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世界の礎

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第二十三話 欧州進出その七

「自分の力だけで生きていくと豪語してもな」
「出来ないですね」
「民主主義と独裁政治の区別すらつかず」
 そうなっていてというのだ。
「碌でもない国を支持する」
「そして碌でもない輩を」
「そうなり人生すらな」
「間違えるのですね」
「そうした輩を見てきたからな」
「義青様は神霊を信じられ」
「無神論こそ否定する、無論無神論でもだ」
 その考えでもというのだ。
「真っ当に生きている者もいるだろうが」
「そうした輩を見ますと」
「心に残りな」
「無神論はそうなると思われるのですね」
「他の無神論者も見てきたが」
 その輩以外のというのだ。
「酒におぼれ家族に暴力を振るう様な輩や働きもせず口だけ尊大な」
「そうした輩ですか」
「そんな輩ばかりだ」
「ご覧になられましたか」
「無論信仰も狂信に至るとな」
 そうなると、というのだ。
「間違えるが無神論は倫理を持たない」
「信仰に基づくそれを」
「そして価値判断の基準もな」
 それもというのだ。
「手前勝手なものになりな」
「間違えますか」
「最悪テロを犯してもだ」
 それでもというのだ。
「多くの者を殺してもな」
「いいとですか」
「権力に反対しているならな」 
 そうであるならというのだ。
「いいと言う」
「あの」
 その話を聞いてだ、フェリペは唖然として言った。
「権力に反対しましても」
「テロはテロだな」
「殺人は殺人です」
「関係ない者を巻き込んだな」
「それがいいのですか」
「権力に反対する者が行えばな」
 そうであればというのだ。
「この場合は政権だ」
「帝国なら我々ですね」
「議会に政府に裁判所だ」
「そういうものに反対するならですか」
「テロ、挙句は内部の粛清や自分達の障害になる者達の排除でだ」
「人を殺してもですか」
「いいという考えに至る」
「愚の極みです」   
 そこまで聞いてだ、フェリペは唖然として述べた。顔も驚愕したものになっていてそのうえで義青にさらに話した。
「殺された者の痛みや悲しみは」
「考えない」
 義青は言い切った。
「一切な」
「そうなのですね」
「残された者の悲しみ等もな」
「考えないのですね」
「だがそれを国が行うとな」
「弾圧や戦で」
「激しく批判する」
 そうするというのだ。
「事実無根の話までな」
「二重基準ですね」
 フェリペはそう解釈した。
「それは」
「まさにな」
「それを行いですか」
「殺された者や残された者のことなぞな」
「全く考えず」
「考えようともせずその考えをだ」
 義青は忌々し気に話した。 
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