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ハッピークローバー

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第百七十四話 煙草その九

「それであの人達の恰好よさが決まる訳じゃないから」
「あのきりっとした感じで決まるからね」
「制服を折り目正しく着ているのがいいのよね」
「本当にね」
「それがいいから」
 だからだというのだ。
「軍人さんの方が人気あるのよね」
「うちの学校はね」
「それがダンディだって」
「そうね、間違ってもよ」
 留奈は眉を顰めさせて言った。
「変な活動家なんてね」
「格好よくないわね」
「昭和の」
 この時代のというのだ。
「学生運動なんてね」
「あれ最高に恰好悪いわよ」
 かな恵は眉を顰めさせて応えた。
「あれでしょ、ヘルメット被って覆面した」
「ゲバ棒持ったね」
「革命とか言って暴れる」
「そんなに世の中変えたいなら」
 留奈はそれはと言った。
「選挙行けばいいのにね」
「日本だとね」
 かな恵も言った。
「私達まだ選挙権持ってないけれど」
「そう思うわよね」
「それでいいわよね」
「そこで革命とか言って」
 そうしてというのだ。
「暴れるのはね」
「テロまでやってね」
「馬鹿よね」
「最高に恰好悪いわ」
「あんなのやって何が楽しいのか」
「結局失敗してるし」
 日本で革命は起こっていない、それが何よりの証拠だ。
「本当に恰好悪いわね」
「ああした連中ってね」
「今も馬鹿やってるし」
 まさに三つ子の魂百の言葉通りにだ。
「革命だ何だのって」
「平日の昼間からデモやって」
「そんな風だから」
「ああはなりたくないわね」
「あれで煙草なんて吸ってたら」
 一華はその光景を想像して言った、彼等の多くは成年の大学生であり喫煙者が多かったことは言うまでもない。
「最高にださいわね」
「軍人さんだとそれでも様になっても」
「ああした連中が吸うとね」
「恰好悪さ増し増しよね」
「ただでさえ恰好悪いのに」
 それがというのだ。
「尚更ね」
「そうなるわね」
「恰好悪過ぎて」
 それこそというのだ。
「あの格好になれってね」
「絶対に嫌よね」
「やっぱりよ」
 一華は確信を以て言った。
「軍人さんやお巡りさんよね」
「恰好いいのはね」
「それで煙草を吸わなくても」
「恰好いいのよ」
「恰好いい人は」
 まさにというのだ。 
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