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ピアノも続けてこそ

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第二章

「よくなるってです」
「思っていたのね」
「そうでした」
 実際にというのだ。
「本当に。それが」
「六年生になって」
「それまでずっとやってきて」
 それでというのだ。
「出来る様になったので」
「そう言うのね」
「今思うとずっとやってですね」
「何でも少しやっただけだと出来ないのよ」
 里香は彩花の傍に立っている、そして彼女に微笑んで言うのだった。
「ずっとこつこつやっていって」
「努力していって」
「そしてよ」
 そのうえでというのだ。
「出来る様になるの、何でもね」
「そうしたものですか」
「だからね」
 それでというのだ。
「諦めないでね」
「それで、ですか」
「やっていってね」
「わかりました」
 それならとだ、彩花はこの日もピアノの練習に励んだ。そして家に帰って母の澄香自分をロングヘアにして大人にした様な外見の彼女にも言うと母も同じだった。
「そうよ、続けてこそね」
「上手になるのね」
「少しじつね。だから続けることがね」
 このことがというのだ。
「大事なの。何でもそうで」
「ピアノもなのね」
「そうよ、だからピアノ続けていくといいわ」
 娘にこうも言った。
「好きでしょ、ピアノ」
「大好きよ」
 彩花は母に微笑んで答えた。
「演奏するのも楽譜を見るのも」
「だったら続けていくのよ、そうしたら少しずつでもね」
「上手になるのね」
「そうなっていくからね」
「そうなのね、じゃあこれからもね」
 彩花は母に微笑んだまま答えた。
「ピアノやっていくわ」
「そうしていくといいわ」
 母も微笑んで応えた、そしてだった。
 彩花はピアノの練習をしていきコンクールでも受賞していった、中学高校でもピアノを続け芸術大学にも進み。 
 世界的なピアノ演奏家にもなった、それは全て続けていたからだといつも話していた。


ピアノも続けてこそ   完


                  2025・6・15 
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