西遊記
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第七回 悟空如来様に封じられるのことその二
「痛いだけだ」
「そうですか」
「またすぐにくっつく、ではこれより斬妖台に贈り降妖柱にくくりつけるのだ」
「神仙、仏の力を弱める場所で柱に」
火星が問いました。
「そうするのですな」
「さもないとこの者が暴れて仕方ないからな」
だからだとです、帝は火星に答えました。
「だからな」
「それでは」
「真君が連れていくのだ」
捕らえた彼がとです、こうお話してでした。
悟空は処刑されることになりました、そして真君が連行し彼の兵達によって柱に縛り付けられてでした。
実際に首を刎ねんと刀が振るわれましたが。
「何と、弾き返したぞ」
「刀を」
「剣もだ」
「斧も通じぬ」
「神界の武器だというのに」
「見事に弾き返す」
「これは老君の金丹の力だな」
真君はそれでとわかりました。
「そうだな」
「ああ、飲むと不老不死になったな」
「貴殿は既にそうであったが」
悟空に言います。
「そこでさらにだ」
「そうした意味でも不老不死になったか」
「この意味では不死身と言う」
そうなるというのです。
「そうなったのだ」
「それは有り難い、老君に感謝せねばな」
「いや、無理強いして食べたからな」
真君もこのことを知っています。
「感謝では済まぬ」
「今の裁きはその咎もあるしな」
「左様、後で老君に謝ることだ」
「そうせねばならぬか」
「うむ、それに貴殿仙桃も食べたな」
「わかっておるか」
「貴殿の気質を見ればわかる」
このことはというのです。
「こっそりとつまみ食いしておったな」
「そうしておった」
悟空は嘘を吐かないので正直に答えました。
「実はな」
「あの桃は食べると術の力を高め」
「そうしてか」
「食べれば食べる定頭が衰えなくなる」
「頭の回転はずっと変わらぬか」
「いや、神はそのまま変わらない」
頭の動きはというのです。
「ずっとな、しかしお主は術が衰えることがなくなった」
「大層つまみ食いしたからか」
「そうなった、それで術の強さもあってな」
「仙術のだな」
「術も通じなくなった」
そうなったというのです。
「そうもなった」
「ではわしは無敵になったのか」
「そうは倒せぬ様になった」
「それで今もだな」
「刀も剣も斧も通じぬ」
「真君、槍も通じません」
兵の一人が実際に突いても弾き返されています、見れば弓を放っても他の武器でどうしても全くです。
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