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海水浴といっても

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第一章

                海水浴といっても
 この時伊藤博文は現代日本に魂だけになって戻り熱海の海岸を歩いていた、所謂幽霊なので普通の者には見えない。
「戻って来る度に変わるな」
「日本も世界もですね」
 隣にいる松方正義が応えた。
「そうですね」
「何もかもがな」
「私達の時代と全く違います」
「その都度驚く、人の背もな」 
 伊藤は自分の右手を平らにし掌を下にして下から上に動かして言った。
「伸びているしな」
「それもどんどん」
「わしなんか今の日本だとな」
 それこそというのだ。
「おなごでも小さい」
「そうなりますね」
「大きくなったものだ」
「日本人も」
「特にあの野球選手のな」 
 伊藤はさらに言った。
「大谷君か」
「大谷翔平君ですね」
「あの者は大きいな」
「大きいだけじゃないですからね、大谷君」
「世界が驚く活躍だ」
「全く以てとんでもないです」
「野茂君やイチロー君も驚いたが」
 しかしというのだ。
「大谷君はさらにだ」
「驚きますね」
「全くだ、それでこれから海水浴場に行くが」
「ビーチですね」
「今はそう言うな、楽しみだ」
 伊藤はにんまりと笑って言った。
「全く以てな」
「あの、下心丸出しですよ」
 松方は自分の隣を歩く伊藤が如何にも好色そうな笑みを浮かべたのを見て言った。
「全く。極楽に行っても変わりませんね」
「わしはおなごが大好きだからな」
「男の人もたらしてですね」
「はっはっは、そっちの色はないがな」
「そんなことだから今も言われてるんですよ」
「好き放題な」
 松方に笑いながら言った、そしてだった。 
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