品だね」
「人は顔じゃないっていうね」
「大切なのは中身だよ」
マルティはローリーに答えた。
「人を外見で判断するなんて」
「駄目だよ」
「そりゃ生き方は人相に出るけれど」
「イケメンとか美人とかいうのだけで判断したら」
「失敗するよ」
「織田信勝さんなんてね」
織田信長の次男だった彼はというと。
「美形でもね」
「全く駄目だったね」
「折角織田信長さんの息子さんだったのに」
「へまばかりしてね」
「織田家を没落させたから」
「天下人だったお家を」
肖像画を見る限りは父親譲りの整った顔立ちである、戦国一の美女と言われたお市の方が有名だが織田家は美形の家系であったのだ。
「そうしたしね」
「人は顔じゃないよ」
「やっぱりね」
「それで文章もだね」
ベッカも言った。
「難しい文章だからいい」
「それは間違いだね」
「学術書とかだと専門的な知識は必要だよ」
読むにあたってだ。
「そうなるよ」
「どうしてもね」
「アリスの学術書があったら」
今話題にしているというのだ。
「アリスの知識も必要だよ」
「そうじゃないと読めないね」
「そうだね」
「けれどそうした本じゃなくて」
「ラノベとかだとね」
「何を書いているかわからないと」
「駄目だね」
それこそというのだ。
「もう」
「哲学書でも」
こちらの本でもというのだ。
「本当に」
「それだけでマイナスだね」
「それでその書いた人が」
どうかというと。
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