西遊記
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第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその十五
「多く」
「そういえば」
二太子はこのお話を受けてあることを思い出しました、そのうえで菩薩に対して気付いたお顔になって言いました。
「今人界にはです」
「多くの魔王がいますね」
「そして彼等はです」
「そうです、誰もがです」
まさにとです、菩薩は答えました。
「そうした存在です」
「神仏の弟子だったり乗りものだったりしますね」
「縁者ばかりです」
「それぞれの命を受けて人界に下っている」
「その彼等がです」
さらにお話するのでした。
「一向に試練を与えます」
「それが彼等の役目ですね」
「それぞれ命じられていたりもします」
「一向に試練を与える為だと」
「彼等も全力であたりますので」
「手助けは必要ですか」
「神仏は手を抜きませんね」
「はい」
その通りとです、二太子は答えました。
「相手を侮らず勤めはです」
「ですから」
そうであるからだというのです。
「彼等もそうしますので」
「我等も手助けが必要ですね」
「如何に彼等が強く」
そしてというのです。
「高僧であってもです」
「特に高僧、取経者は人であるので」
「弟子や乗りものとは言え神仏ですので」
「強いですね」
「その中に人がいますと」
「どうしても後れを取ります」
「ですから」
そうした事情があるからだというのです。
「我等もです」
「手助けをしますね」
「特に私は」
菩薩は自分のことを言いました。
「そうなります」
「それも運命ですね」
「そうです、きっとです」
さらにです、菩薩は言いました。
「彼等と共にいますと」
「そうするとですね」
「私にとってもいいことになります」
「修行になりますか」
「そしてよい者達の励みもです」
「見ることになるのですね」
「ですから」
そうであるからだというのです。
「きっとです」
「菩薩様にとっても大きなことになりますか」
「必ず。運命は今はじまります」
二太子に微笑んで言うのでした。
「長く山あり谷ありの」
「その運命がですね」
「はじまります、そして私達も」
「その中にあるのですね」
「直接入っていませんが」
それでもというのだ。
「運命を環とするなわ」
「その環の中にいますね」
「そうです」
まさにというのです。
「そうなります」
「そうなのですね」
「ですから貴方も戦ったのです」
「斉天大聖とですね」
「ご兄弟そして父君と共に」
「随分強かったです」
「そうでしたね」
二太子に尋ねました。
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