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キャプンテンフック

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第三章

 船に退く海賊達を見送った、海賊達は船に乗り込むと浅瀬のところから海の少し離れた方に出てそこで錨を下ろして停まった。
 その一部始終を見てだった、ウェンディは自分達のところに終わったよと明るく言って来たピーターパンに言った。
「確かにフック船長だったわ」
「わかってくれたね」
「手下の海賊さん達も」
「明日も戦うよ」
「確かに鰐に食べられて」
 フック、彼はというのだ。
「海賊の人達も退治されたのに」
「だってここはネバーランドだよ」
 ピーターパンは笑って答えた。
「妖精の世界にあるね」
「妖精の」
「お伽の国の中にあるんだよ」
 ネバーランドはというのだ。
「だったらね」
「妖精なのね」
「僕もティンカーベルも妖精でね」
 その彼女を見つつ話した。
「ここにいる皆もそうなんだよ」
「フック船長も」
「勿論だよ、お伽の国の妖精は死なないよ」 
 そうだというのだ。
「実質的にね」
「死んでもなの」
「そう、死んでもね」 
 仮にそうなろうともというのだ。
「何度も生き返るんだ」
「そうなるのね」
「死んだ次の日の朝にはね」
「だからフック船長も生きているのね」
「今もね、そしてこれからもね」
「ずっといるのね」
「ネバーランドにね、僕もいて」
 そうであってというのだ。
「ずっとね」
「戦うのね」
「明るく楽しくね、そして皆妖精になったら」
 その時はというのだ。
「ずっとだよ」
「ネバーランドで暮らせるのね」
「ネバーランドのある妖精の世界で」 
 今自分達がいる世界にというのだ。
「子供の心のまま人間の一生を終えたら」
「妖精になって」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「永遠に暮らせるんだ」
「私達もかしら」
 ウェンディはジョンとマイケルも見てピーターパンに尋ねた。
「一生子供の心のままだったら」
「子供の心を持ったままだとね」
「ネバーランドに来られるのね」
「来てくれるよね」
 ピーターパンはウェンディをじっと見て彼女に問い返した。
「ウェンディも皆も」
「ええ」
 笑顔でだ、ウェンディはすぐに答えた。
「そうさせてもらうわ」
「待っているよ、そしてね」
「ネバーランドでね」
「永遠に楽しい時間を過ごそう」
「そうするわね」
「皆妖精になれるんだ」
 ピーターパンは満面の笑顔で語った。
「子供の心を持っていれば」
「誰でも」
「そう、フック船長だって同じなんだ」
 彼にしてもというのだ。
「子供の心を持っているんだ」
「だから妖精になって」
「一緒にいるよ、ではね」
「ええ、私達もね」
「皆が大人になっても待っているよ」  
 ピーターパンはここでウェンディの手を取った、そしてくるくるとダンスを踊りはじめ。
 皆二人に倣って二人一組になって踊りはじめた、ジョンもマイケルもティンカーベルも子供達もそうして。
 船では海賊達も踊っていた、時計鰐も恋人とそうしていた。そしてウェンディはダンスの中で思った。妖精になってこの世界に入ろうと。今それは適って弟達と共にネバーランドで永遠の時を楽しんでいるという。


キャプテンクック   完


                  2025・5・13 
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