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世界の礎

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第二十三話 欧州進出その四

「それはです」
「当然だな」
「まして私はです」
「教皇だな」
「その私が神を信じないのなら」
 それならというのだ。
「もうです」
「貴殿の存在価値がないな」
「そうかと」
「その通りだ、バチカンはな」
「神に仕える場所です」
「そのバチカンがだ」
 それがというのだ。
「神を信じないのではな」
「誰が神を信じるのでしょうか」
「その通りだ、しかし私が起きた世界ではな」
「そちらのバチカンではですか」
「そうした教皇もいた」
「想像出来ません」
 到底という顔でだ、ユリウスは答えた。
「そんなことは」
「そうだな、本来はな」 
 義青も言った。
「有り得ないことだ」
「左様ですね」
「だが私が起きた世界ではそうした教皇も存在し」
 そしてというのだ。
「腐敗を極めていた」
「そうだったのですか」
「おぞましいまでにな」
「バチカンも確かにです」
 ユリウスは怪訝な顔になって話した。
「問題はありますが」
「それを改善せんとしているな」
「常に」
「他宗教や宗派も攻撃しないな」
「全く」
 そうだというのだ。
「それは」
「そうだな、しかし」
 義青は言った。
「私が起きた世界のバチカンはそうもしていた」
「到底です」
 まさにとだ、ユリウスは言った。
「想像も出来ません」
「そう言える貴殿は立派だ」
「常識を言っているつもりですが」
「その常識がだ」 
 まさにそれがというのだ。
「通じなくなっていたのだ」
「義青様が起きられた世界のバチカンは」
「そうだった、神を信じずだ」
 そうであってというのだ。
「我欲のみをだ」
「貪る」
「そうした有様だった、だがこの世界のバチカンは違うからな」
 それ故にというのだ。
「私は有り難く思っている」
「そうなのですね」
「貴殿もだ」
 ユリウス自身もというのだ。
「確かだしな」
「あの、私も欲はありますが」
 ユリウスは自ら言った。
「それは」
「しかし神を信じていてだ」
 そしてというのだ。
「己を律し他者も認めている」
「だからいいのですか」
「そうだ、バチカンを認める」
 そうするというのだ。 
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