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スイートペイン

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第三章

「そっちの方が驚いたよ」
「そうなのね」
「無理するなよ」
 本気での言葉だった。
「本当にな」
「どうしてもって思ったから」
 遥は流星にそれてもと答えた。
「それでね」
「だからか」
「アルバイトもして」
「お金貯めてか」
「買ったの、これね」
 遥は流星に奇麗な箱を差し出した、それは何かというと。
「腕時計入ってるから」
「その時計がか」
「プレゼント。貴方が欲しいって言っていた」
「ああ、あの最新のだな」
「高級時計ね」
「俺腕時計好きでな」
「集めてるわね」
 流星のこのことを話した。
「それでね」
「買ってくれたのか」
「ええ、よかったら使ってね」
「悪いな、わざわざ買ってくれて」
 流星は遥に心から感謝しつつ言った。
「それじゃあな」
「受け取ってくれるわね」
「当たり前だろ、それで使ってもらうからな」
「宜しくね」
「お礼はするな」
「いいわよ、もうレストランに連れて来てもらってるし」
 遥は自分のことは遠慮した。
「だからね」
「いいか」
「ええ、それでね」
「じゃあ今度は別の店に連れて行くな」
 それならとだ、流星は遥に話した。
「そうするな」
「そうしてくれるの」
「ああ、またな。それならいいだろ」
「そう言ってくれるなら」
「俺は無理をしないけれどな」
 それでもというのだ。
「そうするな」
「それじゃあね」
「またな」 
 こう話してだった。
 流星は腕時計を受け取りそれを使った、そして後日遥を別の店に連れて行った。彼は隠しごとはしなかった。そして遥も以後は二度と彼に隠すことはなかった。


スイートペイン   完


                2025・3・12 
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