西遊記
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第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその十三
「次の場所に向かいます」
「そうされますか」
「はい、また会いましょう」
「いや、久し振りに土地神以外の誰かと会えてお話が出来てよかったです」
「土地神殿は元気ですか」
「いつもわしの話相手になってくれて飯の世話もしてくれます」
「よくしてもらっているのですね」
「はい、気のいい奴で」
その土地神の話もします。
「いてくれて何よりです」
「そうですか」
「はい、ですが」
それでもというのです。
「あ奴以外とはです」
「この五百年の間はですね」
「会っていませんで、あと岩の中にいますと」
「何かありますか」
「不思議と痛みとか痒みとかも感じません」
「それは貴方が元々石から生まれましたので」
「石には馴染みますか」
「それで岩の中にいても動けませんが」
「痛くも痒くもなくて」
「動けなくても身体がどうにもならないですね」
「そうです」
まさにというのです。
「これが」
「そうなるのです」
「そうですか、便利な身体ですね」
「貴方ならではです」
石から生まれただけあってというのです。
「そうなのです」
「そういうことですね」
「はい、ですが」
こうもです、菩薩は言いました。
「それは貴方だけのことです」
「普通石から生まれませんからね」
「やはり貴方は生まれからして何かあるのです」
「確かにそうですね」
暫くの間黙って悟空と菩薩の話を聞いているだけだった二太子もあらためて頷いてそのうえで言いました。
「斉天大聖は特別な者です」
「神仏の中でも」
「ただ強く賑やかな気質だけではありません」
「その生まれからです」
「やはり違いますね」
「そして」
そのうえでというのです。
「大いなる運命にも向かう」
「そうしたこともですね」
「定まっています、では」
「これよりですね」
「私達の務めに向かいましょう」
「じゃあまた会いましょう」
悟空は次の場所に向かう菩薩と二太子に笑顔で言いました、そしてお互い明るく再会を願って別れました。
菩薩はその悟空と別れ二太子と共に五行山を後にし空を飛び次の目的地に向かいます、その目的地はといいますと。
「白馬殿にお話した場所です」
「長安ですか」
「あの街に行きます」
こうお話するのでした。
「次は」
「人の街の中でも最も賑やかな」
「そうしたです」
まさにというのです。
「素晴らしい街で」
「あの街に白馬殿が向かいましたが」
「取経者がいる」
「そうしたですね」
「はい」
まさにというのです。
「あの街です」
「あの街に行く様に言われましたが」
「取経者の馬になる様に」
「ですから」
それでというのです。
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