金木犀の許嫁
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第七十一話 お見合いの結果その三
「仲よくさせてもらっています」
「宗教や宗派が違っても」
夜空はそれでもと応えた。
「喧嘩する理由ないしね」
「そうですよね」
「欧州と違ってね」
「宗教戦争ですね」
「今の日本じゃないわね」
「一向一揆はありましたけれど」
豊は戦国時代にあったこの一機の話をした。
「あんな宗教や宗派が違って無差別に殺し合うのは」
「ないわよね」
「あんなことしたら」
豊は有り得ないという顔で答えた。
「仏罰が当たります」
「そうなるわね」
「間違ってもです」
「あんなことしたら駄目よね」
「十字軍とか」
「十字軍って東欧にも行ったしね」
東方十字軍である、その実態は中東のよく語られている十字軍と同じく侵略でありキリスト教徒以外は殺戮の対象であった。
「南フランスのね」
「アルビジョワ十字軍ですね」
「あの十字軍なんてね」
それこそというのだ。
「どれだけ酷いか」
「カトリックの人でも殺してましたね」
「異端征伐って言って」
それがというのだ。
「無茶苦茶にね」
「神様があの世で見分けるって言って」
「異端かどうかね」
「殺しまくっていましたね」
「あんなことがなかったからね」
「日本では」
「いいわ」
こう豊に話した。
「むしろね」
「そうですよね」
「あんなことが起こったら」
「どれだけ酷いことになるか」
「十字軍はね」
それこそというのだ。
「最悪なお話よ」
「多くの人を殺し他にも酷いことを一杯した」
「そうしたものだから」
それ故にというのだ。
「あってはならないわね」
「僕もそう思います、大体宗派や宗教が違っても」
「同じよね」
「そうですし」
それでというのだ。
「うちもです」
「他の宗教や宗派の人達とも仲がいいのね」
「昔から。お父さんも一緒に飲んだり食べたりです」
「住職さんね」
「お付き合いでしています」
「そうしているのね」
「そうしています」
実際にというのだ。
「僕達も」
「それがいいです、日本にも他宗派や宗教に攻撃的な宗教団体もありますが」
幸雄はこう話した。
「あまりです」
「よくないですね」
豊は幸雄のその言葉に応えた。
「そうした団体は僕も両親も嫌いで」
「他宗派や他宗教の人達もですね」
「嫌っています」
そうだというのだ。
「むしろ」
「そうですね」
「関わらない様にしています」
「日本ではそうです」
「むしろ他宗派や他宗教を認める」
「その寛容さがでう」
まさにそれがというのだ。
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