世界の礎
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第二十二話 管理その九
「そのことはだ」
「絶対ですね」
「その通りだ、しかし」
「しかし?」
「欧州はあまりにも分裂しているな」
「諸侯で、ですね」
「大小無数のだ」
そう言っていいまでのというのだ。
「領主に分かれているな」
「はい」
コムはその通りだと答えた、彼にしても欧州の事情は知っている。伊達に宰相の座にあるわけではないのだ。
「数万もの」
「街や村単位でな」
「貴族が多いですが」
「自由都市もありな」
「それぞれの領主で争ったりもして」
「複雑だな」
「実に」
まさにというのだ。
「混沌としています」
「だから腰を据えてだ」
「統治していきますか」
「貴族の地位はとりあえずは認めるが」
しかしというのだ。
「その特権はな」
「帝国の統治を脅かす様なものは」
「排除していく」
「貴族の特権も」
「やはり土地ではなくだ」
「給与ですね」
「それを糧とさせてな」
そうしてというのだ。
「家で採用するのではなく」
「試験ですね」
「それで国歌の職に就く様にする」
「欧州も」
「そうだ、そしてだ」
そのうえでというのだ。
「奴隷もあるが」
「廃止ですね」
「それは真っ先に行う」
欧州の奴隷制廃止はというのだ。
「平民、国民としてだ」
「帝国の民としますね」
「誰もがな、奴隷を設けるとだ」
この制度をというのだ。
「財産となる」
「持つ者の」
「そしてそれがそのまま家の力になるしな」
「帝国への不穏分子にもなりかねないですね」
「だからだ」
そうなるからだというのだ。
「奴隷はだ」
「義青様は否定されていますね」
「個人的に嫌いだしな」
奴隷制度がだ、義青はこのことは起きた世界の日本即ち現代日本の価値観から考えて語っているのだ。
「だからだ」
「決して認められないですね」
「誰もが等しく帝国の民としてだ」
「力を発揮してもらいますね」
「帝国の為にな、何よりもな」
「世界の礎を築く為に」
「力になってもらう」
奴隷ではなく民としてというのだ。
「そうしてもらう、民は奴隷ではなくな」
「自身の意志を認められ」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
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