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金木犀の許嫁

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第六十八話 すき焼きも食べてその十三

「暴力を振るってはならない、また他のよからぬこともです」
「しない様にしていますね」
「左様です」
「いいことですね、暴力は最低の行いです」
 豊はまさにと頷いて述べた。
「まして仏門にあるのなら」
「何よりも否定すべきですね」
「人の心を救うのが僧侶であるのに」
「心を傷付けてはならないですね」
「暴力は身体だけでなく心も傷付けますね」
「はい」
 その通りだとだ、幸雄は豊に答えた。
「その通りです」
「暴力を受けたことがトラウマとなり」
「ですから絶対にです」
「仏門にあるのなら」
「暴力はなりません、当然他の宗教もです」
「暴力はなりませんね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そこはです」
「肝に銘じていきます」
「お願いします、自分が受ければどうか」
 暴力をというのだ。
「そう考えますと」
「答えは出ますね」
「自分が受けて嫌なら」
 それならというのだ。
「もうです」
「絶対に振るわない」
「そういうことです」
「暴力は強くないですね」
 白華は甘口のワインを飲みつつ言った。
「むしろ弱いですね」
「自分より弱い相手を虐げるものだからな」
「強い筈ないわよ」
 両親が答えた。
「絶対にな」
「そんな筈があるか」
「そうですね、暴力を振るって得意になっているなら」
「最低だぞ」
「弱い相手をいたぶってそうなってるならね」
「屑の行いですね」
 白華は忌々し気に述べた。
「まさに」
「その通りだ」
「そう言うしかないわ」
「全くですね。親になっても」
 それでもとだ、白華はさらに言った。
「暴力は振るわない様にします」
「うん、そんな親は親じゃないよ」
 豊も応えた、気付けばかなりあったすき焼きも今鍋にあるだけだ。そこにある肉や葱を皆で食べている。
「外道だよ」
「まさにそうですね」
「本当に暴力振るいたいならね」
「猛獣に振るうべきですね」
「餓えたね」
「その通りですね」
「けれど暴力振るう奴は猛獣には向かわないし」
 決してという口調で話した。
「勇気もね」
「ないですね」
「そうだよ、勇気がないから」
 だからだというのだ。 
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