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謎の薬

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第二章

「本当にです」
「冷え性治っただろ」
「はい」
 そうなったというのだ。
「有り難いことに」
「そうだろ、わしの薬はな」
「効きますね」
「そしてな」
 そうであってというのだ。
「他の薬もな」
「効きますね」
「ああ、だからな」
「これからもですね」
「何かあるとな」 
 その時はというのだ。
「来てくれよ」
「そうさせてもらいます、ただ」
 美波は店の中にあるある薬を見て言った。
「何か名前がややこしい」
「あの薬か」
「そんなお薬ありますが」
「ああ、あれな」
 孫もその薬を見て言った。
「あの薬はな」
「何ですか?謎のお薬ですね」
「トップシークレットだよ」
 これが孫の返事だった。
「極秘事項だよ」
「言えないですか」
「値段も高くてな」
 そうであってというのだ。
「かなりな」
「高いんですね」
「そうだよ」
「効用もですね」
「言えないよ」
 そうだというのだ。
「そういうことでな、ただな」
「ただ?」
「若返りとか不老不死とかな」
 孫は美波に笑って話した。
「そうした薬じゃないよ」
「そういうのはないですね」
「少なくともわしは造れないよ」 
 そうした薬はというのだ。
「造れるとしたらここにいないさ」
「仙人になっていますか」
「そうだよ」 
 美波に笑って話した。
「だからないよ」
「そうですか」
「まあ女好きの爺さんが使うとだけ言っておくか」
「ああ、そういうことですか」
「若返りは出来なくてもな」
「そうしたことですね」
「そうだよ、人は歳を取っても」
 それでもというのだ。
「そういうことが好きってことだ」
「そうですか」
「これだけ言うな、いや全部言ったか」
「詳しいことは聞いていないですから」
「いいか」
「はい、そういうことで」
 美波は孫に笑顔で応えた、そして店にサービスで出ている高麗人参の茶に蜂蜜をたっぷりと入れて風邪薬を買ってだった。
 そのうえで店を後にした、高麗人参と蜂蜜のお陰で次の日も元気だった。


謎の薬   完


                    2025・6・25 
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