家族が帰ると絶対に
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第二章
「程度が低い人達にはね」
「ふわりのよさがわからなかったんだな」
「おもちゃとしか思ってなくて」
そうであってというのだ。
「ふわりの性格まではよ」
「見ていなかったんだな」
「そうよ、そして〇点の人達の末路はね」
「ああなるんだな」
「お酒で死んで腐って見付かって」
そうしてというのだ。
「無縁仏よ」
「そうなったんだな」
「あの人達にはふわりは相応しくなかったのよ」
「ああして死ぬのが相応しかったんだな」
「そうよ、けれど私達はね」
百合子は自分達のことも話した。
「ああした人達みたいにならない様にして」
「ふわりを見てな」
「そのいいところに惚れ惚れしながら」
そうしつつというのだ。
「一緒にいることよ」
「家族としてな」
「ケージから出るのを見て思うわ」
ふわりがというのだ。
「家族が帰ってきてね」
「いつも駆けて出るよな」
「本当にぱっと起き上がって」
寝ていてもというのだ。
「そうするのを見てるとね」
「ケージの扉に鍵をかけてな」
「出られない様にすることもね」
「あの連中がやった様にな」
「それも駄目よ」
「そんなことしたら散歩に連れて行けないしな」
洋介は忌々し気に言った。
「あいつ等赤ちゃんが出来たら散歩も連れて行かなかったな」
「赤ちゃんが生まれるのが近付くとね」
「それでケージの中に入れてな」
「無視したな」
「ご飯とかはあげてても」
それでもというのだ。
「目もくれなくなったわ」
「飽きたおもちゃだったんだな」
「ふわりはね」
「ふざけてるな、おもちゃが出迎えてくれるか」
家族が帰ればというのだ。
「それも明るくな」
「愛情を持ってね」
「愛情がわからない連中だったんだな」
ふわりの前の飼い主達はというのだ。
「わかろうともしなかったか」
「おもちゃで遊ぶだけでな」
「本当にそんな連中になったら終わりよ」
「全くだな」
こう話した、そしてだった。
洋介はふわりと遊び続けた、一時間程そうしてからビールを飲んで寝た、そして仕事に行く時は彼女の見送りを受けて出て帰ったら迎えられたのだった。
家族が帰ると絶対に 完
2025・6・22
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