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ドリトル先生とサーカスの象

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第一幕その六

「何があってもね」
「そんな人達と同じ様にはね」
 それこそというのです。
「ならない様にね」
「することですね」
「最低と思ったら」
「そうした行いはしない」
「それこそがね」 
 まさにというのです。
「人としてだよ」
「あるべき姿ですね」
「そうだよ」
 こうトミーに言いました。
「同じレベルに堕ちないで」
「それで、ですね」
「襟を正して」
「その人達と同じことはしない」
「そうすることがだよ」
「大事ですね」
「そうだよ、そして命はね」
 先生は強い声で言いました。
「何といってもね」
「第一にですね」
「考えるものだよ」
「人間も生きものも」
「その団体はあまりにも命を粗末にしたから」 
 だからだというのです。
「結果としてね」
「倒産しましたね」
「命を粗末に出来なくなったら」
 象達のそれをです。
「忽ち倒産したからね」
「虐待以外の方法を知らなかったんですね」
「そうだよ、これが人でもね」
「同じですね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「全くね」
「粗末にしたらいけないですね」
「若し自分がそんな風に扱われたら」
 それこそというのです。
「その時点でね」
「そうした人達こそ怒りますね」
「烈火の如くで」
 その怒り方はです。
「見ものな位だよ」
「どれだけ怒り狂うか」
「本当にね」
 眉を曇らせて言う先生でした。
「そんな人はね」
「人にはそんなこと言って」
「生きものにもね」
「いざ自分がそうされると」
「本気で怒るものだよ」
「自分にはですね」
「そう、自分しかなくてね」
 その頭の中にはというのです。
「それでだよ」
「他の命はどうなってもいいんですね」
「全くね」 
 そうだというのです。
「冷酷と言うならね」
「そのものですね」
「そうだよ、まさにね」
「そんな人が世の中に増えると大変ですね」
「若し自分しかない人が政治家になったらどうかな」
 先生はトミーにこうも言いました。
「一体」
「国民の為、国家の為に働くことが政治家のお仕事ですね」
「そうだね、それがね」
「自分の為だけなら」
「もう汚職でも何でもしてね」
 そうしてとです、先生は眉を曇らせてお話しました。 
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