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ハッピークローバー

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第百七十五話 寒くなってきてその十三

「その甘やかし方もよ」
「悪いもので」
「甘やかすにしてもいいものとね」
「悪いものがあって」
「それで酷く甘やかされて」 
 そうしてというのだ。
「そうなったのよ」
「甘やかし方ね」
「子供は甘やかすなっていうけれどね」
「その甘やかし方が問題なのね」
「それこそ偉い偉いって持ち上げて」 
「欲しいものは何でもあげて」
「我儘を聞いてね」
 一華にさらに話した。
「大事なことを教えなかったらよ」
「その人みたいになるのね」
「何しろこの人だけ特別扱いでね」
「長男さんだからって」
「悪いことをしてもね」
 そうしてもというのだ。
「怒られなかったそうよ」
「そうだったのね」
「弟さんが作ったプラモデルをね」
 それをというのだ。
「親戚の子にあげて壊させても」
「自分が作ったものじゃないのに」
「それも何度もね」
「弟さん怒るわよね」
「怒らない筈がないでしょ」 
 それこそというのだ。
「折角作ったのにね」
「壊されたから」
「自分が作ったものをあげないでよ」
「それは怒るわね」
「けれど弟さんが怒っても」 
 そうなろうともというのだ。
「弟さんお母さんに我慢しろって言われたの」
「いや、お兄さん怒るでしょ」
 一華はそう聞いて口をへの字にさせて答えた、そうしたことは間違っていて有り得ないと思ってである。
「普通に」
「そうする筈がね」
「その人を怒らないで」
「弟さんに言ったのよ」
「それは酷いわね」
「そうしたことは多分他に色々あったし」
 そうであってというのだ。
「この人が大人になってもべたべた寄り添って」
「甘やかしてたの」
「それでこの人が身体を壊していた自分の叔父さんに怒られて」
 そうしてというのだ。
「殴ってやろうかって言ってもね」
「怒らなかったの」
「言うけれど若しあんたがそんなことしたら」
 母は一華に厳しい顔になって言った。
「お母さんもお父さんも本気で怒るわよ」
「自分の親戚の人に殴ってやろうかなんて言ったら」
「しかも身体壊した目上の人にね」
「大体人にそういうこと自体駄目でしょ」 
 これが一華の返事だった。
「絶対に」
「その考えでいてね、ずっと」
「暴力は駄目だから」
 絶対にというのだ。
「そんなことはね」
「そう言うのが正しいわ」
「けれどその人はなのね」
「そんなこと言ったのよ」
「このお話も有名よね」
「けれど怒らなくて」
 そうであってというのだ。 
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