世界の礎
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第二十話 広大な土地その十一
「そうしています」
「軍の前に立たせてな」
「そうして盾にしていますね」
「そうしていたな、そしてだ」
「軍に損害が出ない様にしています」
「地雷原を歩かせたりもしている」
凶悪犯を軍に入れてだ。
「そうしてだ」
「犠牲にして」
「正規の軍の損害を抑えている」
「左様ですね」
「そうもしていってだ」
「戦も行い」
「勝ってきたな」
このことも話した。
「帝国は」
「圧倒的な数や装備に加え」
「まず数と装備、技術でだ」
軍隊ひいては戦はというのだ。
「そしてだ」
「犠牲を出さない」
「その為にだ」
「重罪人をそうしていましたね」
「これからもな」
「それは変わらないですね」
「何があってもな、このこともだ」
重罪人の取り調べや裁判は慎重に行い刑罰には微塵も容赦しないことはとだ、義青は強い声で話していった。
「世界の礎の一つにだ」
「されたいですか」
「そう考えている、人をいたぶり楽しむ下衆はだ」
それこそというのだ。
「自分もだ」
「いたぶられるべきですね」
「生まれたことを後悔するまでの」
そこまでのというのだ。
「容赦ない報いを受けるべきだ」
「そうあるべきですね」
「殺された者の命を考えだ」
そしてというのだ。
「殺した輩の命に裁きを与える」
「そうあるべきですね」
「殺した者の権利なぞ考えたこともない」
「これまで」
「被害者の人権と加害者の人権どちらが大事か」
その二つを見てというのだ。
「同じである筈がない」
「被害者の人権こそ大事ですね」
「加害者に人権なぞ存在しない」
全否定、そうした言葉だった。
「他者の人権を踏み躙る輩の人権なぞ全く認めず」
「その命をですね」
「容赦なく踏み躙りな」
「これ以上なく苦しめ」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「魂も消し去る」
「この世から」
「そうするのだ、それを帝国の法の柱の一つとしてだ」
「礎にもしますね」
「そうもする、いいな」
「それでは」
誰もこのことはその通りだと頷いた、義青のその考えが浸透する以上にそうした行いは悪そのものだと認識していてだ。
許せないと思っていた、それ故に頷いたのだった。そうして世界の礎をさらに築いていくのであった。
第二十話 完
2025・3・15
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