子供が出来ること
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「若い頃からと考えたら」
「五十年そうだと」
「何千人だよ」
「私達なんか一人でもなのに」
「漫画とはいえ物凄い人だね」
「ええ、ある意味羨ましいわ」
ご飯を食べつつ言った。
「私としては」
「子供がそれだけいて」
「私達なんかまだでしょ」
「だから思うんだね」
「確かに女癖がおかしいレベルで悪いけれど」
それでもというのだ。
「何千人もいるならね」
「一応設定では百人だよ」
「百人でも物凄いから」
一人もいない自分達から見ればというのだ。
「羨ましいわ」
「そうなんだね、しかし」
義貞は玉葱の味噌汁を飲みつつ言った。
「そのキャラのこと久し振りに聞いたら」
「どうしたの?」
「負けていられないってね」
その様にというのだ。
「思えてきたよ」
「そうなの」
「だからね」
それでというのだ。
「今夜頑張ろうか」
「そうするの」
「うん、何千人それもそのキャラ世界中に愛人さんいてだから」
「不倫は絶対に駄目ね」
「うん、けれどね」
それでもというのだ。
「僕も負けていられないって思ったから」
「子供が欲しいって」
「一人でもね、だから今夜は頑張るよ。もっと言えばね」
義貞はさらに言った。
「これからね」
「頑張ってくれるのね」
「うん、そうするよ」
「私もね」
子供は夫婦あってこそだ、それがわかっているからだ。
夫婦で頑張った、その結果だった。
「妊娠したの」
「やっとね」
奈保子は仕事に入る前に一緒に出勤している友人に話した。
「できたわ」
「よかったわね」
「ええ、これからが大変でも」
「子育てはね」
「やっと出来たわ」
「そのことはよかったわね」
「本当にね。ただね」
こうもだ、奈保子は友人に話した。
「あの子供何千人もいるっていうキャラは」
「設定から考えるとね」
「とんでもないけれど」
「世界中で女遊びしてだし」
「けれどそのお話聞いて夫婦で頑張ったから」
その結果子供が出来たからだというのだ。
「よかったわ」
「その分あんた達には貢献したわね」
「そうなるわ、ふざけたキャラでも」
それでもというのだ。
「嫌いじゃないわ」
「まあネタではあるわね」
友人はこう返した。
「私読んでいて何このキャラってぶっ飛んだけれど」
「女好き過ぎて」
「けれどね」
それでもというのだ。
「私もそれならって思って二人目もって旦那と頑張ってるし」
「いいキャラね」
「ええ、こうしたキャラを見て子供が出来て」
「子沢山になるなら」
「いいわね」
「そうよね」
こうした話をしつつ出勤した、そうして奈保子はこの日も仕事に励んだ。だが暫くしてお腹が大きくなり産休を取った。そのうえで元気な男の子を生んだのだった。
子供が出来ること 完
2025・6・16
ページ上へ戻る