西遊記
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第六回 悟空二郎真君と戦うのことその四
黒く長い髪の毛を持ち黒い服とマントそれに鎧に身を包んだ眉目秀麗の人間で言う長身の青年の姿をした神様が帝の御前に片膝を付いて参上しました、そのお顔はまるで絶世の美女で声も素敵なものです。
その神様二郎真君にです、帝は言われました。
「よく来た、そなたに頼みがある」
「お話は伺っています、これより花果山に出陣致します」
「そうしてだな」
「斉天大聖を捕らえてきます」
「そして朕の前に連れて来るな」
「その様に致します」
「ではだ」
帝はそれならと言われました。
「宜しく頼む」
「はい、すぐに出陣します」
真君はその奇麗な声で言ってでした。
その言葉通り出陣しました、帝の壮麗な宮殿から戦場に赴きます。菩薩はその真君を見届けてから帝にあらためて言いました。
「これで、です」」
「斉天大聖を捕らえられるな」
「そして罰することが出来ます」
「一度お灸を据えねばな」
そうしなければというのです。
「いかん」
「はい、ただ他の者はです」
菩薩は畏まって言いました。
「斉天大聖に従っているだけで」
「罪はないな」
「寛大なご処置を」
「わかっている、他の者は罪に問わぬ」
帝は確かな声で言われました。
「その様にする」
「有り難きご決断です」
「そして斉天大聖もな」
「懲らしめるだけですな」
「どのみち死なぬのだ」
だからだというのです。
「神だからな。しかもあの者はあれでだ」
「根はよき者です」
「明るく裏表がなくな」
「邪気もない、大事を為す運命にあります」
「だから懲らしめてな」
そうしてというのです。
「終わらせる、そして大事を為す時が来れば」
「行かせますか」
「そうする」
「それではその時はです」
菩薩は言いました。
「私があの者を助けます」
「そうするのか」
「そしてどうも他にそうすべき者が何柱かいそうなので」
「神がか」
「そして仏になる者が」
「そうなのか」
「私はその者達を助ける運命にある様なので」
だからだというのです。
「必ずです」
「その様にするか」
「その時は。そして今は」
「戦を見守るか」
「そうします」
「では頼む。朕も見よう」
帝ご自身もというのです。
「戦をな」
「玉座から」
「そうしよう、この座から見えぬものはない」
まさにというのです。
「だからな」
「戦の最後まで、ですね」
「見守ろう、そして菩薩もだな」
「はい」
帝に穏やかな声で答えました。
「さすれば」
「共に見守ろうぞ」
「戦を」
帝のお言葉に頷いてでした。
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