俊足婆ちゃん
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第二章
「大学でも就職しても」
「選手でね」
「そうでね」
「コーチもやってきて」
「トレーニングも欠かさなかったから」
だからだというのだ。
「定年までそうで」
「食事やコンディションにも気を使ってきて」
「そうしてきて」
「定年してからもね」
「毎日身体を動かして」
「やっぱり食事にも気を付けていて」
「そうしてきたから」
こう話した。
「今も動けるわ」
「そうだね」
「若い頃からずっと身体を動かして」
「食事にも気を付けていると」
「動けるわ」
「八十を過ぎてもね」
「そうなのよ」
「その通りだね、しかし僕もね」
夫は少し苦笑いになって話した。
「最近は杖のお世話になっているよ」
「貴方も選手でコーチでね」
「同じ様にしていたけれど」
「いえ、あなたもね」
満里奈は幸太郎に笑って話した。
「用心で持っているだけでしょ」
「うん、そうだよ」
「だから実はね」
「君みたいに歩けて」
「実際歩いてるでしょ」
「そうしているよ」
「あまり目立たないけれど」
それでもというのだ。
「外見のせいか」
「背筋は普通でね」
年相応でというのだ。
「歩く速さもだし」
「そうよね」
「セーブしてね」
歩く速さをというのだ。
「そうしているからね」
「言われないわね」
「そうしているからね、けれどね」
「若い頃から身体を動かして食事もしっかりしていたら」
「それでね」
「歳を取ってからも動けるわ」
「そうだね、それで今晩は」
夫は食事の話もした。
「鶏鍋だけれど」
「食べましょう」
「しっかりとね」
「流石に食べる量は減ったけれど」
「お野菜もお肉も食べよう」
歳は取ったがそれでもと話してだった。
実際にしっかり食べた、そして次の日もしっかりと歩くのだった。
俊足婆ちゃん 完
2025・6・21
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