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キャプンテンフック

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第二章

 海賊船があった場所に向かった、もうない筈だが。
「あるね」
「そうだね」
 マイケルはジョンの言葉に頷いた。
「海賊船が」
「しっかりとね」
「また出て来たな」
「船長め今回も負けないぞ」
 子供達も言ってきた。
「今回もやっつけてやる」
「そうしてやるぞ」
「時計鰐もいるわ」
 ウェンディは船の傍の鰐も見付けた。
「ちゃんとね」
「ということはね」
「船長だって」
「僕は嘘は言わないよ」
 ピーターパンが三人に言ってきた。
「絶対にね」
「それじゃあ船長も」
「そう、今から船のところに行くから」 
 砂浜のところに接舷している船にというのだ。
「いざね」
「今から乗り込むのね」
「そうしよう」
 こう言ってだった。
 ピーターパンはウェンディ達彼の友人である仲間である彼等を率いて海賊船のところに行った、すると。
「来たなピーターパン」
「やあ船長暫くぶり」
 ピーターパンは甲板にいる海賊の男に応えた。
「元気そうだね」
「昨日会った通りにな」
「何よりだよ」
「また来るとはな」
「船長が悪いことをするからね」
「海賊は悪いことをするものだ」
 黒髭に片手がフックの赤い船長の服を着て男は豪語した。
「さもないと海賊ではない」
「ははは、変わらないね」
「わしが海賊であり限り変わるものか」
「じゃあ今日もやる?」
「今日こそは勝ってやる」
 海賊、他ならぬフックは剣を抜いて言った、そして後ろの部下達に命じた。
「わかっておるな」
「はい、やってやります」
「今日も」
「今日こそは勝ってやりましょう」
「ピーターパンとガキ共に」
 部下達は威勢よく応えてだった。
 やはり剣を抜いて戦いに入った、ピーターパンと子供達は彼等と勇敢に戦い。
 やがてだ、海賊達は徐々に押されてきた。それでフックは忌々し気に言った。
「くっ、こうなっては仕方ない」
「船長、仕方ないです」
「ここは下がりましょう」
「そうしましょう」
「うむ、あいつも来ておる」
 フックは海の方を見た、すると時計鰐が時計の音をカチコチと鳴らしながら岸辺に上がろうとしていた。それで尚更今忌々し気に言うのだった。
「今日はこれまでだ」
「それでは船に戻りましょう」
「今日も勝てませんでしたが」
「そうしましょう」
「ピーターパン今日はこれまでだ」
 ピーターパンにも顔を向けて言った。
「ではいいな」
「うん、じゃあまた明日ね」
「明日こそは勝つ」
「明日も勝つよ」 
 ピーターパンは笑って返した、そして子供達と共に手を振ってさえしてだった。 
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