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雄猫との再会

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第二章

「こうしたお話があったけれど」
「それって」
 友人は短い白髪でブラウンの目の老婆の彼女に言った。
「似てるわね」
「私のお家のお話とね」
「ええ、そう思ったわ」
「私もそう思うわ」
 ジャネットもこう答えた。
「聞いてね」
「そうよね」
「この子とね」
「ニャア」
 ここで上が黒と焦げ茶色で下が白い年老いた老猫が家のリビングでティータイムを楽しんでいる二人のところに来て一声鳴いてきた。ジャネットはその彼を見つつ話した。
「この子もうちに戻ってきたから」
「ええ、けれどね」
 友人は紅茶を飲みつつ応えた。
「この子、ブーはね」
「六日じゃなくてね」
「十三年ね」
「ふといなくなって必死に探したけれど」
 それでもというのだ。
「いなくて」
「十三年経って獣医さんが人から預けられて」
「それでGPSを確認したら」
 そうすればというのだ。
「ブーでね」
「うちに連絡が来てね」
「GPSにこちらの住所もあったから」
「それで戻ってきたわね」
「多分ね」 
 ジャネットはティーセットのエクレアを食べつつ応えた。
「ブーは預けた人に飼われていたのよ」
「その人がGPSに気付いて」
「そして預けたのよ」
「十三年いなかったけれど」
「その十三年の間ね」
「ずっと飼ってくれたのよ、そして預けてくれて」
 獣医にというのだ。
「戻ってきたのよ」
「よかったわね」
「本当にね、そうして今はね」
 友人はジャネットの言葉に頷きつつだった。 
 ブーを見た、すると。
「ニャア」
「ウニャア」
「ニャオン」
 黒と白のスコティッシュフォールド、黒と焦げ茶の虎毛の二匹の雄猫達とだった。
 ブーは遊んでいた、ジャネットにその彼等を見つつ笑顔で話した。
「フー、ウーともね」
「ブーがいなくなってからうちに来た子達ともね」
「仲よしね」
「そうなってよかったわ」
「そうね、それじゃあ」
「これからもね」
「一緒よ」
 こう話してそうしてだった。
 二人で三匹を見た、戻ってきたブーは歳を取っているが元気だった。そして家族と楽しく遊ぶのだった。


雄猫との再会   完


               2025・6・22 
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