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謎の薬

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第一章

               謎の薬
 とある漢方薬の店に入ってだった。
 OLの月宮美波黒いストレートのロングヘアでやや眠そうな目と小さな唇にホームベース型の顔を持つ一五五位の背のすらりとしたスタイルの彼女は言った。
「何かしらこの薬」
「ああ、その薬かい」
 店長で漢方医の孫以蔵丸い顔で髪の毛がすっかりなくなった中背の太った初老の男がカウンターの席から応えた。
「胃腸の薬だよ」
「そうですか」
「これを飲めば」 
 そうすればというのだ。
「便秘なんて一発だよ」
「治りますか」
「もうすぐにね」 
 飲めばというのだ。
「治るよ」
「それはいいですね」
 美波もその話を聞いて言った。
「今度便秘になった時にです」
「飲むかい」
「買わせてもらいます、そして今は」
 美波は孫にさらに言った。
「冷え性のお薬を」
「これだね」
 孫はすぐに得体の知れない薬を出してきた。
「飲めば解決するよ」
「冷え性もですか」
「身体が暖まってね」
 そうしてというのだ。
「ぽかぽかだよ」
「ぽかぽかですか」
「そう、ぽかぽかだよ」
 そうなるというのだ。
「ずっとね」
「そんなに効きますか」
「うちの薬はどれもね」
「店長さんが調合されたんですか」
「そうだよ」
 孫は笑ってその通りだと答えた。
「わし漢方医でもあるからね」
「だからですか」
「わしが全部調合してだよ」
 そうしてというのだ。
「作ったんだよ」
「そうですか」
「そしてわしは腕がいいから」
 笑って自分から言った。
「どのお薬もだよ」
「効くんですね」
「抜群にな」
「そうですか、それじゃあ」
 美波はそれならと応えた。
「今は」
「冷え性の薬だね」
「いただきます」 
 その薬を買って帰った、そして後日仕事帰りに店に来て孫に言った。 
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