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美人の上司に

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第二章

「普通こうした時はな」
「主任が工藤をってなるよな」
「居酒屋でのやり取り聞いたらな」
 それならというのだ。
「そうなるよな」
「だって主任結婚してるからな」
 同僚はこう話した。
「もうな」
「そうなのかよ」
「ああ、知らなかったのか」
「だから赤川と苗字違うのか」
「そうだよ、これがな」
「そうだったんだな」
「あと赤川実は妹じゃないからな」
 同僚はこのことも話した。
「従妹だよ」
「お姉ちゃんって言ってもか」
「主任上にお兄さんとお姉さんがいるんだよ」
「末っ娘なのか」
「そうなんだよ」
「こうした時は工藤をってなってお姉ちゃんだがな」
「そうとばかり限らないんだよ」
 同僚はこうも言った。
「世の中はな」
「色々あるんだな」
「そうだよ、お約束ばかりとは限らない」
「色々だな」
「人間関係も話の流れもな」
 こう話した、そしてだった。
 彼等もそれぞれの人生を歩んだ、彼等にしても人間関係や人生はそれぞれだった。工藤もまたそうであり。
 神野にだ、赤川と結婚してから言った。
「これからも頑張ります」
「そうしてね。私は妊娠してね」
「暫く休職ですね」
「そうなるけれど」
 それでもというのだ。
「貴方達は二人でね」
「頑張ります」
「私は三つ子らしいから大変よ」
「お一人じゃないですか」
「子供は一人とは限らないわ」
「そこはそれぞれですね」
「そうよ、そのことはこれからも覚えておいてね」
「そうします」
 確かな声で頷いてだった。
 工藤は人生を頑張っていった、神野に言われたことを心に持ったうえで。


美人の上司に   完


                  2025・6・18 
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