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金木犀の許嫁

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第六十八話 すき焼きも食べてその十四

「反撃出来ない相手を虐げて」
「喜んでいますね」
「暴力振るう奴は」
「そう考えると尚更最低ですね」
 白華は実際にそう考えて言った。
「暴力振るう奴は」
「そうだね、そして」
 そのうえでとだ、豊も頷いた。
「そう思うなら」
「暴力は振るったら駄目ですね」
「全くだよ、暴力を振るって強いとか恰好いいとか」
「そんなことはないです」
「絶対にね」
「その通りだよ、いや石川君よくわかっているね」
 佐吉も彼の言葉を聞いて感心して言った。
「本当に」
「そう言ってくれますか」
「うん、君なら白華を託せるよ」
「幸せにしてくれるわね」
 神世も微笑んで言った。
「絶対に」
「そうなる様にします」
「きっとね。それでね」
 神世は豊にさらに話した。
「お寺は大きいわね」
「はい、檀家の人もいてくれていまして」
 豊は神世に自分の家である寺のことも話した。
「土地を持っていて貸してもいます」
「収入があるっていうのね」
「はい、アパートや駐車場の管理もしていまして」
 そうしていてというのだ。
「暮らせているので」
「お金のことも安心していいのね」
「はい」 
 このこともだ、豊は話した。
「そうです」
「お金は大事だからね」
「そうですよね」
「仏様にお仕えして修行して」
「人を助けて」
「そのうえで暮らしていけるのね」
「そうです」
「お金のことを言ってもらえるとは思わなかったけれど」
 それでもとだ、神世は豊に応えて話した。
「尚更安心出来るわね」
「そうなりますね」
「ならお願いね、白華のこと」
 母親としてここまで聞いてあらためて彼に言った。
「お願いするわね」
「お見合い自体はまだで」
 佐吉はそれでもと話した。
「結婚も二人が大学を出てからだけれど」
「それでもですか」
「君なら大丈夫だよ」
 豊に微笑んで話した。
「絶対にね、ではまずはお見合いをね」
「させてもらいます」
「宜しくね、それが終われば」
 お見合いの成功はもう決まっている、それで彼は言うのだった。
「豊君と呼んでいいかな」
「名前で、ですか」
「私達の息子になるから」
 白華と結婚すればというのだ。
「その時はね」
「それじゃあ」
「そういうことでね」
「けれど」
 ここで佐京は父に気付いた顔になって彼に言った。
「夜空さんは」
「最初から夜空さんって言ってるね」
「そうだね」
「子供の頃はちゃん付けでね」
「最近まで」
「うん、けれどね」
 それでもというのだ。 
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