ハッピークローバー
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第百七十五話 寒くなってきてその十二
「何かしらね」
「そうよね」
「泥棒でも人を助けるわよ」
そうしたことがあるというのだ、母は一華にそうしたことも話した。世の中にはそうした話もあるものだ。
「けれどね」
「この人は自分だけで」
「それでね」
そうであってというのだ。
「誰かを助けることもね」
「一度もなかったのね」
「そしてね」
そうであってというのだ。
「迷惑ばかりかけて」
「その癖ふんぞり返って図々しくて」
「そんな人だからいいところもね」
「なかったのね」
「こんな人はそうはいないから」
全くというのだ。
「助けた人に感謝もしないし」
「逆に文句ばかり言う位で」
「こんな人はそうはいないから」
「まず会うことはないわね」
「天理教でもこんな人ははじめてって」
その様にというのだ。
「言う人がいたそうよ」
「宗教の世界って色々な人と会うわね」
「そうよ、色々な人が来る世界だから」
それでというのだ。
「天理教に限らず宗教の世界は色々な人を知ることが出来るけれど」
「この人みたいな人ははじめてって言われる位の」
「悪い意味でね」
それでというのだ。
「そんな人だから」
「滅多に会えないわね」
「会っていいことはないけれど」
それでもというのだ。
「本当に稀だから」
「こんな人は」
「親戚には誰か一人位はどうかという人がいると言われていても」
「こんな人は滅多にで」
「この人はお母さんもとんでもない人で他にもね」
「親戚によくない人がいたのね」
「結構そうした血筋らしくて」
それでというのだ。
「この人のお祖父さんがそもそも酒乱で喧嘩沙汰もしょっちゅうで」
「その人も問題だったの」
「従兄にこのお祖父さんそっくりの人もいて」
「お母さんがそうで」
「この人もね」
「悪い環境だったのね」
「それで碌でもない人になったのよ」
環境が人を育てる、それは悪い意味でも言えるということだ。
「そうなのよ」
「そういうことね」
「それでね」
母はさらに話した。
「この人はその身内の悪い部分が集まった」
「そんな人だったの」
「お母さんの血筋もこの人の姉妹が皆ね」
「よくない人だったの」
「この人も遊んでばかりでヒステリックで執念深くて不平不満ばかりで」
そうであってというのだ。
「息子さんの中でその人ばかり甘やかしたけれど」
「姉妹さん皆なの」
「我ばかり強くてヒス持ちのね」
「そんなお家で」
「両方の家の中にいて」
「悪いものばかり受け継いだのね」
「甘やかされて育ってね」
そうなりというのだ。
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