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西遊記

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第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその四

「その中で九人の取経者の髑髏は水に浮かぶので何かあると思い」
「それでなのですか」
「ふとこの髑髏達を拙者の供養としてまして」
「首飾りにされていますか」
「左様です、どうも魂は一つで」
「九つの髑髏の」
「縁も感じまして」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「首飾りにしていますか」
「左様です、食べずとも死なずの身体で年老いることもありません」
「神故に」
「ですから間違っても人は襲っていません」
「神仏がそんなことをするものではないですし」
「静かに時を待っています」
 この川でというのだ。
「今も」
「左様ですね、それでなのですが」
 菩薩は大将の話をここまで聞いて言いました。
「貴方の運命は仏門のものです」
「神ではなく」
「そちらのことです」
「そうなのですな」
「はい、ですから」
 それ故にというのです。
「名をあらためるべきかと」
「今は捲簾大将となっていても」
「そう思いますが」
「確かに」 
 大将も言われて頷きました。
「そうあるべきですね」
「仏門の名に」
「今この流沙河におられるので」
 大将のこのことから言います。
「沙悟浄でどうでしょうか」
「その沙ですね」
「流沙河の。そして」
 さらに言うのでした。
「悟も運命です、また貴方は生真面目なので」
「浄ですか」
「それでどうでしょうか、運命に向かう砂割り修行中の名として」
「それでは」
 大将あらため沙悟浄はそれならと応えました。
「お言葉のままに」
「それではですね」
「拙者これより沙悟浄と名乗ります」
「そして運命に向かわれますね」
「そうさせて頂きます」
「それでは。では時が来れば」
「運命に向かいます」
 宝杖を手にです。
 悟浄は応えました、そして菩薩は二太子と共に彼の下からです。
「では次は」
「天蓬元帥のところです」
「あの御仁のところに行って」
「そしてです」
 そのうえでというのです。
「授けます」
「宝をそしてです」
「名もですね」
「授けます」
「そうされますね」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「今から参りましょう」
「それでは」
 二太子は菩薩の言葉に頷きました、そしてです。 
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